VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一方の物語




私が来たァ!(一切の誇張無し)

「港町を守れぇええええ!」

「くっ、人手が足らぐべぇ!?」

「メディ〜ック!メディ〜ック!!」

 

此処はペンヘドラント大樹海地帯、其の手前に在る旧大陸から開拓船に乗ってやって来たプレイヤー達が、木々を切り倒して石を退かし、血の滲む様な想いで作り上げた港町。其れが三つ首のティラノサウルスことドラクルス・ディノサーベラスを始めとした、恐竜や其のキメラモンスターの、突発的な襲撃(・・・・・・)によって半壊に近い被害を受けていた。

 

『『『ゴアァアアアアアアアアアアアア!!!』』』

「五月蝿ェ、死ねぇ!!!」

「魔法部隊、攻撃放てッ!!!」

「「「いっ──────けええええ!!!」」」

 

三つ首の亜竜が吠える。魔法職に襲い掛かるキメラ達をタンク職のプレイヤーが受け止め、其の隙に持てる最高火力の魔法攻撃が次々と、ドラクルス・ディノサーベラスや恐竜キメラ達へ濁流の如く叩き込まれた。

 

「やったか!?」

「バッ、おま其れ禁句!!?」

「殺られてねーぞオイィイイ?!?!」

 

爆炎と土煙を振り払い、巻き込まれて屍を晒したキメラ達を踏み砕く様にして現れるや、ドラクルス・ディノサーベラスは其の巨体を以て、防衛を担うタンク職の面々を吹き飛ばし。夜空に吹き飛ばされた開拓者達は、近辺の建物に叩き付けられたり、夜の海へと沈められて溺れ死んで行く。

 

「せっかく作ったイェエエエ!?」

「ヤバいヤバいヤバい!町がどんどん壊されてく!」

「調査船だけは何としても死守するんだ!建物は壊されても何とかなるが、船を壊されたら元も子も無いぞ!!」

 

大工やヒーラーに魔法職の殿を務める近接職のプレイヤー達は皆、少なからず拠点防衛戦時に恐竜キメラモンスターと戦った経験は有り、ある程度だが対抗する事は可能だ。

 

だがドラクルス・ディノサーベラスに関しては、嘗て選りすぐりの中の更に選りすぐりを集めての討伐隊を編成・勝負に出たが、蹂躙されて全員リスポーンしたという衝撃の事実が齎されたのである。

 

其のモンスターが暴れ回って居るともなれば、調査船を全壊させるまで時間は掛からない。ある者は諦めのムードが漂い、ある者は此の状況を打破する何かを求め、そしてある者は居もしない神に手を合わせて。

 

そしてドラクルス・ディノサーベラスの三つ首が息を吸い込み、まるで此の地は己の縄張りだと主張せんと、雄叫びという名の咆哮を轟かせんとし──────。

 

 

 

 

 

 

 

真後ろから()()()に、己の頭の全てが噛み千切られる悪寒(ビジョン)が過ぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

まるでバッ!と、ドラクルス・ディノサーベラスの全ての頭が背後へと向き、恐竜と動物のキメラモンスター達も『一部』を除いて慌てふためき、樹海の中へと一目散に逃げ出し始める其の光景に、残っていた開拓者達は一体何事だと疑問視し。

 

 

 

「見付けた」

 

 

 

唯一言と共に、半壊した町中に立つドラクルス・ディノサーベラスと先行到着のズタボロにされたプレイヤー達の、丁度中間地点にヒーロー着地を決めた『黒の三部位一体の装備を着た名無しの女』が、三つ首のティラノサウルスを見つめながらに言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間テンションが上がるとハイテンションになって、其のハイテンションすら何らかの理由で突破すると、フィーバーテンションにでもなるんじゃ無かろうか、そう思ってしまう程に今の自分のモチベーションは柄にも無く高まり、同時に昂っている状態だ。まるで誕生日プレゼントで、一番欲しかったレトロゲームを貰えた時の様な感じに似ていて。

 

そしてそんな力に満ちているからこそ、開拓者の整備しているという前線基地もとい港町を発見・早期到着が出来たのは、やはり高まった『やる気』とレベルキャップ解放によって進化し、パワーアップを遂げた『スキル』による恩恵が大きかったと言っても過言では無い。

 

黒狼の鋭眼(アーテオル・ガウス)狼皇の鼓動(ルプリス・ヴァースリズム)闘心狼魂(ウルフェス・アーハン)の効果が継続している中で使用したのが、既に昇華(スタンバイ)の領域に到達済みの局極到六感(スート・イミュテーション)と、天空の帝王眼(ラトゥルスカ・インペリアイズ)の進化スキル『天空の神眼(ラトゥルスカ・ゴッドアイズ)』。

 

天空の神眼と同様に、三桁の壁を越えた事で進化に至りし、エルクが嘗て言っていた『三桁スキル』。刻蓬封点認視界(エディア・キュリス・ウラタナ)は『清明界玉到観(クリスタル・アドバンテージ)』へ、そしてズッ友コンビスキルの龍脈を映す視覚(ドラスティエル・ナルクト)は、進化により『界域を見定む眼(ターゲ・ザ・ワールド)』に変化を遂げていた。

 

天空の帝王眼が、発動者を中心に半径50m内に在る物を俯瞰の視点から観るという視界系のスキルだったが、天空の神眼は観れる範囲が()の『100m』にまで拡大。

 

清明界玉到観は『敵の身体をレントゲンの様に見れた』刻蓬封点認視界より、ずっと明確に『敵の身体に在る骨格・筋肉・臓器の位置を、透明にしたかの如く視界で見定める事が可能』に。

