VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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時間を稼げ




ダイナマイトでデンジャラスなサバイバル

兎風(とかぜ)彩雲(さいうん)】………其れはアーサー・ペンシルゴンを含めて挑戦していた、ユニークシナリオ【兎の国の招待】を大苦戦の末に攻略し、新たなるユニークシナリオEX【致命兎叙事詩(エピック.オブ.ヴォーパルバニー)】を解放。

 

同時に兎の国・ラビッツの頭であり神匠、そして七つの最強種・不滅のヴァイスアッシュの手により、帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の甲殻たる『帝晶双蠍の貴宝殻』を用いて致命の槍(ヴォーパルスピア)を真化させた事で形を成した、武器種:大槍に属する武器である。

 

「ワラワラ出て来るモンスターへの対処法は、古今東西広範囲の薙ぎ払い攻撃って相場が決まってるんだよねぇ!」

「ペンシルゴン、大槍の後隙は俺とアイトゥイルで潰す!ノワは影を使って変質性の棘を作り出してカウンター!あくまでも離脱するまでの時間稼ぎだ!」

「解ったのさ!」

『ガゥル!』

 

嘗てラビッツの地にて手にしたユニークマジック【エンチャント:ヴォーパル】を纏った彩雲を頭上で振るえば、土から飛び出し襲い掛かる爆泳魚(スウィマイン)の横っ面を穂先が打ち据えて弾き返し、地面に転がし竹の幹に激突させて爆発。同時に彩雲が光って、槍が『赤色の輝き』を宿す。

 

遠心力を乗せた大槍の質量攻撃は強力で、魚キメラを一撃の元に討ち取ったが、当然ながら大振りの攻撃を繰り出せば、其の隙も大きくなるのは必然。そして現実世界と同レベルに近い出力を誇る物理エンジンにより、ペンシルゴンの大槍を振り回した後に出来る反動と隙を齎し、爆泳魚が彼女に咬み付かんと迫り。

 

「させん!」

「たあぁ!」

『ルゥ…………オオオン!!!』

 

風を切る真空の鎌鼬と赤と緑の鋭き打撃、そして黒影の棘達が突き出して、魚キメラを切り裂き打ち据え突き刺し爆散させ、赤色の槍は碧へと変色。そして後ろからペンシルゴン目掛け飛び掛かった爆泳魚はアイトゥイルが酔息吹を、ノワが影を這い寄らせて突き刺し、ペッパーがダブルウィップを振るって隙を潰す。

 

「うーん………大槍で常にクリティカル出しながら戦うって、地味に面倒な縛りが付いてるなぁ…………。うん、よし切り替えてどんどん倒していこうか!」

「もしかして真化して使い辛くなったか?」

「そんな感じかなぁ、まぁ其の代わり色々面白い能力が搭載されてるって所だ………よっと!」

 

兎風【彩雲】は格上相手にクリティカルを発生させた場合、武器の色が赤碧→赤→碧→赤碧という順に変色を起こし、同時に武器に備えられた『魔力ゲージ』が上昇していく。他にも装備者が此の武器にエンチャントした魔法の効力を、クリティカルを出す度に効果時間を延長する事が可能になる。

 

言わば此の武器は『ユニークマジックのエンチャント:ヴォーパルでクリティカル発生率を高水準状態を維持し、武器の魔力ゲージをMAXまで蓄積させろ』と遠回しに説明された様な物なのだ。そしてペッパーも真化した致命武器の特性をよく知るが故に、彼女がクリティカルを出し易くなる位置取りや立ち回りを意識し、敵の倒し方にも工夫を加えながらに爆泳魚を退けていく。

 

「離陸準備出来たぞ!」

「皆乗り込んだ!ペッパー、ペンシルゴン!」

「ルスト!アイトゥイルとノワをブリュバスまで運べるか!?」

「解った、朱雀と共に飛んで回収する」

 

両手の装備を解除、一羽と一匹を左手に乗せて上空目掛けて投擲スキル『ブランチャイズ・スロー』で投げれば、艷羽と朱雀の合体状態のルストが回収・ブリュバスの看板に着地したのを見届けて。同時にペンシルゴンが握る兎風【彩雲】の魔力ゲージがMAXまで蓄積された。

 

「よし、魔力ゲージゲージMAX!あーくん、()()()から退避!」

 

ペンシルゴンが穂先を構える。フムフム………三叉槍の色が赤→碧→赤碧→赤→碧→赤碧と回転して?何やらエネルギーというか魔力が穂先に収束し?成程成程、何か凄い勢いでブッ放す予感しかしない──────いやちょっと待て。

 

「いや何する気!?」

「文字通り『薙ぎ払う』ッッッ!」

「うおぉぉおぉ!?退避ぃ!!!」

 

跳躍し避けた僅か一秒の後、真下を通過して一回転した碧の閃光が、周囲の爆泳魚と射線上に生えた竹林を焼き切り。円上に描かれた焼き跡の軌跡から爆炎が、焼き断たれた魚キメラが爆発が巻き起こる。

 

「かーぎやー!たーまやー!」

「ペンシルゴン、ブリュバスまで飛ぶぞ!」

 

