次なる場所は
『素晴らしい、第一試験は合格ですペッパー・
ペンシルゴン・オイカッツォ・レーザーカジキ・アイトゥイル・エストマ・ノワを運んでの第一階層の試練を越え、第二階層へと向かうペッパーにホログラフィックの割烹着女性たる
「確かに俺は最大高度を取りましたが、此れでもまだまだですよ。最大高度は『到達点』では無くて、一つの『通過点』と考えていますから」
『重ねて讃えましょう……素晴らしい。かつて人類は「群」から「個」を生み出さんとし、しかし最強の人類が姿を消した事で全ては泡沫と消えました。ですが
そんなこんなで会話を重ねていれば、次なる場所第二階層が見えてくる。其処は言わば『図書館』に加えて備え付けのコンソールが置かれた場所だった。
「此処は………資料館的な何かか?」
「で、御母様?此処の攻略法ってなぁに?」
『筆記テストです』
ド直球のドストレートが飛んで来た。まさかの筆記試験………、中学英語テスト、妖怪i足らない、夏休み補習………うっ頭が。
「テストかぁ………やだなぁ………」
「アババババババ………」
「ペッパーはん!?大丈夫なのさ!?」
『大丈夫ですよ、オイカッツォ。ペッパー・天津気。達成条件は80点以上、此の階層はある種の資料室となっておりますので、テストを『提出するまで』は此処に在る資料は好きに閲覧して構いません』
「えっカンニングしながら解いて良いの?マジかそりゃ助かる」
「そうなのですか?」
首を縦に振る象牙。そうと決まれば話は早いし、人手は一人でも多い方が良いだろう。インベントリアを操作して、彼女を格納空間から外へと出す。
「ヒトミさん、出番ですよ」
「………
「えっ?えぇ、まぁ………」
普段から感情を見せないというか、或いは感情の『起伏』があまり見られないヒトミが、ベヒーモスの図書館を見て問い掛けて。そして其れを見た象牙は言葉を放つ。
『
「!」
「象牙さん、ヒトミさんを知っているのですか?」
「おぅ、来たかペッパー達………って何だ?イベントか?」
「な、何か始まったですわ?」
「みたいなのさね………」
「あぁ、何かそうみたい………象牙さん、先程の言葉はどういう…………?」
サンラクとエムルが合流する中でも、イベントの進行は止まらない。ペッパーの問い掛けに、象牙は静かに答えた。
『御答えしましょう、ペッパー・天津気。貴方が契約した
「
自分達
『再征服計画の進捗は
アンドリューなる人物は象牙からして『あまり良い人間』では無かったらしいが、彼女からするとヒトミは『道具』としての役割を確りと果たしているらしい。
だからこそ
「……………納「ヒトミさん。貴女は其処で納得しちゃいけない」えっ………?」
「おや、あーくん?何かしようとしてるのかな?」
故にペッパーはヒトミの言葉を遮る。少なくとも此処で彼女が
故にこそ示さなくてはならない、彼女は道具等では断じて無い事を。自分達と共に生きる、一つの生命である事を。
「象牙さん、カルネ型は『誰をモチーフ』にして作られていますか?」
『…………答えましょう、ペッパー・天津気。カルネ型は嘗て存在した『カルネ・アーヴェンハール』を元にし、アンドリューが設定。其のデータを元にして、此処ベヒーモスで産み出された存在です』
「成程………。ではヒトミさんにも質問します。今現在
「………解答:待機状態を含めて現存数は75機居る。現状一番最後の個体は、カルネ型180号機だ」
要するに105機の
「ヒトミさん、新大陸で俺と行動を共にした時に貴女は『ドラクルス・ディノコアトルに襲われて五体満足で生き残れたのは、演算を何度繰り返しても僅か1%にも満たない程の確率だった』と
「…………肯定:確かに恐怖し、安堵したのは覚えている」
契約する直前、ヒトミはそう言っていた。そもそも道具は感情を持たない、道具に精霊が宿って付喪神に成ったという御伽噺は在れど、恐怖を感じられる時点で征服人形たる彼女は道具では無く、一つの知的生命体なのだ。
そして此の手の類いに最も有効なのは、レトロアクションRPGゲームのロボットの主人公が言った台詞が『一番有効』だ。此の一言が有ればどんな現実を突き付けられても、どれだけ有象無象の言葉を吐かれても、其の言葉で言い分を『論破』出来るのだから。
「襲い掛かる脅威に対して恐怖を感じ、生き残る為に自身の演算を総動員し思考する………。其れはただ使われているだけの道具では、決して出来ない事だ。此の先何十何百何千のカルネ型が生まれようとも、俺が出逢って契約をしたカルネ型は──────」
カルネ=ヒトミは、
そう。例えカルネ=ヒトミがカルネ・アーヴェンハールの写し身や影法師だろうが、先々に他のカルネ型の妹機が生産されて現れようが、自ら名前を決めて自己を確立したのは紛れも無く彼女自身なのだ。シンギュラリティを確立したと見ても過言じゃ無かろうか?
ペッパーの言葉にヒトミと象牙も目を丸くし、サンラク・ペンシルゴン・オイカッツォの外道三人衆にレーザーカジキも、ヴォーパルバニー達にノワも含めて、ペッパーのロールプレイに対して唖然となっている。其れはある種の、ロボ系のキャラクターに対する『
「ロボ系キャラに対するパーフェクトアンサーじゃねーか」
「エッグいなぁ………」
「すごいですわ………」
「御見事なのさ、ペッパーはん」
「さっすがぁ、私のあーくん」
「凄いです、ペッパーさん………!」
「そうか?プレイしたレトロゲーム中から、一番効果が有りそうな言葉をアレンジしたようなもんなんだけども………」
「いいえ、
ヒトミの言葉に彼女を見れば、其の目に光が灯っている。アレは『揺るがぬ意志』を宿した目だ…………自分は自分であると、カルネ=ヒトミは『私以外に在り得ない』という絶対の意志が宿っている。
そして象牙もまた、ペッパーに対してこう言ってきた。
『ペッパー・天津気。もし貴方が征服人形の事を、カルネ・アーヴェンハールの事を知りたいと願うならば、ベヒーモスの『第八階層』を目指しなさい。其処には征服人形の産みの親…………『アンドリュー・ジッタードールのラボ』が在る。征服人形と契約を交わした貴方であるならば、其処に辿り着く事が出来るでしょう』
「成程、ありがとうございます」
取り敢えずの目標は決まった。何処まで行けるか解らないが、当面はベヒーモスの第八階層を目指して突き進む。其れがペッパーの、今の自分の達成可能な目標として設定されたのであった…………。
彼女に捧げる大事な事