入場した者達が見たのは
ペッパーによって其の正体を暴かれた、巨大なる
そして条件を満たし、入場を許可されたプレイヤー達が進み、彼等彼女等が其の先で見た物は…………巨大で深淵へと続く深い深い『大穴』と、離れた場所にベッドルームが在る不思議な空間だったのである。
「穴…………というかコレ、
『えぇ、部分的には正解です。アップル・コット。此れは『試練』であり、同時に『再現』であり、そして『試験』なのです。我が子達よ』
アップル・コットなるプレイヤーが呟いたと同時、大穴の中心たる虚空に顕れた『ホログラフィックの女性』。其の姿は首から上は仕事が出来る女性という印象なのだが、逆に首から下は一昔前の『割烹着』というインパクトの有る見た目だった。
『私の名は『
そんな中、象牙は唯一人
「初めまして、象牙さん。自分はペッパー、ペッパー・
『……………其の名前は
「
象牙の問い掛けに確固たる事実を以て答えてみせれば、彼女は暫し沈黙し…………軈て口を開く。
『そう、ですか…………。きっと『アンドリュー』が此の事を聞いたら、貴方に色々話を聞きたがるでしょうね』
「アンドリュー?」
『此方の話ですよ、ペッパー・天津気。えぇ、でも………今の私はとても『歓喜』しているのです。貴方は彼が見定めた『英雄』なのでしょう』
象牙は微笑みながらに言う。其れは成長した我が子が、誰にも真似出来ない『素晴らしい偉業』を成した事を。其れも一瞬、象牙は此の状況に関しての説明を行い始めた。
『現在ベヒーモスは、レガシーモードとして稼働しています。構造は
「…………ん?」
象牙の言葉にサンラクが疑問を抱き、そして問い掛ける。
「なぁ、象牙よ。俺達の
『……………素晴らしい。よく気付きましたねサンラク、御褒美をあげましょう』
そう言った象牙、同時にサンラクに振り込まれたのは『5000リザルト』なる物。
「リザルト?」
『此処ベヒーモスで使える『通貨』です。フフフ………此の先のエリアで買い物をする時だったり、
何やら『含み』が有る言い方をした象牙に、皆疑問を覚えつつも本題たる大穴に視線は向き直る。
『どうか見せてください、愛しき我が子達よ。貴方達が旅の中で培い、育んだ其の強さを』
そんな訳で始まった、象牙クエスト・大穴攻略。
セーブポイントを更新し、複数人のプレイヤーが飛び込んで見たものの、全員例外無く『謎の攻撃』を受けて死亡からリスポーンして来た。
「灯りが無いと内部構造が判らねぇな」
「いや、此の場にマジックトーチ使うヤツ居るか?」
「取り敢えず『打撃』で殺られたのは間違い無い」
「どーしたもんか…………」
攻略法に悩む開拓者達を見つつ、隙を見つけてセーブを行ったペッパー達旅狼メンバーは、離れた場所でどうするべきかを考える。
「取り敢えずペッパーには光るアクセサリーが有るから、其れを使えば良いと思う」
「そりゃそうなるか…………」
ルストの意見は御尤もである。あの大穴を照らす程の光に、シャンフロの空中戦におけるエキスパートの彼ならば、打撃で死亡した理由を確かめに行けると踏んでの発言。ペッパー自身も薄々だったが、『コレ自分がやらなきゃいけない流れじゃな?』と考えていた所だ。
「じゃ、ちょっくら行ってくる。ペンシルゴン、ノワとアイトゥイルを預かってくれ。くれぐれも仲良く、ね?」
下手に喧嘩して象牙含め、他のプレイヤーに何を言われるか考えたくも無いので、パパパッと終わらせるに限る。アイトゥイルとノワをペンシルゴンに預かって貰い、ペッパーは脚を上げ下げしての心拍数を高め、短距離全力ダッシュをしつつ両手を合掌。
起動条件を満たした
「未知を拓くは勇気の灯火ッ──────!」
其れは『何かの液体に漬け込まれ、しかし個性の有る人間達の標本』だった。
そして此の瞬間。ペッパーの脳内にて情報が繋がり、連鎖し、構築する。象牙の言葉、二号計画、人間の標本………此処に『答え』は導き出された。
「嗚呼、成程……………そういう事か!」
直後に背筋を走る悪寒。ミルキーウェイで踏み込み、回避すれば高速で飛んで行くのを目撃。サキガケルミゴコロを起動すれば、脳内にて『下から飛んで来たエレベーターに打ち上げられた後、錐揉回転しながら地面に落ちて首の骨を折って死ぬ』という未来を目撃。
入った穴を頭上に見据えて、トゥワイス・ジャンピングが進化により、三桁スキルへと至った事で跳躍時の高度や距離を、プレイヤーが自由に調整可能となった『
再度合掌して白光を解除し、ペッパーは象牙に答えを突き付ける。
「象牙さん。此処ベヒーモスは『開拓者である俺達を産み出した地で在り』。そして二号計画は『予め開拓者の素体に封臓と役割を与えて創り、成人に近しい状態で産み出す事で此の世界における開拓を優位にするのが目的』では無いですか?」
『…………とても素晴らしい考察です、ペッパー・天津気。そう………此処は風と共に現れ、風と共に去る貴方達が生まれし『子宮』にして、旅立った『産道』です。此の場所を進む事が出来たならば、貴方の考察に対する『答え合わせ』をしましょう』
「言質、取りましたからね」
大型施設かダンジョンかは解らないが、ペッパーは此の時点で一徹する覚悟は決めている。やるなら徹底的にやり切ってこそ、自分というゲーマーは初めて『納得』出来るのだから。
開拓者の産まれた場所