VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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顔合わせ




ホットな情報、クールに整頓

「さてさて、私の(・・)あーちゃん。色々言いたい事も沢山有るけど、其れを全部引っ括めて私達と『オハナシ』しようか?」

 

インベントリア内で十数分待機、格納空間が共有状態に有る此の場所に六人(・・)が揃い、円を作る形と成って相対する。

 

空間内にはペッパーが新大陸での行軍中に狩った恐竜や恐竜キメラのモンスターの素材や、サンラクが狩猟したであろう水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)の煌びやかな素材。

 

そしてPKerにPKされて押収されては困る武器である、灼骨砕身(シャッコツサイシン)や青の聖杯等の重要な逸品達が、まるで星々の様にフワフワと浮いて白の地平線と、空間に飾られたパワードスーツにロボットと武装達を彩る。

 

「聞きたい事は大体見当が付くけど…………。予想としては『レベルキャップ解放施設の場所』と『キャッツェリアの場所』。後は『イムロンさんとどうやって協力体制を敷いたか』に『征服人形(コンキスタ・ドール)との契約方法』って所か?」

「せーいかーい。さぁ、キリキリと吐いて貰おうか…………の前に。其の子が私の(・・)あーちゃんと契約したっていう、征服人形ちゃんで良いのかな?」

 

ペンシルゴンが指差す先、プロトコル『オシノビ・カモフラージュ』でコートとサングラスを着け、裏路地に居るガラの悪い女傭兵的姿に成っているヒトミは、彼女の問い掛けに対してサングラスを外した。

 

口にシュガースティックでも咥えさせたなら、先ず間違いなく黄色い声が上がりそうな見た目であり、ヒトミはペンシルゴンの問いに答える。

 

肯定(あぁ):当機()契約者(マスター) ペッパー・天津気(アマツキ)と契約した、型式番号カルネ型103号機ことカルネ=ヒトミだ。以後、御見知り置きを」

「…………なんつーか、作った奴の性癖が見て取れるデザインしてんなぁ…………」

「刺さる奴には刺さる、そーゆー風に作ったってのは解るわ」

「服装一つで随分と印象が変わるね」

 

サンラク・オイカッツォ・京極(キョウアルティメット)が各々の感想を呟く中、ペンシルゴンは一人でヒトミへ接近。そして彼女の真紅色の眼を見ながらにこう言ってきたのだ。

 

「ヒトミちゃん、私はアーサー・ペンシルゴン。そして半裸の鳥頭がサンラク君で、金髪ツインテールがオイカッツォ君、撫子女侍が京極(キョウアルティメット)ちゃんなんだ。他にもメンバーは居るんだけど、私達はクラン:旅狼(ヴォルフガング)として活動してるからよろしくね」

 

ニッコリ笑顔で微笑んだペンシルゴンだったが、彼氏として付き合っているペッパーと、ゲーム仲間として交流を交わしているサンラクとオイカッツォは、あの笑顔は『怒っている時』の笑顔である事に気付き。

 

「あぁそうそう──────」と言いつつ、ハイライトの無い見開かれた目でヒトミを見据えながら、彼女はこう言ったのである。

 

 

 

 

 

「あーちゃんは私の彼氏(モノ)だから。例え君が契約者(マスター)って呼んで、あーちゃんと繋がりを持っていたとしても。あーちゃんは絶対にアゲナイから。……………覚えておいてね?」

 

 

 

 

 

最早伝統に成りつつ在る、ペンシルゴンによるペッパーの独占宣言に当の本人は引き攣った顔を、サンラク・オイカッツォ・京極はニヤニヤニマニマとペッパーを見ている。

 

だがそんなペンシルゴンの独占宣言という名の威嚇に対し、ヒトミは一切表情を崩す事は無く。逆に彼女は演算の果てに、一つの答えを導き出したのだ。

 

「……………納得(つまり):次世代原始人類たるアーサー・ペンシルゴンは、契約者(マスター) ペッパー・天津気(アマツキ)の『想い人』であり、同時に其の発言からするに貴女と契約者は『交際関係』に在る。違うか?」

「ちょっ、ヒトミさん!?」

「お〜凄いねヒトミちゃん、当たりだよん♪」

「ペンシルゴン!?!?」

 

突如として関係を暴露されたペッパーは慌てふためき、サンラク達からはニヤニヤニマニマされ、其の後に「おめでとうございまーす!」やら「結婚式の日程決まったら連絡よろしくー」やらと、色々言われる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(其れは其れとして)

 

 

 

 

 

 

 

「さてと………じゃ、あーちゃん。色々話して貰おうかな」

「…………先に断って置くけど空中写真は撮影してはいるが、()()()()開示しない方が良い気がする。其れとキャッツェリアは此処で、レベルキャップ解放施設である覚醒の祭壇が在るのは此処。あくまでも『おおよその位置』だから気を付けて欲しい」

 

色々と弄られながらも、始まった説明会。新大陸のほぼ全域を収めた空中写真は撮影こそ出来たものの、現時点で破壊力が高過ぎる代物だ。何せ七天極星(グランシャリオ)会談でキョージュが言った『N.M.M』なる、シャンフロの()()を作るクランの存在価値が失われる事を意味しているからだ。

 

「イムロンさんとの協力要請に付いては、昨日ティラネードギラファとカイゼリオンコーカサスの戦いで勝利し、ドロップした素材を『全部無償』でイムロンさんに渡した。此方から金額を提示してマーニを取る事も考えてたが、今回は誠意を見せる事で後々に繋げる方を優先した感じ」

