本命たる攻略戦
リュカオーンの刻傷やリュカオーンの愛呪、おそらく他のユニークモンスターにも存在しているだろう上位の物には、
「でも今の身体は気に入ってるし………性別毎の姿に影響が出るだろうしなぁ…………」
サンラクやサイガ-0他数人のプレイヤーが試験管に飛び込み戻って来た姿を自慢気に見せる中、ペッパーは再キャラメイクをするか否かで悩んでいた。
が、今現在の問題と言えば……………
「ペッパーさん!ペッパーさん!ウェザエモン・
「えぇ、まぁ………。色々有って戦いの後に残された時間で、彼から名と魂を襲名したって所かな」
「ウェザエモンってどんな攻撃して来たんだ?」
「3m以内が即死圏内超速抜刀居合の
聴くタイミングを逃し続けていたプレイヤーが、ペッパーに殺到し天津気の名前について聞いて来たのだ。無論答えられる事に関しては答え、秘匿するべき所は徹底して秘匿、重要情報はペンシルゴンに相談を…………のスタイルを取っているので、流出情報はかなり抑えられている。
「さてと、だ…………本題の第一層攻略と行こう」
エントランス部にもセーブポイントが在った様に、どうやら此の層にもセーブポイントのベッドが備え付けられているらしい。見た目が揺り籠とハンモックを掛け算し、SF要素の自立浮遊をプラスしたみたいなモノという、如何にも奇妙な点を除けば中々不思議な感じがする
「行け行け!」
「あと少し!」
「ちょ、其処で其れぇ!?」
「落ちたッッッッッッ!!」
「惜しいッ、もう少しだった!」
「次は誰で行く?」
「なら俺だ」
「魔法職無理臭くね?」
「タンクだけど、無理ゲーじゃねーのアレ!?」
「流石に軽戦士しかクリア不可じゃない筈………」
ベヒーモス第一層、象牙最初のクエスト。其れは正しく『世界一有名な配管工がコースを駆ける、2Dの横スクロールアクションゲームを3Dに改修したアスレチックフィールド』だった。既に何人か挑み、デスポーンしている事からも難易度はかなり高いらしい。
「象牙さん、コレは?」
『ベヒーモスの全ての階層間に在る『試験』は、力を試す為の『検定』なのです我が子達よ。此の一階層では基本的な運動能力、及び基礎知能テストを兼ねています』
「つまりコレを越えられない者に、先へ進む資格は無いって訳か…………」
見た目は一直線の道を通って、最奥の扉に辿り着けばクリアの様であるが、道中には大量のトラップやら障害物やらが設置され、新たに挑んだ中量級の初期装備プレイヤーがレーザーに焼き切られ、ポリゴン崩壊からの浮遊ベッドでリスポーンして来た。
そして此のアスレチックは『常時起動』している訳では無く、プレイヤーがスタートラインを『越えた』タイミングで稼働開始するタイプの様で、阻む障害物もトゲ・レーザー・開閉する扉・振り子の刃とベターながらも、王道な所はキッチリと掴んでいると言って良い。
「んじゃ、次は俺が行くわ。新しいアバターの出力も確認したいしな」
「おぉ、ツチノコさんやる気か!」
「いよっ、ルティアさん相手に大立ち回り!」
ティーアスちゃんを着せ替え隊の面々が反応する中、エムルをマフラーに擬態させて一回り大きくなり、背丈が185cm程に伸びたサンラクが前へと躍り出て。暫しコースの様子を眺めた直後、胸に右手を叩き付けて黒雷を纏うや、目にも止まらぬスピードでアスレチックに飛び込んで行く。
途中でスキルを使い、アイテムを使い、そして何やらエムルの
参考にならねぇ…………と。
「いやマジで今の動き何!?」
「真似しようと思ったけどちょっと無理かも………」
「転移魔法とか覚えてないんだが!?」
「スクロールあればいけるだろ、アレなら代理発動だしリキャストタイム無しで併用出来る」