ペンシルゴンの元に走り寄り、ペッパーは彼女を抱えて。再使用時間(リキャストタイム)を漸く終えた星天昇向跳躍(アーシェン・エトワール)を使い、一飛びの大ジャンプで浮遊するブリュバスの看板に着地したのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペンシルゴン、何其の武器!?ビーム放ってたよね!?」

「あぁコレ?水晶蠍の素材を使って槍を作って貰ったら、ビームをブッ放せる様なってさ。ゲージが貯まらないとビームにならないのと、色で特性が変わるから色管理が面倒なんだよねぇ」

 

オイカッツォの問いに真実を含めた嘘による説明をするペンシルゴンと、ビームをブッ放した事でルストの目がキラッキラに輝く中、ペッパーは爆泳魚との戦いで感じた事を伝えるべく作戦会議を行う。

 

「取り敢えず爆泳魚………或いはキメラフィッシュとでも呼称するが、あの妨害生物は『武器持ち』の。其れも武器の『危険度』が高いプレイヤーを狙って来ていた。さっきの戦いでミル・ト・コルンを持った俺じゃなく、ツーハンデッドソードを持ったサンラクが。ダブルウィップを握った俺じゃなく、ビームブッパ可能な大槍を持ったペンシルゴンが狙われた様にね」

「ちょっと待って、何でツーハンデッドソードの方が危険なの?どう考えてもリボルバーが危険じゃない?」

「そう、其処だ。其処が(・・・)問題でも有るんだ」

 

モルドの意見はよく解る。銃は速攻性と殺傷能力の観点から戦争のバランスを引っくり返し、戦いの歴史を大きく変えた武器でも在る。だからこそ疑問が生じる…………何故爆泳魚達は、銃よりも剣の方が脅威だと感じるのか?

 

ペンシルゴンはブリュバスに備え付けられたベッドでセーブをしたのを横目で確認し、其の上で話し合いを再開する。

 

「って事はタケノコ採取は『素手』じゃ無いと難しい?」

「何処から来るか解らないボンバーフィッシュ相手に、長時間生き餌(デコイ)出来るヤツがヘイトを請け負ってる隙に採るのが一番かな」

「そうなると誰かがブリュバスを運転、機動力が有るプレイヤーと空中行動可能な戦術機獣で偵察、件のカンムリタケノコを探すって感じで?」

「はい……其れが、一番………かと」

 

そんなこんなで作戦が決定し、ヒトミがサンラクからブリュバスの操縦方法を教わり、機動力に秀でたペッパーとサンラク。規格外エーテルリアクターのエネルギーが切れた事で、朱雀が機能停止したの確認。エネルギーMAX状態の別のエーテルリアクターを装填したルストの三名が、再び地上に降りて行動を起こさんとし。

 

同時に竹林全体が揺れて、そして敵は()()()()()()()()()のだ。まるで此方が武器を持たない………其れも『無装備状態』をトリガーとしていた為に。

 

『グォロロロロロロロロロロロロロロォォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

「何だァ!?」

「咆哮!?」

「ペッパー、サンラク、一時の方角に何か居る。見た目は……………パンダ(・・・)

「「……………パンダ?」」

 

ルストの言った方角を見ると、其処には竹林を殴り倒しながら熊特有の荒々しい咆哮を放ち、四足によるダッシュ時には乗用車に匹敵する速度を出す所を、後ろ足で立つ事により己の巨体を更に大きく見せ付ける姿は、『グリズリー』か『ツキノワグマ』の其れに近しく。

 

リュカオーンには及ばないが、漆黒の毛並みの上から白い外骨格を鎧の如く纏った異様な姿は、ある種の『パンダ』にも見えなくも無い…………が、其のクマなのかパンダなのかは知らないモンスターの愛嬌は一切皆無であり。そして其の頭頂部には『黒光りする王冠』を掲げ、其の形状たるやまさに『タケノコ』と言うべき形をしていて。

 

「「カンムリタケノコじゃん!!!」」

「アレがターゲット………!」

『紹介します、我が子達よ。アレはパラサイトテンタクルの変種(・・)であり、同時にチョバム・グリズリーの変種(・・)、其の二種の融合体(・・・)とでも言うべき存在……………名前を『ドミネイト・グリズリー』と言います』

 

融合体とハッキリ言い切った象牙(ゾウゲ)に対し、此の場に居たプレイヤー全員が思ったのは、やっぱりコイツ邪悪側の存在じゃね?という感情で。

 

『ドミネイト・グリズリーはパラサイトテンタクルの変種であるパラサイトバンブーの『シンキング・ジャック運動』を捻じ伏せ、逆に支配した特異個体。我が子達よ、貴方達に越えられますか?』

「つまり『寄生生物による乗っ取りを奪い取って、自分の都合の良い状態にした生物』って事ね………!」

 

何をして来るか解らない、完全未知のモンスター。ゲーマーとして初見攻略は、ゲームを楽しむ一つの醍醐味でもある。初心を忘れず、深夜帯を回って鈍くなった頭を覚まして攻略といこう。

 

 

 

 

 






タケノコ掲げた熊が来た


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