此の階層で為すべきは
ショッピングモール風な階層にして、銃器やパワードスーツが商品として置かれていた第六階層に別れを告げて、
『此処は有史以来、此の大陸や新大陸にて観測されたありとあらゆるモンスターに関する情報が、事細かに記載・保管された資料室になります。此の階層の突破条件は、我が子達に其々私から出す『問題を一つ』解いて貰います』
「質問。解らない場合は誰かが代わりに答えたり、此の資料の中から探して答える事は可能?」
『構いませんよオイカッツォ、では一人一人に問題を出します。よくよく考えて、答えを出して下さいね?』
そんなこんなで始まった、象牙からの問題に対する解答。其の問題は今居るメンバー全員が、其々『別の問題』である事だった。
ペッパーに出された問題は『此の世界に存在する、
サンラクに出された問題は『魔力を吸収する事で、線の身体を強化・人の動きに近しい挙動を取る、出現位置によって様々な武器を持つモンスターの名前は?』
ペンシルゴンに出された問題は『主に深海に生息する、他種族を特殊なフェロモンで依存隷属させる事で、自身の配下として狩猟等を行う魚類系統に分類される生物の名前は?』
オイカッツォに出された問題は『深海に存在するあらゆる生命体の中で最強クラスに位置し、身体の上半分が魔力の炎によって燃え上がり、限り無く精霊に近い存在と成ったモンスターの名前は?』。
京極に出された問題は『深海に潜むモンスター達が好んで食すが、成体まで生き残った場合に深海随一の超硬度の甲殻を纏う甲殻類に属する生物の名前は?』。
サイガ-0に出された問題は『超々高度に生息し、其の特徴的な肉体から肉眼での目視が困難ながら繁殖期に限り、地上からの肉眼観測でも目視可能な生物の名前は?』。
エムルに出された問題は『新大陸に出現する平均体高1メートル以内の生物の名前を五種挙げろ』。
アイトゥイルに出された問題は『日光と月光を浴びる事で異なる色へ変化する、新大陸の特定地域にのみ存在する生物の名前は?』。
ノワに出された問題は『リュカオーンの威圧に怯む事無く、王威を携える蒼雷を纏った生物を答えよ』であった。
成程確かに一見すると難しくも見える問題では有るが、
※サンラクの場合
「魔力で線の身体を強化する…………ソイツって確か
『正解ですサンラク。アレは線だけで書かれた線画の騎士にして、嘗て古城を拠点とした騎士たちの姿を模した
「まぁアイツ、魔力与えなけりゃ比較的倒しやすい部類のモンスターだけどな」
『…………素晴らしい限りです。アレは個体によりますが、
「ほほぅ?後で詳しく聞かせてくれや、象牙さんよ」
※オイカッツォの場合
「身体の上の方が燃えてる…………ルルイアスで見たぞ。えっと……………」
「オイカッツォ、あと十秒な」
「は?え、何で?」
『10……9……8……』
「ちょっ、待て待て待て!?ええっと…………!」
「………アトランティクス・レプノルカだよ、オイカッツォ」
「あ、アトランティクス・レプノルカッッッ!!」
『正解です。深海における生態系の頂点を争う三種の内の一体で、其の中でも最も近いとされている存在です。生きながらに精霊に近しい存在となった点は、非常に興味深く…………』
「其の話は後で聞かせてくれる?今からちょっと鳥頭ボコすから」
※ペンシルゴンの場合
「其のモンスターってスレーギウン・キャリアングラーかな?巨大な空母鮟鱇でしょ?」
『正解です。深海における生態系の頂点を争う三種の内の一種であり、その遺伝子情報は生物としてあまりに異質であり……』
「其の手の話は後々此方に来る、ライブラリのおじーちゃんにしてあげると良いよ。あの人達なら三時間は余裕で傾聴してくれるからさ」
※サイガ-0の場合
「ええと、確か………アウロラカムイ、ですか?」
『正解ですサイガ-0。私の観測が正しければ次世代原始人類が誕生してから、未だ討伐されていない生物の一種ですが…………よく知っていましたね』
「実は姉が、リュカオーンの情報を………集めている時に……。極光のモンスターとしての、資料を見た事が………有りました」
『遠い未来、人が空をも制覇した時。……いいえ、きっとそう遠くない未来に、我が子達が其の手を届かせる事。私は信じ、待ちわびていますから』
「……………象牙さん、何故に俺を見たんですか」
※
「甲殻類…………えっと、何だっけ?シャコみたいなの居たよね、ペッパー御兄様」
