VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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天は開くか




ひでんマシンで覚えた技は専用の方法でしか忘れられないが、完全不要じゃないっていうのはタチが悪い

『結論から言いましょうサンラク。其の習熟反映型のフラッシュメモリーは、まだ(・・)開けない事をオススメします』

 

球状型記憶装置(きゅうじょうがたきおくそうち):極天(ぎょくてん)を提示して問い掛けたサンラクに、象牙(ゾウゲ)からの答えは『待て』であった。

 

「理由を聞いても?」

『習熟反映型は性能こそ異なれど、共通点として『戦った相手の種類や数』が、使用時に習得出来るスキルと密接に関わります。其のフラッシュメモリーは戦闘経験を積めば積む程に、数多の強敵と戦い続ける程に、複数提示されたスキルの中から選択出来る物が増えるのです』

 

彼女曰く、二号人類種のスキル習得傾向の偏重は『特定のモンスターとばかり戦い続けている』と起こり、例えば飛行しているモンスターを相手に立ち回りが固定化されると、其れに該当するスキル達が増えるのだと言う。

 

『スキルシステムを通して貴方を見ましたが、機動力と視覚系に其れを支えるスキルが大半を占めていました。もし攻撃スキルが少なかった場合、覚えられるスキルも機動力・視覚・其の他の三種類の何れかになっていたでしょう』

「スキルに関して、色々と教えてくれた奴の御陰でな。其れなりに手札は有るってもんよ。其れとフラッシュメモリーって複数使っても良いのか?」

 

チラッと後ろ目でペッパーを見た後、サンラクはフラッシュメモリーの複数使用に関して問い掛けた所、象牙は『出来はしますが、あまり御勧めはしません』と答え。続けてスキルシステムに関する事を話し始めた。

 

『二号人類種のスキルシステムはレベルにもよりますが、上限が設定されていますので。そしてフラッシュメモリーによるスキルインストールは、スキル習得としてみれば『手っ取り早い手段』でメリットですが、デメリットとして『拡張性が無い』のと『経験習得型のスキルの成長が妨げられる事』が挙げられます。良くて二つ………、三つ以上は影響が出て来るようになりますので』

「成程な……………つまり俺達が『パソコン』で、メモリーの『空き容量』にスキルが蓄積されていく。で、フラッシュメモリーは『専用のソフト』であり、ダウンロードし過ぎると『支障』をきたすという訳か」

『──────素晴らしい。正解です』

 

極天はバハムートで解放出来るが、更に幅広い戦闘経験を積む事で選択肢も広がるのだと言う。因みに極天で習得したスキルは合成元になれば消滅する上、フラッシュメモリーでありながらプレイヤーの習得上限に影響を与えないのだと言う。

 

そしてペッパーが極天について聞いた所、象牙は『非常に興味深い事』を教えてくれた。そんなこんなで本題であるフラッシュメモリーは、先にサンラクが使用してマクセル・ドッジアーツの四種のスキルを獲得。

 

そして其の対戦相手となる存在が、天井から落ちて着地したのを見たサンラクとペッパーは、象牙に問い掛ける。何せ其の戦闘用人形は、どう見てもマネキン()()()にしか見えない上に、其のフォルムは()()()な形状であり、各部関節は球体であったりと明らかに『征服人形(コンキスタ・ドール)』に近しい存在で。

 

「なぁ、一つ質問良いか象牙?」

「象牙さん。あの戦闘用の人形って、まさか………」

『アレは正式量産される以前、試作期の征服人形(コンキスタ・ドール)システムを流用し、作り上げた物ですね。程良く強く、そして程良く弱く…………此の試験を行うのに丁度良いと思いましたから』

「……………お前そういうの(・・・・・)今から直さないと、後々『ラスボス』扱いされるぞ」

「……………右に同じく」

 

横目で契約しているヒトミを見るが、彼女の表情に陰りは無く。ただジッと、マネキン姿の同胞を見つめている。

 

