VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ペッパー御一行、遺跡散策を開始する





遺跡は危険(スリル)未知(ロマン)で溢れている

サードレマの裏路地から出発し、時折表通りも駆使しつつ、神代の鐵遺跡へと繋がるゲートを越えたペッパーと、ビィラック&アイトゥイルの1人と2羽のヴォーパルバニーのパーティーは歩みを続ける。

 

「此処等辺、草木が所々に生えてきてるな…そろそろ着くだろうか?」

「地面に黒い物体が埋まってたじゃろ?アレは元々、遺跡に在る『どろーん』なる物の成れの果て、ちゅーハナシをオヤジから聞いた」

「オカシラも昔、ワイの寝る前に語ってくれてたさ…懐かしいさね…」

 

周りに人が居ないか確認しつつもペッパーが進んでいくと視界に小さく映る、根と苔に侵食された、黒い鋼色の建造物が見え。走り出して、草々を掻き分けて接近していくと、徐々に大きくなっていき、軈ては見上げる程の巨大にして時代の流れを感じる、大いなる遺跡に辿り着いた。

 

「此処か…『神代(しんだい)鐵遺跡(くろがねいせき)』は」

「うむ、此処にペッパーの求める『駆動鉱石(ギアメタル)』が在るんじゃ」

「そして、別の街に向かうための踏破するエリアの1つ……さ」

 

遺跡は何時の時代も、危険と宝探しの匂いが漂う。未知とは危険に似てこそいるが、其処に解き明かされぬ謎が在るならば、人は其れを求めて歩む事を止めない生き物で。そしてペッパーも、そんな人間の1人なのだから。

 

「さぁ…遺跡(ダンジョン)攻略行きましょうか、御二人さん」

「応ッ」

「了解さ~」

 

ファーコートを解除したビィラック、マントから出たアイトゥイルを両肩に乗せ、鐵遺跡の『地上側』からの入口より脚を踏み入れて、ペッパー達一向は地下へ続く階段を降りていく………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下続きの階段を下り、遺跡の地下一階にやって来た一同の目の前に現れたのは、皹割れて苔むした壁や床と天井に、機械の電子板に似た紋様と不規則に浮遊している黒鋼の板達が点在しているエリアだった。

 

「……『ブレイヴ・ギャラクシー・ファイター』のラスボスステージだわ此処…懐かしい」

「ぶれ…何じゃて、ペッパー?」

「ギャラクシー…神秘なる宇宙の事さ…」

「あー……此方の独り言だから、2人は気にしなくて良いよ」

 

一昔前…といっても10年くらい前の、まだディスプレイがゲームの主流だった頃に発売された、SF格闘ゲームの金字塔…其れが『ブレイヴ・ギャラクシー・ファイター』というゲームだ。

 

当時としては圧倒的なステージクオリティと、VR技術の先駆けとも言える操作感を融合、大会も開かれた事も有った『神ゲー』で、俺とカッツォが交遊関係を結ぶ際に話の『決め手』になったのも、実は此のゲームが大きかったりする。

 

「えっと……確か事前に調べた情報だと、地下5階にエリアボスの『ルイン・キーパー』が居るんだよな。で、其の先に出口が在り、シャンフロ第6の街『シクセンベルト』に到着する。と……」

 

下に行けば行く程に鐵遺跡は荒廃しているというのが、事前に調べた情報の中には在った。ネットの中…情報収集時、何時も御世話になる『考察クラン:ライブラリ』の有志プレイヤーによる記事にはこんな事が書いてあったのを思い出す。

 

『神代の鐵遺跡は昔々の神代の時代に『何か』が起きて、地下側のエリアは大打撃を受けた痕跡が在り、下に進む程に荒廃しているのは、其の『何か』が理由である。今後とも調査を続け、記載していく所存だ』━━━━━と。

 

(其の『何か』が、特殊クエスト:【颶風を其の身に、嵐を纏いて】に関係有ったら、また面倒な事になりそうだなぁ……)

 

またしても厄介事に不発弾が重なる気配がして、ペッパーは気と頭が重くなる。と━━━━━

 

「ペッパー!横に注意せい!」

 

不意にビィラックの声が響き、直後に真横から殺気を感じて、ステップを踏みながら回避すると、先程まで自分達が居た場所にギィィィィン!と金属同士の激突音が鳴り。

 

其処には此のエリアで浮遊している黒鋼色の板と同じながら、正三角形のピラミッドタイプの物体が再度浮遊を開始している姿があった。

 

「アレは敵…というか、リュカオーンの呪いが効かないのか…。『生物系統』と『物質系統』の違いか何か働いてるのかね、あのピラミッドは?」

「ペッパーはん、来るさね!」

 

