銃に酔いて
「いぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜ヤッハァー!!!!」
「ガン!ガン!ガン!ふぅーーーーー!!!」
「けーんじゅー!けーんじゅー!けーんじゅー!」
「酒だァ!酒持ってこぉおおおおい!!!」
「風穴開けてブッ壊すなよ!フリじゃねーからな!?」
シャンフロ第15の街・フィフティシアから少し離れた場所に在る、クラン:ウェポニアの本拠地。嘗て此の地に在った盾の
ウェポニアと午後十時軍からの合同依頼………様々な銃の
「嗚呼、素晴らしい!本当に素晴らしい!ハンマーにトリガー、シリンダーにグリップ!シャンフロのクオリティとリアリティの銃は期待していたけど、運営や開発陣は其れを軽々と凌駕して来た!此の重さに銃特有の匂い、そして質感!まさに拳銃の其れだ、あの日から恋い焦がれた拳銃の感触だ…………!」
「なぁ、サンラク。ヤシロバードさんって銃の話になると、随分早口なるみたいだが大丈夫なのか………?舌噛んだりしない?いや、俺もレトロゲーム語ってる時は早口になったりするから、人の事は言えないけども…………」
「まぁ、サバイバアルにヤシロバードにSOHO-ZONEに関しちゃ、孤島に脳を焼かれた奴等だしな」
そう言ったサンラクの視線の先に、サバイバアルがSOHO-ZONEとミル・ト・コルン(通常Ver)の売買交渉をしている。二人の目の血走り具合やら、白熱した熱弁(?)は益々デッドヒートを辿っている事からも、シャンフロにて銃を甦らせたという実感が此処に来て犇々と感じられる様になった。
「サンラク、ペッパー、本当にありがとう!色々な感情や想いを。たった五文字に込めて言わせて欲しい…………ありがとう!」
「サンラク君、ペッパー君。自分からも改めて礼を。本当にありがとう、此の御礼は必ず」
深々と頭を下げたヤシロバードにSOHO-ZONE、更にはウェポニアのメンバー達も二人に深い感謝の意を示す。そんな中、サバイバアルがサンラクの方に走り寄って来るや、いきなり「十億マーニ貸してくれ」と土下座して頼んで来たのを見て、三人は何やってんの?と共通の感情と共に遠い目になる。
「マジで頼む!十億マーニ貸してくれ!ミル・ト・コルンが欲しい!」
「おい、サバイバアル。お前マジでどうした、というか俺はお前の親じゃねぇぞ?」
「其処を何とか!」
「駄々コネのガキじゃねーか!!!」
半裸の男の脛に齧り付く女グラップラーという、目にも当てられない光景を頭を擡げてみていれば、ペンシルゴンが凄まじく悪い笑顔をしているのを目撃。同時に彼女が絶対に何かやらかす未来しか見えないと直感した彼は、ペンシルゴンを引き止める。
「あーくん、どしたの?」
「ペンシルゴン。今絶対サバイバアルさんにマーニ貸して、奴隷にしようって考えなかった?」
「…………………ソンナコトナイヨ」
棒読みで言い張ったペンシルゴンの顔を見たペッパーが、彼女の仕事柄で身に付けたポーカーフェイスの中に有る、些細ながらも一緒に過ごしていなくては気付かない、ある『小さな変化』を見過ごさない。
「──────『悪い事企んでる時に左頬が僅かに強張る』。ペンシルゴンが何か企んでたり嘘付いてる時に、其の反応が顔に出てる」
「えっ」とキョドったペンシルゴンに、ニッコリ笑顔で「なーんてな」とドヤ顔て言ってやった。自分が考え事をしている時に耳がピクピクと動くという、謂わば『無意識の反応』の様な物である事から、彼女も気付かなかった可能性が高い。
赤面しながら頬をぷく〜と風船の様に脹らませて、軽くポカポカと猫パンチの威力で肩を叩いて来るペンシルゴンを、ペッパーが軽く流しているとサンラク含めて周りの面々も、驚きや意外そうな表情をして。此方の事情を知っているサンラクだったり、極一部だが何かを察したプレイヤー達も、彼と同じくニヤニヤ顔をしていたのである。
「あ。そうだ、サバイバアル」
そんな時に何か閃いたサンラクが何かを取り出し、ガチ泣きしそうなサバイバアルに見せて。
「あ?何だ、金貸して──────くぁwせdrftgyふじこlp!!?!??」
其れを見たサバイバアルはと言えば、目を丸くしてゴロゴロと転がり狼狽した表情をしながら、ピタッと静止して。ペッパーが覗き込めば、何やら『バーらしき場所で撮ったビキニアーマーを纏った、金髪碧眼の幼女を含んだ複数の写真』が。
軈てサバイバアルはゆっくりと起き上がるや、深呼吸を数回の後にサンラクへと歩み寄って聞いて来たのだ。
「お前、其れを何処で?」
「あの時にルティアと戦った後に『カード』を貰ってな。其処から何やかんや有って、『幼女先生に教えを乞える立場』になった。多分『カルマ値真っ更な状態で
要点を用いての会話だが、サバイバアルからすれば其の情報は値億金に等しい物であったらしい。「ちょいと用事が出来た」と一人フィフティシアへと走り出した、
「サンラク君、サンラク君。其の幼女は?」
「賞金狩人の『ティーアス先生』、今の俺のメイン職業で師匠ポジのNPC」
「……………もしかして、
「其のティーアス」
サンラクの簡単な返答にペンシルゴン含め、プレイヤー達はざわめいている。どうやらティーアスなる者は、相当な有名人であるらしい。
「えっと、ティーアスって人はそんなに有名なのか?」
ペッパーの問い掛けにペンシルゴン含めて、一部のプレイヤー………其の全員が嘗ては『元PKerとして活動していた者』は、本当に何も知らない様子のペッパーに語り出した。
彼等彼女等曰く『確認されているシャンフロのNPCの中で五指に入る最強クラスの存在』やら、『サバイバアルを頭にしているティーアスちゃんを着せ替え隊の面々にとってのメインターゲット』やら、或いは『世界最速のNPC』等々の声が上がったのである。
「世界最速のNPCかぁ…………」
「
「確か何処かの掲示板では『気付いた時にはデスポーンした』とか何とか有ったよ」
「…………情報が少ないね。どういうベクトルで速いのかが解らないと、イメージが沸かないな」
他のプレイヤー達の情報を精査するが答えには至らず、ペッパーはティーアスの最速の秘密を思考の端に置いて置く事にし。拳銃復活の宴の途中でペッパーはウェポニアの面々からペンシルゴンとの関係に付いて聞かれ、名前隠しの三部位一体の装備に付いて質問されたりしたが、ペンシルゴンが睨みを効かせる形で退けて。
未だ歓喜の坩堝の中、ペッパーとサンラクにヤシロバードとSOHO-ZONEは『話』をし。其れを聞き届けた三人は、ウェポニアの本拠地を脱出。全力疾走でフィフティシアまで駆け抜け、裏路地に潜り込んでラビッツへと帰還して行ったのだった…………。
興奮は冷め止まず