VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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待ち受けるは




デンジャー!デンジャー!バンブーフォレスト!

ペッパー達クラン:旅狼(ヴォルフガング)のメンバー達が、墓守のウェザエモンの遺産によってニュートン3-1を討伐し、先に進んで辿り着いたのはベヒーモス・第四階層。

 

第三階層が『草原地帯』で在るならば、此の第四階層は『枯れた笹の葉が舞う、柔らかな腐葉土より無数に生える竹林地帯』という、前階層とはまた異なる景色が広がっていた。

 

「竹林が邪魔…………」

「幕末の竹林地帯みたいだね」

「あー………確かに、何かそんな風に見えるわ」

「在るのか、幕末にも竹林地帯」

「確か『グングニルかぐや』だっけな。竹槍使った戦い方を得意にしてる、其の地域を縄張りにしてるヤツだ」

 

尖らせなければ棒武器として薙ぎ払いや櫓や柵の組み立てに、水筒・炊飯・鳴子・灯籠の他に籠等の便利アイテムをクラフト出来、先端を斜めに加工して尖らせれば使い捨てながら殺傷能力が高く、場合によっては刀を止められる可能性も有る武器としても重宝されていた。

 

かの発明王『トーマス・エジソン』も、白熱電球を実用化させる最後のピースと成ったのが日本の竹から作ったフィラメントであり、従来の物よりもずっと長持ちしたという実話が有る。

 

『此処は第四階層。突破条件は此の階層を徘徊する『妨害用生物の警戒を掻い潜り』、フィールド内に存在する『此のアイテム』を私の元へ持って来て下さい』

 

旅狼のメンバーの前に現れたベヒーモスの統括AI:象牙(ゾウゲ)が、彼等彼女等の課題として表示したのは『黒光りしている筍』であった。

 

『私はコレに『カンムリタケノコ』と名付けました』

「カンムリ………ねぇ。あ、因みにスクショは撮っても良いですか?」

『どうぞ』

「皆さん、すいません………もう僕、眠気がヤバい、です…………」

「むっ、カジキ殿。御疲れで御座る」

「お疲れ様、レーザーカジキ。エストマさんと共にゆっくり休んでくれ」

 

ペッパーが象牙から許可を貰い、スクショを撮ってクランチャットで情報を共有していると、レーザーカジキがログアウトを申し出て来たので、象牙により第二階層に在るベッドルームまでエストマと共に移動していった。

 

「皆は眠くない?大丈夫?」

「ワイは問題無しさね」

『グルン♪』

無問題(ノープロブレム):問題有りません」

「俺は大丈夫だが」

「アタシは大丈夫ですわー」

「俺も」

「わ、私も………大丈夫、です!」

「私もまだ大丈夫だよー」

「僕は動ける」

「………私は、此処を突破したら寝る」

「僕もそろそろ…………」

 

遠距離攻撃人員が減り、おまけに妨害用生物………おそらく象牙が育てた存在なので、間違い無く強いのは目に見えている。取り敢えず作戦会議から始める事とし、竹林には踏み込まずに円陣を組んで話し合う。

 

「取り敢えず俺が空中走って先行。妨害用生物とカンムリタケノコを目視確認した後、戻って来て情報を渡すって所で良いか?」

『意義なーし』

「あーくん、気を付けてね?」

「うん。行って来る」

 

天空神の加護(レプライ・ウーラノス)輪天翔律(りんてんしょうりつ)窮速走破(トップガン)、そして最後にファウラム・チャージングを点火。無限ジャンプと重力作用の超軽減、スタミナ減少無効と再使用時間(リキャストタイム)短縮効果を付与し、ペッパーは象牙が作り出した竹林地帯へと空中を蹴って跳ね飛びながら、単身カンムリタケノコと妨害用生物探しの為に突き進む。

 

「此の辺りに居るんかね…………っと!」

 

自分の中では既にズッ友コンビスキルの座に在る、清明界玉到観(クリスタル・アドバンテージ)&界域を見定む眼(ターゲ・ザ・ワールド)を使用。透化され立体的な状態として捉えられた世界を見詰めていれば、ペッパーの視界に『土の中を泳ぐ鮫と鯰とサンショウウオを融合させた様な、全長1mになるか否かの生物』を発見。

 

「土を泳いでる魚キメラを見付けた!動きはかなり速い、全員気を付けて!!」

「解った!そっちはタケノコ探してくれ!」

 