「キリューシャン・スフュールの事だね。アラバさんがあの肉は美味いって言ってたな。懐かしい…………」
「キリューシャン・スフュールで合ってるかな?」
『正解です。深海から浅瀬に逃げ延びた個体も居るそうですが、討伐難易度は海底に居る個体の方が難しくも、肉質はそちらの方が美味と知られているそうです。因みに辛味の有るソースに絡めて食すと、絶品であるのだとか…………人の身体を得られたならば、是非一度は味わいたいですね』
「唐突に飯テロぶつけてくるの止めない象牙さん?」
「エビチリ食いたくなってきた…………」
※ペッパーの場合
「一体目、ブルックスランバー"
『正解ですペッパー・
「はい。威風堂々と恕志貫徹に関しては、仲間達の協力無しでは討伐出来ませんでした」
『…………素晴らしい。不世出の存在達は原種と異なり、肉体的に異なる物や思想から異なる物を含めて、多種多様な出自を持ち合わせています。世界は広く、其れだけ未だ見ぬ不世出の存在も居ますから、挑む事を恐れないで下さいね?』
「あーくん、後で私と『オハナシ』しようか?」
「何で!?」
『グルルルルル…………!』
※アイトゥイルの場合
「変色する生き物………もしかして
『…………正解です。成程確かに、知的生命体というだけはありますね』
「……………死ぬ程戦ってるのを、ワイは此の目で見たのさ」
(私の事だなぁ…………な、遠い目をしているペンシルゴン)
(ペンシルゴンの事やなぁ…………な、遠い目&明後日の方を見るサンラク)
(アーサー・ペンシルゴンさんの事ですね…………の視線を向けるサイガ-0)
(地獄だったんだろうな…………と、ペンシルゴン達を見ながら思うペッパー)
※エムルの場合
「五種類ですわ?えっと………ええっと…………」
「エムルさん、大丈夫。落ち着いて一つ一つ答えましょう」
「おう、ペッパー。其処は急かすのが良いだろ」
「時に回り道も最適解だったりするんだけどな………」
「いや俺が言うのも何だが、お前結構なスピードで攻略してるんだぞ?」
「………………確かに」
『さぁ、答えられますか?』
「えっと………ヴォーパルバニー、コボルト………ケット・シーに、あとゴブリンと………。其れから、えっと、ええっと………!」
「ヒトミさん、新大陸に居るモンスターで該当する存在は居ますか?」
「検索:該当モンスターはドラクルス・ディノトリアシクス。掌サイズの小竜であり、軍団で攻撃を仕掛ける事が多い」
「ドラクルス・ディノトリアシクスですわッッッッッッ!」
『…………正解です。どうやら私自身も、貴方達を過小評価していた様ですね』
「解れば良いんですわ!」
「…………仮にヒトミが答えなかったら、お前最後何にしてたよエムル」
「其の場合はコロポックルですわ」
『正解です』
「フフン!私だってやれば出来るんですわ!」
※ノワの場合
『ワンッ!ワンッ!ワォーン!』
「象牙さん。ノワの代わりに答えますが、其のモンスターはレオ・ネメアレクスですよね?」
『正解です。実際に見た事が有りますか?』
「御世話になっている方が、其の手のモンスターについて教えて下さったので」
『レオ・ネメアレクスは成体まで生き残った個体が、確認された限りとても少ない。まぁ理由としては成体になる前にリュカオーンに挑んで返り討ちに遭い、命を落とすパターンがよく在るのです。しかしながら、無事に生き残れた個体は凄まじい強さを誇るのですよ』
「………………何時か挑みたいですね、其の成体まで生き残ったレオ・ネメアレクスと」
『フフフ…………良い心構えです、ペッパー・天津気』
何やかんや有ったが、全員…………いや『ヒトミ以外』全員が突破したのは良いのだが、象牙に何故彼女には問題を出さなかったのか聞いた所、彼女達
其れに対してヒトミは「そういう事だから、私は一切気にしない」と言い切ったのは良い。だが其れが仮に『他の征服人形』ならば、少なからずメンタルにダメージを負うのでは?と心配になる。先々踏まえて心配なのだが、今は気にしても仕方無かろう。
時刻は午前三時に迫る中、いよいよベヒーモス攻略は終盤戦の第八階層。そして其処には征服人形達を創り出した存在たる、アンドリュー・ジッタードールのラボが在る。
一徹しての強行進軍も、漸く終わりが見えた。
「さぁ、ラストスパートと洒落込もうか…………!」
本命の第八階層