パトリオ・ストイックの感想は
跳躍による着地や高所からの着地時に脚への負荷を軽減、もしくは十メートル以上からの落下時に自動で受け身を取るという一風変わったスキルだが、着地から一秒間に限り『使用者のスタミナが減らなくなる』という能力を宿している。
再使用時間も一秒という驚異の短さであり、パルクール的な観点から考えれば、着地→即行動→着地→即行動→高度落下→受け身→即行動………のループを可能にするべく、此の短さになったのだろうと考えられる。無論無限に行動出来る訳では無く、空腹度は減るので過信は禁物。
壁や障害物の縁を利用しての落下作用の軽減に、壁蹴りによる加減速を絡めた、トリッキーな昇降行動を行うスキル。
クライムキックやリコシエット・ステップを使った身からすると、此のスキルは本来『建物が建ち並ぶ場所』や『岩等の障害物の多い地域』で真に輝くので、残念ながら今回の様な平面な戦闘領域下では真の実力を発揮出来ずに終わった。
取り敢えずアンドリュー・ジッタードールのラボに行った後で、
個人的主観になるが、おそらくパトリオ・ストイックの四種のスキルの中でも、一番の当たりスキルがコレ。
再使用時間が異様に長い事と、地面から身体が離れている状態でのみ発動可能の条件が有り、再び地面に身体の一部が着くまでの間は『超速回転を用いての防御行動を行う』のだが、此の回転中に限り『パリィが確定成功』&『パリィによる自身への反動ダメージ完全無効』という、自分からしてもトチ狂ってるだろと言わんばかりの性能。
要するに、使用者の三半規管が持ち堪える限りは回転が維持される上に、空中で繰り出そう物なら地面に触れるまでは『ほぼ無敵状態』になるに等しい。自分がやったら確実に吐く可能性が無きにしも非ずな上、跳躍着転即行動と併用しないと間違い無く顔面強打で死ぬ未来は不可避である。
テレビ等で良く見掛ける、トリッキングで行うキックしながらの移動するアレ。脚武器無装備状態でのみ使用可能で、回転キックの要領を用いての移動兼攻撃方法であり、脚による『人間タイヤ的な物』。
使えない………訳では無いのだが、股を開いた状態で回転キック移動する為に、見方によっては絶大な隙を晒し得る可能性が高い。何なら横方向からの攻撃に対しては余りにも無力なので、基本的に使わない可能性が出て来てしまった。
ただし其れは『他三つが優秀過ぎるが故の評価』であり、回転キック単体としての観点から見れば、空中での差し込み発動で攻撃阻止や、上手くやればカウンターを狙えるポテンシャルを秘めている。
マクセル・ドッジアーツとパトリオ・ストイック。
避けタンク軽戦士ビルドのプレイヤーにとって、今後の必須条件となるだろう二つのフラッシュメモリーは、前者が『あらゆる場所と環境で使える汎用性』に重きを置いたスキル群で在るならば、後者は『建物や障害物が密集した局地戦』を真髄にしていると言えるだろう。
攻撃や機動系に視覚系のスキルを一切使わない、次いでにアクセサリーも一切起動させずに此の出力なので、全力のスキルと併用して使い潰した場合が今から楽しみである。
『素晴らしい戦いでした、ペッパー・
「あ、確かにそうですね………。ヒトミさんは大丈夫ですか?」
「
「頼もしいなぁ、全くもう…………」
漢は度胸の乙女は愛嬌と言うが、どっちも合わせたら無敵な意味じゃ無かろうか?つまりネカマやネナベが最強………って駄目だ、何か変な方向に思考が寄ってる。
そんな自問自答をしていればヒトミが近くに置かれているコンソールに歩いて行くのが見え、皆そちらへ付いて行き。彼女が操作画面にてファイルを開くと、其のタイトルには『シュテルンブルーム』なる、
「彼は待っている。彼が愛した者を知るべく、此の地に着いた者を。そして自らの創造物たる
ヒトミが操作を続け、シュテルンブルームに付いての詳細な情報を得ようとした其の時。一同の足元…………否、ペッパー・アイトゥイル・ノワ・ヒトミの足元で、神代製の転移機能が起動する。
「えっ、ちょっ、あーくん!?」
「あ、もしかしてコレ…………『関係者以外立ち入り禁止』のパターン?」
「では行こう、
ペッパーが答えに辿り着くも、其の瞬間には一人と一羽と一匹と一機を光が包み…………世界は真っ白に染まった。
征服人形を作り上げ、ベヒーモスを率いていたというアンドリュー・ジッタードール。
金髪オールバックに眼鏡という、服が私服という点さえ除いたなら『エードワード』とタメを張り合える様な、インテリーアウトローの見た目をした男が、最奥のロッキングチェアに座っていた。
『やぁ新人類、私がアンドリュー・ジッタードー…………ル…………?………ンン!!?──────!!?!!??!な、何故『クロ』が、此処に?!………いや………どういう原理だ………?』
男は此方に気付いた様で、自己紹介をしようとした其の矢先に、ペッパーの足元に居たノワを見た事で綺麗な二度見、そして三度見を行う程に動揺しており。
早足で歩み寄ってノワをじっと見つめる、アンドリュー・ジッタードールと名乗った男は、何故か『半透明』化状態で。よくよく観察すれば其の身体は『ホログラフィック』で造られた、映像被写体の様にも見えなくないのだ。
「えっと………一言で言うと、リュカオーンの分け身でして。正確にはリュカオーンであって、リュカオーンでは無いんです。あ、其れとリュカオーンに懐かれて愛呪を賜ったのが、リュカオーン………ノワが此処に居る理由でも有ります」
『ワンッ!』
ペッパーの簡潔な説明に、アンドリューは理解不能とばかりに額に手を当て、天井を仰ぎ見ていた。無理も無かろう………自分の部屋に征服人形を連れた二号人類種が訪ねたと思えば、まさか七つの最強種の一角も引き連れて入室したのだから、混乱するのも仕方が無いだろう。
『そう、なのか…………そうか…………。此の光景を『アリス』が見たら何を思うか………。というよりアンドリュー・ジッタードールの存在全てが、ドン引きという答えを出しているな、うん。………?………君には
「あぁ、自己紹介がまだでしたね。始めまして、アンドリュー・ジッタードールさん。自分はペッパー…………ペッパー・
PN非表示を表示にスイッチした事で名前が明かされ、其れを見たアンドリューはまたしても三度見の、絶大な衝撃を受ける事になったのだった……………。
話が合わなきゃ、話にならない