「最後スクロール使ってなかったよな?もしや目視で対処したとか?」
「魔法代用のマントに、モーション感度と出力を上げる革手袋かぁ………手に入れたいね」
「というか、あのマフラーって例のヴォーパルバニーだったり?」
やんややんやとプレイヤーが話し合う中、他のプレイヤーも挑んではデスポーンして戻る状況下で、オイカッツォとペッパーはサンラクが攻略した時の彼の『挙動』では無く、フィールドの『ギミック』を話し合っていた。
「最初の飛び石は罠で駆け抜けた方が安全、レーザーは✕字型なので下を通り抜けるのが一番」
「扉の開閉無視する為に
「って事は実質『
「多分な」
レーザーカジキは最近のラビッツシナリオにて、瞬間転移を使って戦っているのを目撃している。媒体を用意・魔法を刻んで行けば、純魔法職でも攻略する事は可能だろう。
「よし、次は俺が行くとしよう」
「あ、あーくん行くの?私も一緒に連れてってくれない?」
「俺も良いか?」
「さっさと進みたいから、同行許可」
「あははは…………」
首の骨を鳴らして前へと進まんとするペッパーに、ペンシルゴンやオイカッツォ、ルストやモルドが同行を求めて。ノワとペンシルゴンが乙女同士による火花をバチバチとぶつけ合う中、彼はペンシルゴンを右腕・オイカッツォを左腕・ノワは右脇の下に抱えるが、流石に此れ以上は運ぶ時に影響が出ると考え、残り一人を決めた。
「アイトゥイルは、頭に移動。レーザーカジキは背中に、ルストとモルドと秋津茜は次で」
「はい!」
「はいさ」
「えっ、ヴォーパルバニー!?」
コートがモサモサと動き、ペッパーの胸部を伝って頭に乗っかったアイトゥイルに、一部のプレイヤーを除いた全員が驚くも、彼はペンシルゴン達を抱えてアスレチックに挑戦する。
「あ、の!ペッパー、さん………私に考えが、有るので……!他の皆さんは任せて、下さい…………!」
「よろしく御願いします!一気に行く、舌を噛むなよ皆!」
スタート直前、サイガ-0がそう言ったので
駄目押しに進化した事で筋力強化による『最大運搬重量』が増大した『キャリーズ・テュポン』で軽々と抱え上げ、
第一の関門はシュレッダーの如く切り刻む様に、人を轢き殺してミンチにする圧殺ローラーだが、空中を速攻で駆け抜けたので一切問題無し。
第二の関門は上下左右からトゲが飛び出して来る動く針山危険地帯では在る物の、ルーパス・アサイラムから進化を遂げた事で、安全地帯に向かうルートがプレイヤーの能力次第では
第三の関門は✕型のレーザー、空中を走り抜けて上側のスペースを通ってクリアし、第四の関門は高速開閉を繰り返すシャッター。通る場合は一度停止するのが良いのだろうが、オイカッツォとの攻略会議の中で答えは既に出ている。だが此処は敢えて、自分は他の選択肢も示そう。
「更に加速ッッッ!!」
一歩目の超加速、スタミナを消費しての使用者の突発的な踏み込みから、一気にシャッターを通り抜け。其の加速を乗せたままミルキーウェイの道を駆け行き、第五の関門たる振り子の障害さえも越えて。最後に襲い掛かる、階層前の最後のトラップたるギロチンの一閃さえも、レーアドライヴ・アクセラレートを発動して乗り越えた彼を捉える事は叶わない。
「よし、攻略完了っと。皆、先に行ってるよ」
「さっすが、私のあーくん♪じゃーねー、皆〜♪」
『グルルゥ♪』
「滅茶苦茶速かったなぁ、ペッパー」
「凄いです………!」
「お疲れ様なのさ、ペッパーはん」
「天晴で御座る」
第一階層を突破したペッパー・ペンシルゴン・オイカッツォ・レーザーカジキ・アイトゥイル・エストマ・ノワはサンラクの後を追い、次なる階層へと向かって移動し。そして其れを見ていたプレイヤー達は、全員同じ感情を抱くに至る。
参考にならねぇ…………と。