VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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分配しよう




ジャックポット・ファイヤー!

クラン:ウェポニアと午後十時軍の合同依頼、ペッパーに託されてビィラックに手渡された銃達は、拳銃を優先した彼女の手により直され、再び稼働するに至る。

 

時間は少し流れて、翌日の午後九時。シャンフロ第15の街・フィフティシアに在る『NPCカフェ・蛇の林檎』の一個室に、クラン:旅狼のメンバー全員が一同に集った。其の理由も至極単純、ビィラックが直した四十一在る拳銃の中から一部を選んだ上で貰えると、SOHO-ZONEと交渉したからであり。

 

此の個室に集った旅狼(ヴォルフガング)全員の意見を聞いて、誰がどの拳銃を手にするかを決める為の大事な会談でもあるからだ。因みにヒトミの自己紹介は済んでおり、皆十人十色の反応を示していた。

 

「さて……………拳銃が四十一有る訳だが、一人一つずつ持って行くって形で良いか?」

『意義無しッ』

 

カフェ内の最も大きな個室を貸し切りに、丸いテーブルの中心に拳銃を種類分けして置いたクランリーダーのペッパーの提案に対し、サンラク・ペンシルゴン・オイカッツォ・京極(キョウアルティメット)秋津茜(アキツアカネ)・レーザーカジキ・サイガ-0・ルスト・モルドは、全員一致の答えを出す。

 

尚、姿は見せていないがペッパーは名前隠しのコートの中にアイトゥイルとノワを、サンラクはエムルをマフラーに、ペンシルゴンはゼッタを腰ポーチ擬態させている。

 

「で、単刀直入に言うが此の四種類の中から何が欲しいかを、全員指差しして欲しい。『せーの』で一斉に指差しで欲しいのが被ったら、スキルやら一切使用禁止の『ジャンケン一発勝負』で決めよう」

 

通常の物とは若干形が異なっているミル・ト・コルンが二つ在る為、其処を狙うメンバーも少なからず居る筈だとペッパーは考える。サンラクとオイカッツォ、ペンシルゴンにルストも周りの視線を観察している様子から、何かしらを狙っていると睨んでおり。

 

「いくよ…………せーのッ!」

 

全員が一斉に指差し、其の結果はこうなった。

 

 

 

 

 

ペッパー:ミル・ト・コルン(通常)

 

サンラク:ミル・ト・コルン(レア形状)

 

オイカッツォ:リッツ・ヒッター

 

ペンシルゴン:ベラールフィン

 

京極:ミル・ト・コルン(通常)

 

秋津茜:リッツ・ヒッター

 

レーザーカジキ:ベラールフィン

 

サイガ-0:ミル・ト・コルン(レア形状)

 

ルスト:グーナルム

 

モルド:グーナルム

 

 

 

 

 

「見事に割れたか………」

「珍しく全員の好みが出たって感じがする」

「前にやったホラゲーの初期装備で、御世話になった銃と同じ形状だったので選びました!」

「幕末の銃とよく似てるんだよね、ミル・ト・コルン。シャンフロの中でも練習になると良いな」

 

被りが無かった事でジャンケンも起こらず、比較的平和な状態で終わり。思い思いに語らうメンバーを見ながら、ペッパーはインベントリアへ残った拳銃達を収納する。

 

「あ、そうだ。ペッパー」

「ん?どうした、サンラク?」

「実はSOHO-ZONEとヤシロバード、あとサバイバアルに連絡入れててな。ウェポニアの本拠地で残った拳銃を渡す時に、俺とペッパーに対して『話』がしたいんだと」

 

三人とサンラクは少なからず『別のゲームか何かで繋がっている』から解らなくも無いが、自分を名指ししたのは一体如何なる理由なのか?