「無償でって…………、あーちゃん其れマジなの?」

 

ペンシルゴンの問いに、ペッパーは無言で頷いた。此れは(彼女)自身の人柄や、現在唯一のプレイヤーの名匠鍛冶師、聖槌ムジョルニアの所持者というアドバンテージ、其れ等全てを天秤に乗せた上での答えなので、後悔は一切していない。

 

「…………世の中無償(タダ)程怖い物は無いって言うし、ベストでもありベストでないかも知れない。けど俺としてはあの場面において、少なからず其れがベストだと判断したよ」

「成程ねぇ…………。今、鍛冶師プレイヤーの間じゃ『ハンドメイドガン製作』に躍起になってるから、其の点を踏まえれば上々とも取れるか………」

 

協力要請に関しては自分の持っている武器の修繕依頼と、武器の情報で取引した様な物なので、其処まで大きな出費では無い。

 

「そして征服人形(コンキスタ・ドール)との契約についてだが…………俺も正直解らない部分が多い。今現在ハッキリしているのは、彼女達と『パーティーを組んで一定の条件を満たす事』くらいだ」

肯定(あぁ):当機()征服人形(コンキスタ・ドール)には型が存在し、状況にもよるが一番は『契約者の適性』で判断される。戦闘力や人柄、知性や感性と様々………契約者(マスター) ペッパー・天津気(アマツキ)当機()と契約したが、仮に契約していない場合では当機()と同じ『カルネ型』か『レヴナ型』、他には『フユキ型』に『アリーシャ型』との相性が良い。寧ろ複数の型と相性が良いのは、開拓者としては『かなり珍しい』と見れる」

 

後衛職(バックパッカー)なのに前衛紛いな事をしたり、率先して敵モンスターのヘイトを買って出たりと、よくよく考えてみれば色々『変な事』をやっているなと、ペッパーが遠い目をしながらに思っていれば、ペンシルゴンとオイカッツォがヒトミに話し掛ける。

 

「ねぇねぇ、ヒトミちゃん。私が仮に征服人形と契約する場合、どんな娘と相性が良いのかな?」

「其れ俺も気になってたんだよね、判るかな?」

 

二人の問いにヒトミはペッパー以外の四人を見て、そして暫く演算して答えを出す。

 

観察(そうだな):此れはあくまでも当機()の主観に過ぎないが、アーサー・ペンシルゴンは『リリエル型』。サンラクは『エルマ型』に、京極(キョウアルティメット)は『アンジェリカ型』と相性が良いと思われる。オイカッツォは…………『判断材料が足らない』ので判らん」

「え"っ、どゆこと?!!」

「解答:其のままの意味だが?」

 

オイカッツォの荒げた声に、ヒトミは其れだけ答える。自分とペンシルゴン、サンラクや京極には『有って』、オイカッツォには『無い』物が在るらしい。

 

サンラク・ペンシルゴン・京極がドヤ顔で勝ち誇り、オイカッツォが歯軋りで目を血走らせる、ギスギス不可避の光景にペッパーはオイカッツォを落ち着かせ。

 

インベントリアに浮遊しているアイテムや素材に武器の中から、ユニークモンスター・深淵のクターニッドの撃破報酬の一つ『深淵の雫』を手に取り、自分のステータス画面で照らし合わせながらに四人に問い掛けた。

 

「なぁ皆、皆の『歴戦値』ってどれくらい有るんだ?因みに俺は『7593』有る」

「あ、其れってクターニッドの報酬だよね?ええっと………僕は『8444』だね。其れなりに、かな?」

「深淵の雫だっけか。武器の習熟度とか隠しステータス確認出来るって、やっぱ反則級のブッ壊れアイテムだよなぁ。俺は………おっ『10597』だわ」

「私は『8879』、此れは高い方なのかな?」

 

水晶群蠍達を相手にしているサンラクや、つい最近までPKerとして戦っていた京極、ラビッツのユニークシナリオで激闘を繰り広げたペンシルゴンは、軒並み高い数値になっている。やはり強いモンスターとの戦いと、死した回数が数値に加算されているのだろうか?

 

「俺は…………『2160』だね」

「「「うわカッツォ(君)、低過ぎ…………?」」」

「女だろうがブッ飛ばすぞコノヤロー」

 

京極の数値では判別出来て、オイカッツォの数値では判別出来ない、ヒトミの征服人形型式判別診断。ペッパーは二人の数値から、一つ答えを導き出す。

 

 

 

 

 

 

 

「此れは俺の仮説になるが…………征服人形が仮に全員が『歴戦値』を参考にしているとした場合、最低数値は『5000以上』必要になるかも知れない。そして一番最初にクターニッドを攻略した俺達(プレイヤー)が持っている『深淵の雫』は、使い様によってはユニークシナリオの発生条件や、征服人形の契約時の隠しステータスの情報を手に入れられるだろう。

そしてライブラリに深淵の雫の存在(・・)がバレた場合、何百億積んででも手に入れようとするだろうから、充分に気を付けなくちゃいけない。旅狼(ヴォルフガング)の他メンバーにも、取り扱いに細心の注意を払う様に注意喚起を促すよ。良いね?」

 

ペッパーの真剣な警鐘に、四人は同時に『異議無し』と答える。自分達が手に入れた逸品の価値と重大さを、改めて胸に刻み込んで此の日のオハナシ会は御開きとなったのだった…………。

 

 

 






深淵を覗く、無類のチカラ


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