VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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出逢ってしまった星と星




交錯する星々の煌めき

アージェンアウル………此のシャングリラ・フロンティアの世界におけるリアルミーティアス、全米一位の格闘ゲーマーこと『シルヴィア・ゴールドバーグ』だった。オイカッツォからシャンフロにデビューしているとクランチャットで聞いていたのが、まさかこんな形で遭遇する事になろうとは…………。

 

「ケッツォ、彼がペッパー………もとい『AZ』よね?」

「……………ウンソウダヨ」

「ちょウォイ!?!いきなり何してくれてるんじゃ、オイカッツォ!!?個人情報保護どーなってるんだよッ!?」

 

ゲッソリ気味の遠い目をしたオイカッツォに対し、思わず魂のツッコミを叩き付けるペッパー。そんな中、アージェンアウルはペッパーを見ながらこう言っていた。

 

「ペッパー、クランバトル観たよ!前よりずっとスピーディーで、ずっとパワフル!だからアタシとミーティアスで勝負シヨ!」

「過程がスッ飛ばされてるせいで、話の流れが掴めないんですがあのその…………」

 

クラン対抗戦を観たので、ギャラクシーヒーローズ:バーストで同キャラ対決をしようと、わざわざシャンフロの地で本人を捜し出して要請に来たのだとすれば、オイカッツォのゲッソリ気味の状態にも納得出来る。Eメールだと断られる可能性が有ると考え、直接申し入れる形にすれば此方が断れないと踏んでいるのだろうか?

 

オマケに縄武器まで取り出しからの装備、墓守のウェザエモン戦において戦術機馬の麒麟に張り付く為に用いた、縄傀儡【蛇】でも使用せんとする程に切迫している事から、相当追い詰められていると見て取れる。

 

「…………で、どうしたのさオイカッツォ。随分と切迫して今直ぐに『やらかし』そうな顔してるけども」

「…………お前って時々解った上で、意見言ってる事有るだろ。いやホント、今回ばかりはマジで。本当にマジのガチで協力して貰いたいんだ」

「………………仮に断ったら?」

「俺が全世界に醜態を晒す事になり、お前を道連れにする覚悟を決めてる」

「よし、ペンシルゴンに連絡するわ」

「待て待て待てェ!話だけ聞いてマジでッッッ!!」

 

流れる様にサラッと言い切った辺り、流石は甘いマスクを被った中身外道の毒舌プロゲーマー。だが其処まで言うとは、事態が事態だと言ってもいいだろう。

 

「……………解ったよ、取り敢えず話は聞いてやる。あくまで話を聞いてやるだけだから、期待はしない様にな。で、オイカッツォはわざわざ有名になった俺に、一体何を頼みたいのさ?」

 

鼻で溜息を吐きつつも真剣な眼差しで見つめるペッパーに、オイカッツォもまた真剣な表情と共に手招きし、アージェンアウルにはハンドサインで『ステイ』を要求した後、少し離れた場所に移動してから、耳打ちでこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「『グローバル・ゲーム・コンペティション』。年に一度のゲームの祭典、各国のゲーム会社がリリースするゲームの紹介や体験会が行われる一大イベント…………其のイベントで行われる『ギャラクシーヒーローズ:カオス』のエキシビションマッチ。其の戦いでアージェンアウルの所属する『Star(スター) Rain(レイン)』と、俺が所属してる『電脳大隊(サイバーバタリオン)の格ゲー部門・爆薬分隊(ニトロスクワッド)のマッチ』で、爆薬分隊(こっち)側の選手として出場して欲しいんですよ」

「────────────マジで?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グローバル・ゲーム・コンペティション、通称GGC…………年に一度行われる所謂『ゲームの御祭』とも称される大規模イベントだ。斯く言う自分も此の祭典は知っているし、何なら昨年の夏に話題を掻っ攫い、外国人ユーザーから『おま国ゲー』と嫉妬じみたコメントが殺到しながら、其れ以上の盛況を見せ付けて塗り潰した事を『其の会場』で見ている。

 

「ギャラクシーヒーローズ:バーストの続編、ギャラクシーヒーローズ:カオス。バーストでのリアルミーティアス相手に新参ながら、思考の刃で流星を捉えた事実。そしてカオスが『シャンフロシステムを搭載しているゲーム』だからこそ、此のゲームで『シャンフロのミーティアス』とまで言わ占めている、ペッパーの力を借りたい訳さ」

「待て、ちょっと待て。シャンフロのミーティアス?何故に別のゲームのキャラの名前が出るんです?」

「あのなぁ…………黒狼との対抗戦がネットの海に拡散された挙句、其れが家のトップも観て『ペッパーってAZだよね?』から始まり、トントン拍子に話が加速していってね。電脳大隊の検証班がバースト時の動きとシャンフロでの動きと声から、ペッパー=AZと目星を付けましたという」

 

警察の調査では犯人探しの際に、歩幅や声帯といった些細な情報をも集めて特定するとは聞いた事が有るが、まさかプロゲーミングチームにも其の手の類が居たとは、ペッパー自身も想定外だったらしい。

 

そしてシャンフロシステムとは、文字通りシャングリラ・フロンティアに搭載されているシステムを指し、重力等の物理エンジンにNPCとの会話を含め、現実世界の其れと遜色無くゲームに組み込める画期的な物だ。

 

「因みに電脳大隊は既に君の住所は特定済み、其の気になればリアルミーティアスを突撃させる事も吝かじゃない」

「おうしれっとリアルを脅迫掛けるの、世間一般じゃギルティなん解ってるのか?」

 

ペンシルゴンもサンラクも、オイカッツォも京極(キョウアルティメット)も外道側の人間だ。秋津茜(アキツアカネ)の光にもう一度焼かれて、取り敢えず御祓いして貰って人生を一からやり直して欲しいと、此の時ばかりはペッパーもマジで思った程だった。

 

「…………………とはいえ、ペッパーの力も借りたいのは『マジ』なんだよ」

「知ってる。無敗神話を打ち立て続ける彼女に勝つ為に、見えない場所で努力をしている事もね」

 

伊達に二年もプロゲーマーと対戦数を重ねていれば、オイカッツォの………魚臣 慧という人間の事も少なからず解ってくる。同い年ながら日本最強のゲーマーとして、世界の強豪達を相手に今も尚、勝率を八割キープし続ける事の難しさと凄さを。

 

そして魚臣 慧もペッパーを………五条 梓の事を解っている。口では何やかんや言ったり関わりたくないと言いながらも、友のピンチには颯爽と駆け付けて全力で事に当たる、ある意味『ヒーロー』らしい人物である事を。

 

「……………解ったよ。日時とか含めてメールで送ってくれ。バイトのシフトやら、諸々含めて調整に掛かる」

「!…………交通費や宿泊代諸々含めて、此方で全額負担するから。あと……………ありがと

「ツンデレかよ」

「うるへー」

 

自分もつくづく甘ちゃんだなと心の内にて悪態を突きながらも、ペッパーはオイカッツォからの。延いては日本屈指のプロゲーミングチーム、電脳大戦からのGGC出場依頼を引き受けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。オイカッツォ、ファステイアに行ってみると良いよ」

「ん?何かやる気か?てか、何で最初の街?」

「まぁ強いて言うなら………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『世界の真実に近付く』──────かな。

 

 

 






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