 

其れがビジネス的な話になれば、交渉事が付いて回るのは明白。故にこそペッパーはペンシルゴンをチラリと見れば、彼女は目を見ただけであるにも関わらず、ニッコリ笑顔で頷いた。

 

「今のアイコンタクトだけで解ったの?」

「モチのロン。私のあーくんの御願いだもの、交渉云々は私の得意分野なんだから」

「交渉(詐欺師紛い)」

「何か言った、カッツォ君?」

「ナンデモナイヨー」

「はいはい、ペンシルゴン。善は急げと言うので、ウェポニアに行きましょう」

 

白を切るオイカッツォをジト目で見るペンシルゴンを、ペッパーが落ち着かせる。そして大人数でカフェを出るのはかなりのリスクだと考えた彼は、他のメンバーに『自分がサンラクにペンシルゴンを連れて先に店を出て、大通りを堂々と歩いてプレイヤーやNPCの注意を向ける。そしたら各自で時間差を用いてカフェから脱出を』と指示を出す。

 

先ずペッパーはオーナーに代金を支払い、サンラク・ペンシルゴンと共に蛇の林檎を出立。大通りを歩きながら周りを見渡しつつ、ペンシルゴンの手を取って恋人繋ぎをしながら歩き出し。ペンシルゴンは幸せそうな表情を、ペッパーは少し恥ずかしそうに頬を掻いて。

 

ノワはコートの中からグルルルル………!と声を零すが、彼がコート越しに手を当て、優しく撫で撫でをすれば直ぐにクウン♪と甘え声に、サンラクが其れを目撃してニヤ付き出したのをトリガーとしてか、周りのプレイヤーが一気に注目し始め。

 

其れを見た他のメンバーは各自時間を置いてカフェから脱出し、ペッパーは自身のスキルで皆が脱出したのを見届けた刹那にペンシルゴンを御姫様抱っこし、跳躍スキルで一気に建物の屋根まで飛び上がるや、サンラクも其れに続く形で跳躍からの着地。

 

三人三羽一匹一機はウェポニアの本拠地へ、一気に進行して行くのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラン:ウェポニア。

 

シャングリラ・フロンティアという虚構(ゲーム)の、しかしながら現実(リアル)と殆ど遜色の無い出来映えで彩られた世界。其処に存在する数多の武器を徹底的に調査・解明し、収集・分析を行って専用のwikiに掲載する事を信念としている、武器防具に対して狂気じみた情熱を持つ『武器狂い』ことSOHO-ZONEがリーダーを務めるクランである。

 

「やぁ、SOHO-ZONE。待たせたかい?」

「来たね、アト………じゃなくてヤシロバード。サバイバアルは既に到着済みだ。彼はサンラクから連絡が入って、ファステイアからフィフティシアまで半日掛けて駆け付けたとさ」

「まぁ、アレ(・・)は僕達からしたら待ち望んでいたからねぇ………。砂やシャッガンはまだまだ掛かるそうだけど、其れでも僕や君にとっては大きな一歩でもある、だってそうだろう?誰にも出来なかった事を、彼等は答えて成し遂げ示したんだから」

「カカカ、まぁそりゃあな。何やかんや在れど、あの世界で生きてきた俺等にゃあ、喜ばしい限りだからなァ」

 

其の本拠地にして祭りの会場で、SOHO-ZONE・ヤシロバード・サバイバアルは語らい合う。三人共に今は無き孤島──────『ギリシャ文字のサーバー』で名を馳せた彼等にとって其れ(・・)は、非常に感慨深く同時に待ち望み続けた物であり。

 

「…………!団長っ!団長ッッッ!来ました!来ましたよ!」

 

見張りの一人が叫んだ声に、インベントリから取り出した双眼鏡で其の方角を見れば。月明かり射し込む夜空を駆け走り、半裸の鳥頭たる男がしがみ付き、某カリスマモデルそっくりな女アバターを御姫様抱っこし、名無しの男が猛スピードで近付いて来るのを目視し。

 

「ヨッシャ来たァッッッッッッ!!!」

 

SOHO-ZONEの叫びに全員の注目が集まる中、名無しの男…………最大高度(スカイホルダー)の所持者として、シャンフロで今最も熱く有名なプレイヤーはサンラクとペンシルゴンを下ろし。

 

ウェポニア所属のプレイヤーが次々と、半円を囲う様に集まって来れば、サンラクは『まぁ取り敢えず全員落ち着け』と、ハンドサインでジェスチャーを送って。

 

そしてペンシルゴンがインベントリアから、自分が選んだ拳銃のベラールフィンを取り出し、魔力を弾丸としてチャージ。利き手に握って夜空に銃口を、引き金を二度引いた事で二発の発砲音を高らかに鳴らして。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「けんッ!じゅうッ!ふっかぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーつ!!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

三人のシンクロボイスが轟き、クラン:ウェポニアの面々と合流したヤシロバード&サバイバアルが歓声を挙げるまで、一秒と掛からなかった。

 

 

 

 






狂乱を産声に


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