VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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気を引き締めて攻略へ




一問二点制のテストは妖怪一足りないの言い訳が効かない

「あ!サンラクさんにペッパーさん!其れに皆さんも!」

「此処が第二階層?」

「図書館、ですね………」

「…………ひたすらに面倒な気配がする」

「ルスト、頑張ろう」

「ワァオ!何かヒミツキーチみたいで、ワクワクするネ!」

 

ペッパーと契約したヒトミに関係有りのイベントを終えてから数分、先に到着した面々は象牙(ゾウゲ)から渡された解答用紙を照らし合わせ、共通する資料を探して答えを記載する………という地道な作業に入っていた。

 

そんな中で秋津茜(アキツアカネ)京極(キョウアルティメット)・サイガ-0・ルスト・モルド・アージェンアウルの第二陣が合流。あのアスレチックをどう攻略したのか聞いてみた所、サイガ-0と秋津茜がコンビプレーを行って障害物を粉砕し、其の後をモルドの目一杯の強化(バブ)魔法でブーストを乗せた京極達が続き、頭とシャンフロの魔法による小技を使ったゴリ押し突破を果たした…………との事らしい。

 

と、やはりと言うかアージェンアウル・ルストの視線は自分達と共に、解答用紙を見ては資料検索して探し当てる征服人形(コンキスタ・ドール)のヒトミに注がれており。アージェンアウルはペッパーに問い掛けてきた。

 

「ヘイ、ペッパー!シー イズ アンドロイド?」

「彼女は征服人形だね、名前はカルネ=ヒトミさん」

「カルネ=ヒトミだ、初めましてだな。よろしく頼む」

「ロボ………じゃない、けどアンドロイド………!」

「浮き沈みが激しいな、ルストよ………」

「アハハ………」

「お、レイ氏達も来たか。ちょっと手伝ってくれ、此処に在る資料を見ながらテストに合格しなきゃ、先には進めねぇって象牙が言ってた」

 

サンラクがザックリ説明を行い、ルストが「カンニングしないと解けない問題は………テストとは言わない」と御尤もなツッコミを入れたが、相変わらず割烹着を着付けたインテリ女子な象牙は、そんなルストに対して『色々な事を知って欲しいですから』と答える。

 

「ヒトミさん、大丈夫ですか?」

「心配感謝する、契約者(マスター)。だが貴方は幾数居るカルネ型の中で、私は私以外居ないと言ってくれた。例え誰に何を言われようと、私は私自身を貫き通す………其れだけだ」

「解りました。けれど辛い事が有ったら相談して下さい、些細な事かもしれませんが、自分も力になりますから」

 

ヒトミの発言を許して道具としてしまっていたなら、彼女のメンタルに大ダメージを与えていた可能性が極めて高かった。あの場面を止めて己の記憶という情報を引き出し、ロールプレイを用いて彼女に確固たる事実を述べたからか、彼女は強い意志を以てペッパーの問い掛けに答える。

 

其れより何の脈絡もフラグも無しの、突発的なイベント発生は笑えない上に、レトロゲーマー的に選択肢のミス=バッドエンドルートに直結する事を何度か経験した為、やはり心臓に悪いので止めて欲しい。しかも油断した所に二度刺し攻撃を仕掛けてこよう物なら、軽く発狂する自信は大だ。

 

シャンフロのNPCはクターニッドと四体の封将を除いて死亡=キャラロストな都合上、某戦略型ゲームを思い出してしまう。大切なキャラや推しキャラを失うダメージは、感情等の入れ込み具合で大きくなりがちである。

 

「あの………サンラクく、さん………。問題は、どんな感じ………ですか?」

「俺とペッパー、ペンシルゴンにオイカッツォの問題を見たが、ランダムっぽいですね。ただコイツは『問題の総数と模範解答』が判れば、全員解けそうな感じがする」

「此処に在る資料だけでも、ライブラリ狂喜乱舞しそうだよなぁ………」

「絶対調べ尽くすまで、此処から出て来ないまで有りそうだ………」

 

キョージュを始め、あのクランのメンバー達はシャンフロの謎を解き明かすというモチベーションに関しては、最前線を張る午後十時軍や黒剣(シュバルツシルト)にも負けず劣らずだろう。

 

そして此の図書館の各分野の資料を見ていく度に、とある()()()が少なくとも一つの資料に付き、必ず『一頁』は存在している事が判明した。

 

其れが『天津気(アマツキ) 刹那(セツナ)』………ペンシルゴンというプレイヤーにとって、切っても切れない『遠き日のセツナ』の本名にして、ユニークモンスター・墓守のウェザエモン………本名『ウェザエモン・天津気(アマツキ)』の妻の名前である。

 

医学や機械工学に考古学、マナ理論に関するあれこれ含めて、あの人はマジモンの超天才だというのが理解出来る程には、とんでもない人物なのだと犇々と感じた。

 

「………もしかして神代の人々が最終的に滅びたのって、結果的に見れば『刹那さんが亡くなった』からか?」

 

養殖に培養や人類(・・)の食料問題に関する画期的な解決策を打ち出したりと、当時の天才達の中でも頭三つは飛び抜けて天才だったんじゃないか疑惑が出て来た。此れだけの事が出来る人が居なくなれば、計画にガタが来ますよねって話になるだろう。

 

一応此の階層にもセーブポイントとして、ハンモックの様な揺り籠型のベッドが設置されている。頃合いを見てセーブ&ログアウトも視野に入れるべきか。

 

「あ、象牙さん。此処から外に出る事って出来ますか?」

『えぇ、可能ですともペッパー・天津気(アマツキ)。ベヒーモスにて新規登録を可能にした開拓者であれば、踏破済みの各階層へ移動が可能になります』

 

時刻は既に十二時を回ろうとしている上、唯でさえ多過ぎる資料の中から五十問の答えを見付け出すのは時間が幾ら在っても足らな過ぎる。一徹覚悟のつもりで来ていたが、早速心が揺らぎそうになって────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほほぅ、どうやら此処は図書館………いや正確には資料館の様だね。私は考古学が主体だが此程の知識量ともなれば、考察クランとして心が躍るよ」

「全く………数日見ない内に君達はまた、とんでもないモノを呼び起こしてくれたな………」

「運命神の名を冠する獣………!ジョゼット団長が聞いたら、間違い無く引っくり返りますな!」

「コレ、カローシスさんにヤシロバード達が聞いたら仰天しますね………うん間違い無く」

「凄い場所だ………前のアスレチックが身体面を試し、次は図書館で知能を試す場所か………!」

「あ、ペッパーさん達。コレ起こしたのって貴方達で間違い無いのよね?」

 

声が聞こえて振り向けば、目をキラキラに輝かせたキョージュ・クラリス・SOHO-ZONE、驚きを隠せずにいるサイガ-100・寂斬(ジャクザン)・Animaliaという、7クラン連盟七天極星(グランシャリオ)の間柄であるクランの長や其れに近しいプレイヤー。そして其のクランに所属しているクランメンバーの面々が、ベヒーモス入場と第一階層を越えてやって来たであったのだった。

 

 

同時にペッパーは察した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コレは完全にオハナシ案件として積み上がった爆弾が一斉に連鎖爆発を起こし、大変な事に成るのは不可避なのだと。

 

 

 

 

 

 

 






援軍がやって来た


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