思考する傍ら、先端部分で突撃を掛けてくるピラミッドに、アイトゥイルの声で切り替えたペッパーは、再び回避して目の前の敵に集中。物質系統なら試しにと、アイテムインベントリから、マッドネスブレイカーを取り出して左手に装備する。

 

「アイトゥイル!ビィラックさん!」

 

2人を肩から下ろしつつ、向かってくるピラミッドに対しては、スキル:ジャストパリィを使って弾き飛ばし。

 

「新スキルの一撃、食らってみなピラミッド!」

 

言うが早いか、レイズインパクトの進化スキルで目や頭部、核といった弱点部位へのダメージ補正が大幅に上昇した『ダイナモインパクト』を平面部分に叩き込む。

 

マッドネスブレイカーの特性である、最も近い相手に対するダメージ補正上昇と相まって、黒鋼色のピラミッドは一撃で粉砕され、ポリゴンが爆散した。

 

「おぉ、コイツは威力十分!」

「ペッパーはん、次来るさかい!」

「油断するなよ、ペッパー!」

 

此方の先制攻撃を皮切りとしたのか、ピラミッド型の物体達が次々と正三角形の先端部分で、此方を怒突きに掛かり始めた。

 

「折角だ!便秘で学んだ格闘技術、お前達で試させて貰う!」

 

突進してくるピラミッドに、ペッパーはスキル:アクセルを起動し、アイトゥイルとビィラックを常に視界に置きつつ、ベルセルク・オンライン・パッションで学び、習得した格闘技術を披露する。

 

甲皇帝戦脚(エクスパイド.ウォーレッグ)が装備出来ない此の恨みぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!お前等で晴らしてやる畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

怨嗟に等しき声を挙げ、ピラミッドの進行方向に立ちつつも、スキル:見切りとハイドレートワークの併用で躱わし。無防備な平面に『回し蹴り』を、上から来る場合はブレイクダンスの要領を用いた『蹴り上げ』で、後ろから来るならば『背面蹴り』を打ち咬まし。

 

地面に撃墜させてからの、ヤクザキックに似た『踏み付け』や『踵落とし』や『膝蹴り』による追撃、サッカーボールキックの様に『蹴り飛ばしたり』しながら、スキル:剛擊やハイプレスを用いた『拳による殴り付け』を無機物のピラミッドに叩き込む。

 

「ペッパーの奴、滅茶苦茶燃えとるのぉ…わち等も負けとれんな、アイトゥイル!」

「そやね、ビィラック姉さん!ワイ等も遅れは取れないのさ!」

 

鬼神の如く殴り蹴るペッパーに負けじと、ビィラックも炎霊の手袋(イフリートグローブ)を装着。己の獲物たる大鎚・王鬼の戦鎚(スレッジ・オーガ)を手に取り、接近してくるピラミッド達の位置を見極める。

 

「狙い良し…位置良し…!いける!」

 

地面に打ち付けた戦鎚が、衝撃によって炎を纏う。地獄の業火に等しき熱と、ビィラックの鍛えられた筋力から繰り出される其のスキルは、巨人の名に相違無き絶大な一撃と成って放たれる。

 

「ぶちかませ…!タイタンブラスト!!!」

 

ガッキィィィィン!!!と一際大きな音が鳴り響き、戦鎚に弾き飛ばされたピラミッドが、近くを浮遊しているピラミッドや鉄板を巻き込んで激突。

 

ピラミッド達はボウリングのピンが如く離散して地面に墜落、打ち咬まされたピラミッドに至っては、ピンボールのパチンコ玉の様に反射してあちこちに飛んで行き、最後は壁にぶつかって粉々に砕け割れた。

 

「月威…さね!」

 

アイトゥイルの嵐薙刀(らんなぎなた)虎吼(とらほえ)もまた唸り、凝縮された一点集中による突っ衝きが、墜ちたピラミッド達の土手っ腹へ、周りに一切の皹割れを残さない風穴を穿ち抜き、1つまた1つと破壊していく。

 

其れを横目で見たペッパーは思ったのだ。

うん、やっぱり此の2人滅茶苦茶強いわ……と。

自分も更に強くならなくてはいけないと、そう肝に強く銘じて。

 

「準備運動としちゃ、上出来じゃろ」

「良い汗掛けたさね…嗚呼、酒が美味いのさ…」

「お疲れ様です」

 

エリアに居たピラミッド達をあらかた砕き尽くし、安全を確保した一向は、少しだけ休憩を挟んで次のエリアへ、次なる階層を目指して進む。

 

遺跡探索はまだ始まったばかりだ。

 






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