VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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大事な事を知る為に




始まりの地、笛の音は響く

オイカッツォからの依頼を受けた事でGGC出場確定となった後、オイカッツォはアージェンアウルと共にファステイアを目指し、ペッパーは『ログイン出来ているメンバーはファステイアに来てみてくれ』との連絡をクランチャットに入れ、本命である悠久遺鉄(アーテルメタル)の採掘に再度挑んでいた。

 

「ノワ、見付かりそう?」

『グルル』

「鉱脈………もとい残骸山は粗方探したから、殆ど残ってないのさ」

「所謂『取り過ぎ』って奴かな?もうちょっと粘りたかったが仕方無い、今日()此処で引き上げよう」

 

後日また無果落耀(むからくよう)古城骸(こじょうがい)で採掘する事は決定事項としつつ、時間を確かめれば午後十時半に差し掛かる所で。流石に通しで掘り続けるのも疲労や退屈を含めて積み重なるので、キリが良いと割り切って終わりにする事にした。

 

「さてとだ。ログアウトする前に一度行っておきたい場所が有るし、其処に行って確かめてから寝るとしよう」

 

善は急げとの言葉が有るので、行動は迅速に行うに限る。ペッパーはアイトゥイル・ノワを連れ、インベントリアのヒトミと共に一度イレベンタルへと引き返し。イレベンタルからセカンディルに繋ぐゲートを開いて貰った後、アイトゥイルにマナポーションを手渡して、懐かしき第二の街に移動。

 

そして一羽と一匹を抱え、其の脚でセカンディルから走り出し。シャンフロを始めたプレイヤーがアバター製作時、選んだ出身によってはスタート地点になるビギナーエリアこと『跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)(もり)』を、更に先に在るシャンフロの第1の街・ファステイアに向かうのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘗て最序盤のレベリングやリュカオーンの呪い(マーキング)時代の検証、貪食の大蛇に挑む為に駆け抜けた記憶が過ぎる、夜闇に満ちた跳梁跋扈の森の中をペッパー達は駆け抜ける。

 

途中レッドキャップゴブリンや武装したオーク、狂暴化したアルミラージ等々とのエンカウントを果たすが、全員リュカオーンの愛呪が放つ影響にやられて、悲鳴を上げながら逃げ去って行く。

 

「あ、ペッパーさん!こんばんわ!」

「御晩で御座る」

「どうも、です………ペッパーさん」

「ペッパーさん!」

「御久し振りで御座るよ、ペッパー殿」

「やぁやぁ、私のあーくん。こんな時間にいきなり招集掛けるだなんて、よっぽど私に会いたかったのかな?」

 

森を進んでいれば、秋津茜(アキツアカネ)・シークルゥ・サイガ-0・レーザーカジキ・エストマ・ペンシルゴンの、四人ニ羽のパーティーが居て。案の定というか独占欲を発揮したペンシルゴンに、影から出て来たノワは喉を鳴らして威嚇しながらバチバチバチッと火花を散らし合う。

 

「まぁ、色々とね。他の皆は?」

「ルストちゃんとモルド君、京極(キョウアルティメット)ちゃんはサンラク君がフィフティシアで拾って、キュルアちゃんの所で買った使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)を使ってファステイアまで移動したってさ。何やらサンラク君は君の文章から『当たり』を付けてるみたいだけど?」

「そうだな。確信が有るって訳じゃないが、其れでも答えの八割方は掴んでいる所さ。今からやるのは『答え合わせ』って所かね」

 

ライブラリ・SF-ZOO・午後十時軍・黒剣(シュバルツシルト)・ウェポニア・聖盾輝士団(せいじゅんきしだん)はクターニッドやリュカオーンの件で躍起になっているので、其れを邪魔しない様にするべく伝えていない。

 

ペンシルゴン達のパーティーにペッパーの一団が加わり、全員パートナーのヴォーパルバニーを擬態させて暗闇の森の中を進み続けていけば、今は懐かしき開拓者達の始まりの地たるファステイアが見えた。

 

「到着だな………懐かしい」

 

ライノベレーの帽子を被り、ゲーム開始時に世話になった街の景色を懐かしみつつも、其の中へと入って行く。と、視線の先に他のプレイヤー達の集まりが一つ有り、中心にはマフラー擬態状態のエムルを連れたサンラクが質問攻めを食らっており、其処から離れた場所にはルスト&モルドのコンビに京極の姿、此方も他のプレイヤーに寄られて困っている様だ。

 

「おーい。サンラク、ルスト、モルド、京極。待たせたか?」

 

手を振って声を掛けた瞬間、サンラク達の周りに居たプレイヤーの視線がペッパー唯一人に向けられる。直後に雪崩の如く彼等彼女等に囲い込まれ、ワーワーギャーギャーと集られそうになったが、ペンシルゴンがギロリと割とガチな睨みを効かせた所、喧騒は随分と抑えられた。

 

「おぅ、ペッパー。丁度良い所に来たな、其れと『ビンゴ』みたいだぜ?」

「そうか………、良かった」

 

ペッパーとサンラクによる要点の会話、プレイヤー達は首を傾げて一体何なのかと疑問を持つ中、ペッパーはゆっくりと進んで行くと()()()()()()()から音が鳴り始め。彼はシャンフロをプレイし、得て来た数多の情報から出した答えを此処に示す。

 

「シャンフロのゲーム開始時に流れたオープニングの文字には『開拓者は東より風と共に現れる』と在った。そして『二号計画』は開拓者(俺達)を………プレイヤーを産み出す為の計画だった。ならば其れを産み出したのは、()()()()()()?」

 

インベントリアから取り出すのは『銃』、しかし其れには殺傷能力を搭載していない、謂わば『信号拳銃(フレアガン)』の其れであり。其の銃から音が鳴っている事に気付く中、彼は一歩また一歩とファステイアの中心地に向かって行き、他のプレイヤー達も付いて来た。

 

「シャンフロは遠い昔、神代と呼ばれる時代に生きる人々が居た。其の人達は星の海を旅し、此の星にやって来た。ならば此処に来るのに使った物……………、例えば()()()が在る」

 

フレアガンから鳴り響く音がより強くなる、そして街の中心地に立った事で其の音は最高潮(ピーク)に到達する。

 

「此の地に居るのが、どれなのか(・・・・・)は俺には解らない。けれど此処に居るって事は、少なくとも開拓者の旅立ちを()()()()()()んじゃないかな?」

 

掲げられるフレアガン、ペッパーは静かに。しかし仮説が確信に変わった事を誇る様に、其の名を述べた。

 

「さぁ、答えを示して貰おうか……!星の海を渡る方舟、否──────バハムート(・・・・・)よ!」

 

カチンと引き金は引かれ、其の音がファステイアに響き渡る。

 

其のフレアガンは『BC-ビーコン』、嘗て頼まれた御使いで三つのΔ装置を発見し。ペッパーとサンラクの手によりヴァイスアッシュに届けられ、完全に修復された()はファステイアの街に響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那──────大地が、世界が揺れた。

 

 

 






笛の音が響く


















???『漸く見付けましたね』


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