声を張り上げ叫べば、サンラクの声が返ってくる。土の中をかなりのスピードで泳いでいる其の姿に既視感。シャンフロでの記憶を思い出してみれば、今は懐かしき四駆八駆の沼荒野に居るエリアボス、当時は鮫ナマズと呼んだ『泥掘り(マッドディグ)』が該当した。

 

「さて、あの魚キメラの実力はどんなもんなんだ?」

 

空中を跳ねてインベントリアを操作し取り出すは、ビィラックの手により土錆色にくすんだ状態から、元の姿へと戻ったリボルバータイプの拳銃『ミル・ト・コルン』。

 

左手に握り、魔力(MP)を最大まで注いで十発分の弾丸を装填、デュエル・ガンナーで培った銃の基礎的な握り方と共に、引き金を三度引けば三発の魔力で出来た弾丸が飛び、内一発が魚キメラに直撃して土の中から枯れた笹の葉を纏って飛び出し。

 

「其処ッ!」

 

間髪入れずにもう一度放った弾丸は、魚の急所たるエラ部分にヒット。吹き飛んで転がり、そして近くに生えていた竹にぶつかり──────爆発(・・)。ボディビルダーの大腿筋に迫る太さの竹の幹が折れて、音を立てながら腐葉土の中に倒れ落ちる。

 

「うぇっ、死んだ瞬間に爆発するのかよ!?ッ──────皆!!!」

 

もう既に嫌な予感しかしない状況でアサイラム・フェイトを点火し、割り出された複数のルートから一つを選択。其処に英雄覇颯(ヒーロースプリーム)から進化・選択派生先の一つにして三桁スキルの『英雄覇速(ヒーローズ・ブレェス)』を組み合わせ、窮極致超越(アレフ・オブ・トランジェント)で体力を5%まで削って動体視力を強化し、唯でさえ速かった英雄覇颯以上(・・)の加速とトップスピードにより、皆の元へと舞い戻れば。

 

爆発魚キメラに追い回されている旅狼メンバーと、殿を買って出たサンラクがウツロウミカガミで残像(デコイ)を置き去りに、退避した所へ魚キメラが襲来・接触して誘爆の連鎖が発生している場面に遭遇したのだ。

 

『泥掘りの品種改良種(・・・・・)…………私は『爆泳魚(スウィマイン)』と名付けました。今はまだ柔らかい地質でないと潜行出来ないので、今後は硬い土地でも泳げる様にするのが課題でしょうか』

 

サラッと邪悪寄りな言葉を吐いた象牙に、ペッパー含めて全員がツッコミを入れようとするが、状況は待ってくれない。何よりミル・ト・コルンを握っている自分ではなく、焔将軍の斬首剣を握っているサンラクを集中狙いしている事から、爆泳魚なるモンスターは『殺傷能力の高い武器を所持している者』を、優先して狙う思考が有るのでは?と考える。

 

「ペッパー!さっき爆発音がしたが、アレお前か!?というか何かに接触してもコイツ等爆発するわ!?」

「怖過ぎだろ!?取り敢えずブリュバスで空中に避難した方が良い!」

「そうする、三分稼げるか!」

「任されたッッッ!!」

 

左手のミル・ト・コルンを収納し、入れ替わりで装備した灼骨砕身(シャッコツサイシン)で右手に刻まれた装備不可の縛りを一時的に解除。両手に装備するのは、振るい方によっては『広範囲攻撃』を行える鞭武器の『紅蓮海の撃鞭(レガレクス・ウィスパー)』と改修を重ねた『風竜骨の筋鞭(ストーム・ウィッパー)【改五】』の、二刀流ならぬ二鞭流にして構え。

 

「だったら私もあーくんの援護に入るよ、さっきの階層じゃ暴れ足りなくてね」

「ワイも手伝うのさ!」

『グルル!』

 

そんな中、ペンシルゴン・アイトゥイル・ノワがやって来るや、アイトゥイルが肩に乗ってノワは足元に走り寄り、ペンシルゴンが装備したのはメイン武器たる聖槍カレドヴルッフ………ではなく。

 

形状は『三叉槍(トライデント)』に近しいながら、其の穂先の半分が『碧』、残り半分は『赤』の二色から成る、中世の騎士が持つ『ランス』。柄の部分は碧と赤が二重螺旋を描く、言わば『サインポール』の見た目をしている槍だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「地獄の実践的訓練を乗り越えて、パワーアップを果たしたニューペンシルゴンの実力!此の子の初陣も兼ねて、大々的に示しちゃおう!行くよ──────『兎風(とかぜ)彩雲(さいうん)】』ッ!」

 

 

 

 

 

 






ペンシルゴンの新武器



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