第八階層到達
『第八階層。端的に言うと、此処は『神代の叡智』が詰まった場所。貴方達を生み出し後を託した、嘗ての人類達の歩み
第二階層以上に様々な記録が遺されていた第七階層、では第八階層とは何なのかと言えば、答えは『神代人類の文明文化に関する情報が集められた場所』であり、衣・食・住を始めとする工業や農業等々…………神代文化を保存・保管しているのだと、
「中央にバトルフィールドっぽいのが在るけど、ありゃ何だ?」
『ええ、此の第八階層の試験内容に関係するモノですからね。其れと…………アンドリュー・ジッタードールのラボは此の階層に在ります。カルネ=103、貴女ならば判るのでは?』
「
象牙の言い分に対して少なくとも反論出来る程度には、彼女の芯はブレていないらしい。象牙はフム………といった具合に沈黙し、其れから数秒後に此の階層の突破条件を説明し始めた。
『此の階層を超える条件…………其れは『此の階層に存在するフラッシュメモリーで習得したスキル
「フラッシュ?…………あぁ、
一度エドワード・オールドクリングの地下ラボにて晴天流奥義書を使用し、
「ねぇ、象牙。彼処に在る装置で
『えぇ、使えますとも。ただし此の階層の突破には、晴天流の技は使わないで下さいね?』
「其れだけ聞ければ僕は満足だよ」
そんな訳で早速自分が習得するフラッシュメモリーは、何が適正なのかを探し出す事となり。京極は奥義書を片手に中央に在る戦闘領域内に設置された機材に走り、他のメンバーもバラバラになってフラッシュメモリーを調べ始める。
「此方は医療関係に救急………違うな、俺が欲しいのじゃない気がする」
ある程度調べて判ったのは、フラッシュメモリーにも『カテゴリー』が存在しており、初期より魔力で肉体を強化する技法が、一般層にも其れなりに浸透してたらしい。其のせいかボクシングやレスリング
だが其れはあくまで、『戦闘』を想定している事に比重を置いたビルドをしたプレイヤーに対してであり、ヒーラー・バッファー・デバッファーといったサポーターの目線的に見て、大当たりなスキルが複数有ったりしたので一概には言えないだろう。
何が良いのかと悩んでいれば、遠くでペンシルゴンが非常に
「ペッパー、フラッシュメモリーは何にするか決めたか?」
「いや、まだ見付かって無くてね。オイカッツォは?」
「俺はコレ、名前は『ジェラルド式改良型太極拳』。ちょっと心惹かれたから、コイツにしてみる」
「あ、オイカッツォ……さん。私も、其のフラッシュメモリー………にしたいので、良いですか?」
「エッ、ウン、イイヨ」
後ろからヌッと現れて声を掛けた鬼武者姿のサイガ-0に、オイカッツォの表情が凍り付く。焦ってハズレを引いては本末転倒、自分は自分のペースで行くと心を落ち着かせ、ふとオイカッツォが見付けたフラッシュメモリーの在り処を聞いてみた。
「あ、そうだ。其のジェラルド式改良型太極拳って、どの項目に在ったの?」
「レクリエーション」
「マジかよ」
思った以上に厄介だ。多分だが欲しい物を此処から探し出す場合、自分が考えている物を改めて考え直す必要が出て来たと言って良い。オイカッツォとサイガ-0がフラッシュメモリーでスキルを覚えに行くのを見送り、ペッパーは顎に手を当てて考え始め。そして一つの結論に到達する。
「………………発想を逆転させよう」
フラッシュメモリーのスキル達は『カテゴリーで使用する』という共通点が有り、つまりは此の状況での使用を『前提条件』にしているという特色を持ち合わせているのだ。
ならば、
「…………………『パルクールとトリッキングを組み合わせた』フラッシュメモリーは無いのかな?となると『エクストリームスポーツ』…………いや、此の場合だと『武芸』か『娯楽』の項目?」
予想を立てたら即行動、区分けしている看板を見つつも娯楽関係の場所から調べていけば、気になる物を見付けた。
其のフラッシュメモリーは『マクセル・ドッジアーツ』という物で、横流しで軽く見たが『ドッジボール』からインスピレーションを受けた『回避メインの格闘術』らしく、前後から挟まれている状況を前提として『回避や受け止め』を始め、自身の犠牲を込みにした『脅威の減衰』に、更には『オート回避』まで入っている凄まじい物だった。
そして其のスキル達も『機動力に特化している物が多い』事から、避けタンク軽戦士ビルドのプレイヤーにとっては、此のフラッシュメモリーは『必須級』になるのでは?と思えてしまう程に、マクセル・ドッジアーツから有用な気配がする。
と、今度はサンラクがエムルを頭に乗せながら歩いて来ていて。何やら探し物に当てが出来たは良いが、見付からない状態に有る様子だ。彼の手には候補となるフラッシュメモリーを持っており、決まらなかった場合は其れを使って習得する算段なのだろう。
「ペッパー、成果有ったか?」
「今後の軽戦士ビルド勢に、絶対必須なフラッシュメモリーなら。マクセル・ドッジアーツってタイトルで、ドッジボールから着想を得たスキルらしい。因みに娯楽の項目に置かれてたよ。サンラクが持ってるのは?」
「『パトリオ・ストイック』なる
「マジかよ…………」
此処で目当てのフラッシュメモリーを探すには、発想や前提条件含めて色々見方を変えないといけないらしい。後進のプレイヤー達が探す場合、ライブラリのスキル検証班が纏めた一覧を待つ流れになりそうだ。
「なぁ、サンラク」
「奇遇だな、俺もそう思ってたぜ」
互いに考えている事は同じらしい。スッとマクセル・ドッジアーツとパトリオ・ストイック、其々のフラッシュメモリーが収められたパッケージを交換し、改めて内容を確認し合う。
パトリオ・ストイックのスキルは四つ、高所→高所に高所→地面を含めた着地と受け身、壁や塀に障害物を利用した変速挙動。更には回転や旋回を用いた防御の動き、高度な技術レベルを要求する脚撃と、其の何れもが今の自分には必要なスキル達だった。
「…………パトリオ・ストイック、良いな。コレにしよう」
「良い、良いぞ、回避メインの機動力系のスキル群!こういうのを求めてた!」
使用するフラッシュメモリーを決定し、各々のパートナー達を連れて中央の戦闘領域へと向かえば、サイガ-0が丁度戦いを終えたらしい。早速フラッシュメモリーを使用………と思った所で、機材を見ていたサンラクの動きが止まる。
「…………なぁ、象牙。此の装置に在るメモリースロットの一つに『球体状』のが在るよな?まさかたぁ思うが、もしや
『…………とても懐かしい逸品ですね、サンラク。まさかずっと昔の『習熟反映型のフラッシュメモリー』を持っていたとは』
「ウェザエモン戦の戦利品の一つでな………。で?コイツは開けるんかい?」
サンラクがインベントリアの中から取り出し、象牙に見せた物…………墓守のウェザエモンとの死闘を経て、ペッパー達五人が手にした掌サイズの球体。
其れは持ち主と共に歩みながら其の戦いを記憶、蓄積して必要となる技能を導き出すフラッシュメモリー…………『
神代の技術の結晶