「ヒトミさん」

「大丈夫だ、契約者(マスター)

 

そう言う彼女だが、其の手は僅かに『震えていて』。其れは戦闘用として利用した象牙に対する『怒り』か、或いは自分もそうなっていたかも知れないとの『恐怖』なのか。

 

「!」

「俺は何時も、戦った相手やモンスターに対する『敬意を払っています』。其れは相手を忘れない為………誰かに忘れられた時、本当の意味(・・・・・)で死ぬ事になると思うから。だから俺は戦った相手を忘れない様に、感謝の言葉を述べている。其れに辛い事が有ったら力になるって約束したので、遠慮無く言って下さいね」

 

震える彼女の手を握り、契約者として彼女に向き合う。其れを見たペンシルゴンとノワが此方へと近付いて来たので、不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)守示貫鐵(ファースリィオ)を使用した其の直後、脇腹辺りを思いっ切り抓られ、足首をカプリ!と噛まれて体力が極僅かに減らされた。

 

「ねーねー、私の(・・)あーくーん〜?私という者が在りながら、ロボ女子に現を抜かすとは一体どーいう御身分なのかな〜???んん〜〜〜???」

『グルルルルルルルルル……………!!!』

「…………此処で応対間違えたら、ヒトミさんの好感度が下がりそうだったのと、後々に色々有りそうなのイデデデデデ?!?すいません、本当にすいません!下心一切無しの、契約者としての努めを果たしただけなんでアダダダダダダ!?!」

 

レベルキャップを解放し、僅かに耐久にステータスを振り込んだ上での守示貫鐵だったが、恋人とリュカオーンの分け身の愛情(物理)は其れすら軽々と突破した様だ。此のままでは何れ脇腹の肉を千切り取られたり、足首を噛み砕かれると覚悟を決めていれば、突如として抓りと噛み付きは止まり。

 

ペンシルゴンは「ヒトミちゃんと同じ事したら許したげる」と言い、ノワは『クゥン…………』と御座りから撫で撫でを、其れも互いに上目遣いで要求したのである。

 

マクセル・ドッジアーツ縛りの戦闘をしているサンラクを除き、サイガ-0・エムルは静かに見守り、アイトゥイルは彼の頭に乗っかって、オイカッツォと京極(キョウアルティメット)がニヤニヤの視線が背中に突き刺さり。

 

ペッパーは困った表情をしながら、ヒトミの手から震えが収まるのを待って。そしてペンシルゴンの手を恋人繋ぎで握っていれば表情が軟化し雌の顔、ノワは彼女が好きな撫で方をすると御満悦のドヤ顔に変わる。

 

尚、此の光景を見ていた象牙は物申したそうな視線でペッパーを見、マクセル・ドッジアーツで滅多斬りと滅多打ちと滅多撃ちにし、戦闘用人形を倒したサンラクは全員が気付かない位置からスクショを撮影したのだった…………。

 

 

閑話休題。

 

 

色々有った物の、漸く出番が回って来たペッパーはパトリオ・ストイックのフラッシュメモリーを使って、脳に直接スキルを焼き付けて習得。ステータス画面を開いてスキルの項目を見れば、新たに『パトリオ・ストイック』の一覧が表示されており。

 

跳躍着転即行動(リボル・イン・ドライブ)

崖壁握蹴昇降進(ウォールフォー・エレベイツ)

変流式回転防衛(ブレイヴ・コークスクリュー)

高複臨機脚撃動(トリップリング・エース)

 

以上、四つのスキルが追加を確認する。

 

「じゃ、試してみますか………!」

 

アイトゥイルとノワを戦闘領域の外に下がらせれば、戦闘用人形が投下され立ち塞がる。ヒトミの同胞を倒す事になるが、其の覚悟も決めている。ならば自分が為すべきは一つ……………!

 

 

「少ない手数で一気に倒し切る!」

 

 

 






謁見の時


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