 

界域を見定む眼は、敵の身体を流れる電気信号を可視化して居たのだが、進化した事で『プレイヤーが見ている範囲内に在る物質やモンスターを、発動者は其れ等の輪郭を3D立体モデリングの様に知覚出来る』状態で。

 

狼皇の鼓動・闘心狼魂の力を受けた状態で局極到六感により感覚が強化された結果、ペッパーは現在『半径800m内に在る全て(・・)のモンスターやプレイヤー、樹木や壊れた建物と言ったオブジェクト全てを、透き通った世界とハッキリとした輪郭を俯瞰の視点から見定めている状態』に等しく。

 

パワーアップした凄まじい加速と空中疾走の中で、眼力適応(ディチューン・アイ)から更に情報処理能力が強化された『速界見眼(シンクロ・アイズ)』を用いての空間内情報を処理を行って走り続け、遠くで三の首ティラノサウルスたるドラクルス・ディノサーベラスや恐竜キメラ、其のモンスター達を相手に防衛戦をしていた先陣開拓者達と、彼等彼女等が作ったであろう半壊した港町を捕捉。

 

レベルキャップ解放により昇華(スタンバイ)の領域に到達した、神威光臨進(かむいこうりんしん)轟烈迅速(ヴスティオ・ファーレ)旭天昇昂(きょくてんしょうこう)の三種の機動力強化スキルで夜空を全力疾走。ドラクルス・ディノサーベラスと開拓者達の丁度中間地点を目算し、ヒーロー着地を決める形で飛び込んだというのが、一連の流れでペッパーが行った種明かしである。因みに頭装備のライノベレーの帽子は外しており、身バレを少しでも防ぐのが狙いだ。

 

「成程………君がドラクルス・ディノサーベラスか。だけど『傷だらけ(スカー)』じゃない………通常個体か?」

 

見上げる程に大きく、そして肌身を切り裂く程の威圧感を誇る、巨大なる三つ首の亜竜。三桁に上がって強くなったとしても、此のモンスターは今の自分を一撃で屠る事すら容易いだろうと。

 

だが同時に此程の相手ならば、今の自分の力を思いっ切り試せるという、絶対の確信が其処には有った。

 

『『『ゴアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』』』

「嗚呼ッ、勝負だ!」

 

取り出すはイムロンの手により、耐久値がMAXまで回復した風神刀(ふうじんとう)碧千風(そうせんふう)】。流れる風の如く『居合の体勢』に入り、雄叫びと共に突撃を掛けるドラクルス・ディノサーベラスに怯む事無く、己の持つ進化したスキルを点火していく。

 

戦闘時に斬撃武器の攻撃によるヒット判定が発生する()に、プレイヤーの敏捷・筋力を高め続ける『スラッシュ・イグニッション』。

 

プレイヤーの高潔度が高ければ高い程に、刀や剣武器の斬撃によるダメージ・武器の効力が超上昇する『美麗神の斬撃(サラスヴァティ・スラッシャー)』。

 

刀系武器攻撃スキルで膾切りを可能にしていた、連刃結(れんじんむすび)九十九(つくも)】の進化。斬撃によるダメージが、一回で百ヒット判定(・・・・・・)となる『一刃百斬(いっぱひゃくざん)』。

 

刀や剣による斬撃が弾かれる事が無く、其の斬撃が敵の身体に必ず斬り傷を残せる様に成る『タウスラム・ブレイド』。

 

剣や刀系武器を装備中に発動出来、強化ステータスの項目が八種類に増えた『八天無双(はちてんむそう)』。

 

格上のモンスターや相手との相対で、使用者に強化(バフ)が入る『英雄王の威光(ギルガメッシュ・サイン)』。

 

刀武器を用いての攻撃時に使用者の任意で自身の身体を回転させ、突発的な変速挙動を以て敵を斬り刻む『刃舞(じんぶ)無尽(むじん)】』。

 

剣及び刀系統の武器を装備中、自身の習得した対応スキルの補正・威力・効果を強化する『剣王武心(マスラオ・センス)』。

 

使用者の筋力・敏捷・技量の三つのステータスを参照して威力を決定。筋力が高い程に斬撃のダメージ・敏捷が高い程に抜刀の速度・技量が高い程にクリティカルの発生率が上がる、居合攻撃スキルの『居合(いあい)切星(きりほし)】』。

 

昇華(スタンバイ)の領域へ到達と敏捷のステータスが上がった為に、斬撃ダメージが更に上昇している『速刃(そくじん)晴空(はれそら)】』。

 

視界に映るライン………おそらくは何かをプレイヤーに齎すと思しき、三桁の領域に踏み込んだ事によって習得した『星幽界導線(アストラルライン)』。

 

そして己の心の成すままに、視界に示されたラインをなぞり。『晴天流「旋風(つむじかぜ)」』と『致命秘奥(ヴォーパルひおう)【タチキリワカチ】』、風雷迸る翡翠の刀身と共に回転の挙動を乗せて、一意専心の如く引き抜き振ったならば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『?…………!?……!!?!…………──────』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラクルス・ディノサーベラス、次に戦う時は明るい時間に戦おう」

 

巨体を横一閃された(・・・・・・・・・)事で、上体部と下腹部を両断された三つ首の亜竜が、戦場の大地にて静かに沈んだ瞬間にドロップアイテムがペッパーの背後に零れ落ちて。

 

皆が唖然とする最中に一人高速で回収し終えるや、一人新大陸の夜闇満ちる樹海の空へと消えて行ったのだった………。

 

 

 

 

 






廻る風乗せ、斬り裂け刃


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