VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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やって来たのは




悠久の鋼を求めて

アイトゥイルが開いたゲートを越えてやって来たのは、ペッパーにとって『ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンから愛呪を賜ったり』、『世界の真実に近付くバハムートを呼ぶ笛の三つの装置獲得』を含め、少なからず因縁が在る地・無果落耀(むからくよう)古城骸(こじょうがい)

 

レベル99越えのモンスターが闊歩し、プレイヤーも最低レベル80越えが大原則とまで断言される危険地帯。其れも夜にともなればシャンフロのモンスターは軒並み狂暴化し、ステータスも大幅に増強されて出撃するので、下手を打てば踏破済の廃人プレイヤーでも唯では済まないエリアである。

 

「…………レベルキャップを解放したからか、モンスターが寄って来ない御影で今まで以上に探索し易くなったのは、喜ぶべきか悲しむべきか…………」

 

以前なら突撃を仕掛けて来ていたハードラック・ライノが、綺麗な180度回頭して逃げ去る姿を遠目で見送りつつ、アイトゥイルはペッパーの頭の上に乗って聴覚で、リュカオーンの分け身たるノワは彼の周りを歩き回って匂いを嗅いで嗅覚で、其々が得意とする索敵方法でパーティーに貢献している。

 

尚ヒトミは誰かに見付かったならば、非常に面倒な事にしかならないので、用が出来るまではインベントリア内で待機しているのだ。

 

「ただ夜の時間帯なのと見ている残骸が同じ色?っぽいから、一目でどれが鉱脈なのかが判らないんだよな」

 

黒狼の鋭眼(アーテオル・ガウス)を起動し、其れでも尚見付ける事が出来ない此のエリアの鉱脈に、ペッパーはカメレオンか何かと疑ってしまう。とはいえ百足蚯蚓の様に動き回る訳でも無く、此のエリアの何処かには在る筈なので根気良く粘って探すに越した事はない。

 

「あ、そうだ。試してみるか」

 

何かを閃き、インベントリアを操作。取り出して使ったのは、ユニークモンスター・深淵のクターニッドの撃破報酬として手にし、色調を反転させる効果を宿した『緑の聖杯』。

 

クターニッドが使った時は聖杯の色を含め、自身や相対したプレイヤーにNPCなフィールド全体をも反転色にした出力を誇ったが、此の聖杯は『プレイヤーの周囲に限定した色調反転を行う効果』であるらしい。

 

「黒狼の鋭眼と併用してると元々の状態に戻るのか…………お?」

 

変化した色調の中で辺りを見渡せば、積み重なった残骸の中で周りと『僅かに色調が異なる』残骸の山を発見。周囲警戒を怠らずに接近から、強化したばかりのエレメオールブレイカーを左手に装備。

 

インパクトを意識して叩き付ければ、火水風土の四つのエフェクトが放たれて残骸の一部が崩れ落ち、ドロップアイテムとして地面に転がったので、彼はフレーバーテキストをチェックしてみる。

 

 

 

 

 

 

 

悠久遺鉄(アーテルメタル)

 

無果落耀の古城骸に出来た残骸山で、極稀に採掘出来る希少な金属。朽ち錆びた金属が多く遺る地に錆びる事無く存在し続ける鉄にして鐵であり、一説によれば遠い日に起きた戦いの記憶を、其の内に封じているとも云われている。

 

 

 

 

 

 

(戦いの記憶………確か此処はライブラリ曰く『ずっと昔に此の地は大規模な戦場だった』とか言われてたっけ。というかコレ、テキスト的に考えて『レアメタル』判定下されてない?)

 

ギルフィードブレイカーの成長形態に必要な鉱物系アイテムであり、此のエリアではおそらく最高レアのアイテムともなれば、先ず長丁場は避けられない。故にペッパーはサブ職業(ジョブ)神秘(アルカナム):運命の輪(ホイール·オブ·フォーチュン)をセットし、ノワに堀り出した悠久遺鉄の匂いを嗅がせてみた。

 

「ノワ、此の鉱物の匂いを探す事は出来るか?」

『ワゥル!』

 

まるで『任せて』と言わんばかりのドヤ顔で、ペッパーの掌に乗った悠久遺鉄の匂いを嗅ぎ、狼の………犬科特有の強力無類の嗅覚を用いて、無果落耀の古城骸の空間内に漂う『同じ匂い』を探し始めたと同時、頭の上に乗るアイトゥイルが何かを察知した。

 

「ペッパーはん、ペッパーはん。離れた場所に開拓者さんが居るみたいなのさ、二人共『女』の人みたいで片方はワイは『聞き覚え』が有るのさ」

「聞き覚え?って事は『クランメンバー』か、或いは…………。取り敢えず見られると不味いし、アイトゥイルはコートの中へ隠れつつ、ノワは俺の影に擬態して目的地まで案内してくれ」

「はいさ!」

『ワンッ!』

 

見付かったら見付かったで、上手い事切り抜けなくてはならない。故にこそ彼は先手を打つ。アイトゥイルをコートの中へ、ノワを影に擬態させて、自分は所持スキルの局極到六感(スート・イミュテーション)天空の神眼(ラトゥルスカ・ゴッドアイズ)を点火し、強化された視力と俯瞰の視点から索敵を行って。

 

『グルル』と影からノワの声が聞こえて其の方角に影が伸びるのを見、彼女が鉱脈を見付けた様だ。後は己の運と物欲センサーによる、ゲーマーとして避けられない戦いをしなければならず、素材が出ずに一徹以上沼る可能性も加味していた其の時。

 

 

 

 

 

 

「HEY!ブラックガイ!」

「んえっ!?」

 

突如声を掛けられ、其の方角を向けば瓦礫の山の中腹の。トンネルらしき場所から姿を見せる、一人の女の姿在り。

 

其のアバターも色調反転こそしているが、おそらくは『グラマラス体型の金髪碧眼高身長』という、おおよその日本人がイメージするアメリカ人女性の其れに等しい物。頭上を見れば『アージェンアウル』というPNが掲げられ、職業はグラップラー系列の前衛アタッカー的な見た目をしているのが解る。

 

そして何故だか、彼女の声には()()()()()()()()()()。関わったら関わったで、非常に面倒臭い展開にしかならない……………そんな予感が襲い掛かり。

 

 

 

 

You are a black shooting star(貴方がブラックシューティングスターね)? I am real Meteors(私はリアルミーティアス)!」

「…………………オゥ」

「おーい、シル……じゃなくてアージェン、何か見付…………あ、ペッパー」

「オイカッツォ、何故此処に居るし!?」

「あ、ケッツォ!」

「ちょっ、アージェン!!其の名で呼ぶのやめれ!?!」

 

 

 

 

まさかの全米一位、シルヴィア・ゴールドバーグとのエンカウント、オイカッツォを添えてだった。乱数の女神が、愉悦に嗤って荒振っている……………。

 

 

 

 

 






全米一位と胡椒が、ガァァァチャンコォッ!(違)


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