混乱収束から始めよう
アンドリュー・ジッタードールと名乗ったホログラフィックの男と、ペッパー・天津気含むアイトゥイル・ノワ・ヒトミの異種族混合の一団の対面は、ペッパーと共に居るリュカオーンの分け身とペッパーの真名開示という、ダブルビッグパンチによる先制奪取によって開幕し。
半信半疑なアンドリューに対してペッパーは、自身が名前を継承した証として
そして彼女の墓を守り続けて、
『そう、か………。君はウェザエモン・天津気将軍から其の名前と鎧と魂を……。彼に『未来』を託された……………という訳か。
そう言ったアンドリューに応える様に、何処からとも無く象牙が現れた。
『三千年振りですね、アンドリュー。おはようございます、良い目覚めになりましたか?』
『無論。宇宙創生の大爆発を目覚まし時計代わりに叩き付けられた気分さ。して、ペッパー・天津気。話の続きを』
「はい…………。最後はセツナさんの霊魂と出逢い、一緒に天に昇って逝きました。俺一人では決して彼は止められない程に、仲間達の協力無しでは決して勝てない程、ウェザエモン・天津気さんは凄まじい武人と、そう断言出来ます」
『彼の武勇伝は、
「え?そうなのですか?」
ウェザエモンの鎧………即ちパワードスーツ製作に関わったというアンドリュー・ジッタードール。そう考えれば彼もまた神代の天才達の一人であり、世界の明日と未来を繋ぐ為に其の人生を捧げた人物であるらしい。
尤もペッパーは彼のラボの中に在る
『コホン………。さて、改めて自己紹介をしようか。私の名はアンドリュー・ジッタードール……正確には『アンサーコード・トーカー Type アンドリュー・ジッタードール』………なのだがね』
「要するに『人格や思考を搭載したアンドリューさんのAI』、という訳でしょうか?」
『其の通りだ、ペッパー・天津気。そして………カルネ型103号か』
「訂正:私はカルネ=103では無い、カルネ=ヒトミだ」
そんな中、アンドリューの視線はヒトミの方へと向く。対するヒトミは真っ直ぐに見つめ、己を産み出した父親に自身で決めた名を伝えれば、アンドリューも目を丸くする。
『
「解答:カルネ型は此れ迄180機生産され、
アンドリューの質問に事実を含めて答えるヒトミだったが、此処でペッパー達一同は彼の
『105機も!?嗚呼、何という事だッ!!単純計算で世界が106回も絶望を迎えているッッッ!!!』
あ、此れはアレだ。アンドリュー・ジッタードールは、重度の『ドルオタ』だと。其れも唯のドルオタでは無い………頭のネジが外れている、所謂『オカシイタイプの天才』なのだとペッパーは確信した。
しかし何故百五の損壊に対して、百六の絶望と言った事。カルネ型が『カルネ・アーヴェンハール』を模した存在とするなら、大元となった彼女の死を含めた分を加算したと言う事かと、ペッパーは納得し。そして本題たる征服人形とカルネ・アーヴェンハールの事を、アンドリュー・ジッタードールから聞き出しに掛る。
「アンドリューさん、俺は貴方に聞きたい事が有って来ました」
『うむ、答えよう。其れが私、アンサーコード・トーカーとしての役目だからね』
「ありがとうございます。では…………『
『良いだろう、ペッパー・天津気。だが先ずは、征服人形を語る上で『シュテルンブルーム』について、説明しなければなるまい。当然『基礎知識の履修』は済ませているだろうね?』
あ、ガチなタイプでやって来た。初手からアイドルグループ………かは解らないが、おそらく其れについて問い掛けたのは間違い無い。
「御恥ずかしいながら………。自分はシュテルンブルームに関する知識は、唯の一つも有していないんです」
「フムフム………つまり今の君は『何者でも無い』、と言う訳か。いや結構結構、人間『ほんの些細な興味』から始まる物。興味を持ち、踏み込む事は大事な事だ」
アンドリューの言い分は解らなくも無いのだ。其の小さな興味から始まって、色々な事を知っていき、軈てはトッププレイヤーとまで成ったゲーマーの話が在ったのを、雑誌で読んだのを記憶している。
「そうですね………其れが『キッカケ』になって、天才と呼ばれるまでに至った偉人も居ますから」
『其の通りだ、ペッパー・天津気。実の所、私もそうだったからね。後でシュテルンブルームのコンサート動画を貸し出そう』
「ありがとうございます、時間を見付けて観させて頂きます」
事実を絡めたロールプレイを展開して行けば、アンドリューは満足気に頷いて。そして本題たる征服人形の事について話し始めた。
『征服人形とは私、アンドリュー・ジッタードールが開発した『
「三号計画?」
一号人類種が『繁殖と繁栄を持って此の世界に根付き』、歴史を創り出す事。
二号人類種が『開拓と踏破を成す事で此の世界を拓き』、歴史を先へ進める事。
ならば三号計画とは一体何なのか?だが、アンドリューの口から繰り出された『答え』は、ペッパー達の予想を遥かに超えた物であったのだ。
『三号計画とは征服人形という『文化的不死性質』を持つ
「貴方は何を言っているんだ」
思わずツッコミを入れてしまった。やっぱり此の人頭オカシイ。
(要するに何だ?アンドリュー・ジッタードールは征服人形を…………いや『シュテルンブルーム』を此の世界に遺したかったのか?)
アンドリュー・ジッタードールの大いなる計画を聞かされた事で困惑するペッパー、難し過ぎる話は興味無しとばかりに酒を飲み始めたアイトゥイル。そもそも何を言っているのか解らないが故に丸まったノワと、宇宙猫みたいな状態に成っているヒトミという、此れまた『カオス』な空間が広がっていた。
こんな時に
「要するに、だ…………アンドリューさんは征服人形を、いやシュテルンブルームを後世の世に遺したかった………と?」
『其の通りだ、ペッパー・天津気。ベヒーモスに『Q.E.D.』が搭載され、二号計画を稼働させる事が決定した其の時点で、母体が苦難を乗り越え、子宮で子を育て産み落とす事。ゼロから成体の肉体を構築・コピー&ペーストの
「た、確かに…………」
ベヒーモスは同じ肉体・同じ性格の人類を狂い無く、完全に量産出来る都合上、アンドリューの言葉は完璧に
同じゲームと同じ環境に置かれたゲーマーでさえ、主義思想によって様々な形へ進化する、其れを踏まえて考えれば確かに二号人類と征服人形の違いは、臓器の有無か何かくらいにしかならないだろう。
『故に三号計画なのだ……。至高の文化たるシュテルンブルームを、後世に伝える為の
「な、成程………」
つまりは『シュテルンブルーム』の、嘗て存在していた『アイドルグループという文化』を、此の世界から消さない事…………『断絶させない事』こそが、アンドリューが征服人形を産み出したという理由なのだろうか?
そう考えれば
そしてアンドリューが立つ、其の後ろには。
七つの最強種に関係する、神代の大いなる遺産が納められた
知って欲しいからと、男は叫ぶ