タケノコ採取の壁たる敵
ドミネイト・グリズリー。象牙曰く『寄生生物による反応を逆に支配した特異個体』なる其のモンスターは、どうやら『武器を装備していない状態』の開拓者を積極的に狙う習性が有るらしい。更に面倒なのは、此の階層を泳いでいる
要するにカンムリタケノコを採るには、爆泳魚を寄せない為に無手という最底火力でドミネイト・グリズリーを倒すか。はたまた爆泳魚が迫り来るというリスクを許容して、持ち得る最大火力をドミネイト・グリズリーに叩き付けて速攻を狙うかという、二択状態をペッパー達は押し付けられている状態なのだ。
「ペッパー、オイカッツォをブリュバスから下ろしてきた」
「漁船のクレーンに降ろされる鮪みたいになってたよな」
「やかましゃあ鳥頭!………で素手じゃないと爆泳魚の脅威に晒されるから、ドミネイト・グリズリーを単身相手に出来る人員が欲しい…………と」
「まぁ、そんな所だね。俺達で爆泳魚は対処する、其れに…………」
「其れに?」
此れはあくまで予測の範疇でしか無いが、ニュートン3-1の時のモーションからして、奴等には若干だがモーションが『人間臭い』部分を持っている。
「多分だが、オイカッツォのバトルスタイル的に『奴との相性』は悪くないからさ」
「……………どゆこと?」
「戦ってみれば解る………と思う」
そんな訳で戦ってみた。
「爆泳魚がウゼェ!?!?!」
「オイカッツォ、まだ仕留められない!?」
「グリズリーのモーション覚えるまで、此方は時間掛かってるんだが!?」
結論から言おう、現在進行形で大苦戦を強いられていた。
先ず爆泳魚なのだが、元が
次にドミネイト・グリズリー。纏っている外殻は、バフを乗せたオイカッツォの拳撃や脚撃に対して其処まで頑丈では無かったが、外殻を砕いて体毛を露出させた瞬間に発生する『意識の隙間』を突くかの如く、肉体と体毛を突き破って
そして此の状況で最も厄介な、一番戦況を混沌化させているのがドミネイト・グリズリーの
爆泳魚を対処していた時に、ペッパーは爆泳魚の一匹を誤ってドミネイト・グリズリーの方へとブッ飛ばしてしまい、其れを見事にキャッチし
サンラクとペッパーはサキガケルミゴコロを使用し回避出来たが、青龍と昇滝を纏って空中を駆けていたルストが掠り、ブリュバスの船底が僅かに傷が付き、オイカッツォは咄嗟に紫の聖杯を使って至近距離の竹破片のダメージを回復に反転した事で事無きを得た。
「ったく、ボンバーフィッシュを放っておきゃあ竹熊の食料にされるし、かといってカンムリタケノコは竹熊の頭頂部という面倒臭さよ………」
「ルスト、ドミネイト・グリズリーに魔力弾は効いてるか?」
「其れなり。ただMP切れたから、此処から弓を使う」
「よし、サンラク。俺が此処からギア上げてボンバーフィッシュを惹き付けるから、オイカッツォの援護を頼む」
「何か策が有るんだな?」
勿論とばかりに力強く頷けば、サンラクは武器を仕舞って無手状態になった後、ドミネイト・グリズリーの方へと向かって行った。一人残ったペッパーはポーションをガブ飲みし、体力を全回復させつつも独り言を呟く。
「夜間行軍なんでな…………あんまり時間は掛けたく無い」
だから………!と、そう言ったペッパーはインベントリを操作、取り出したのは『灰色の鞘に収まった一本の剣』。
以前よりも幅が広くなった其の鞘を右手にて握り締めた瞬間、リュカオーンの愛呪が刻まれた其の手から灰色の鞘に、黒い靄がまるで換気扇に吸い込まれる黒煙の様に吸収され。
左手で鞘を握り、流れる形で右手を持ち手たる柄に添え。右の指を小指から一本ずづ、折り曲げ掴んで抜剣する。
剣身は以前のグランシャリオから形状が少し変わり、全長は『70cmから80cm』の刃幅は『15cmから22cm』に伸びており。世界の真理書をセットする『七つの穴が空いている』状態だが、其の形は謂わば『クラウ・ソラス』の様な物。
剣を見れば『虹色の煌めき』がオーロラの如く、常に変化を続けながら移ろい、刃先には『黒のオーラが止め処無く流れ続け』、まるで荒れ狂う海の様相を呈しており。
同時に溢れ出す黒い靄、リュカオーンの復讐の残滓が火山の大噴火が天を焼き尽くす業火の如く燃え上がる中、彼は左手に持った鞘とインベントリアから『世界の真理書「墓守編」』を取り換え。
持ち手に最も近い場所に翳せば、書物は『空色と桃色の宝玉へと変質し』嵌まった事で、噴き出し続けたオーラはピタリと収まり、静かに成ったのである。
黒いオーラが取り払われた事で、明らかにされた其の剣は唯々美しく。其の輝きは金色に輝き、星の願いの具現化たる
「さぁ初陣戦だ、
兎の国の神匠、不滅を冠する最強種が作り上げた勇者の新たなる
其れは己の存在を、世界に誇示するが如く。
そして己を握る事を許した者を、世界に示す様に。
新生せし、勇者の