VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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話を終えて戻りて




悲願、此の地に成就す

「やぁやぁ、私の(・・)あーくん?ノワちゃん達含めて、どっかにワープした私の(・・)あーくん?なぁにが有ったか、私達に『オハナシ』しようか?」

 

アンドリュー・ジッタードールとの会話を終え、ヒトミは感情上限を取り除く『Nパッチ』のインストールに、ペッパーはアンドリューから為になる話を聞いて、午前五時前に漸く解放された。

 

装備を奏でる者の旋律羽衣(ダ・カーポ・シェイルンコート)&ライノベレーの帽子に着替え直し、第八階層に戻った所でペンシルゴン達が眠ったるそうな様子で、ペッパー達を待ち構えていたのである。

 

「取り敢えず落ち着いてくれ。後、此処に居るのは俺達以外居ないか?開示出来る物とそうじゃない物が有るんだ」

「モチのロンだよ。さぁさぁ、キビキビと話してちょーだいな」

「解った解った。其れじゃあ説明するが、もうすぐリアルに戻らないといけないから、手短にかつサクサク説明していくよ。先ず転送された先についてだが……………」

 

そうしてペッパーは話し始めた。自分が転送された先にはアンドリュー・ジッタードールのラボが在り、其処にはアンドリューの思考や人格を参考にして作られたアンサーコード・トーカーという存在が居た事。

 

アンドリューは神代の天才の一人にして随分拗らせた重度のドルオタであり、アイドルグループの『シュテルンブルーム』のメンバー達の写し身たる、征服人形(コンキスタ・ドール)を此の世界に広め、ドルオタ仲間の輪を作り出して永劫に渡り、知ら占める事を目的としている事。

 

ラボに到達する事でアンドリューから征服人形を完成させる、最後のピース──────『Nパッチ』を贈呈されて感情上限というリミッターが解除される事。

 

そしてアンドリューの見立てでは、二号人類と征服人形の交流は本来数年単位の時間を掛けて行われ、其の上でベヒーモスとリヴァイアサンが起動して初めて、ラボを訪ねて来る事が『本来のシナリオ』の流れの可能性が有る事を語ったのである。

 

「成程ねぇ………要するにあーくんがヒトミちゃんと契約、ベヒーモスを呼び起こしちゃったから、予想以上にシナリオが進んじゃった状態に有るって事ね」

「征服人形に関しては後々契約者が増えるだろうし、俺は『ある程度の情報開示』は視野に入れても良いと考えてるよ」

「ん〜……………ただ『Nパッチ』は隠した方が良いかもね。何か『面倒な雰囲気になる未来』が朧気に見えたし」

 

アイドルガチ恋オタク程、征服人形という要素に加えて感情上限の解除という要素ともなれば、歓喜と狂喜に沸き立ち奇声が上がる気配が、ペンシルゴンには見えているのだろうか?

 

「さてと、だ…………。象牙(ゾウゲ)さん、他のプレイヤー達は今何処等辺に居るか解りますか?」

『現在貴方達以外の我が子達は、第五階層で足踏みをしていますね』

 

ペッパーが虚空に向かって問い掛けると、ベヒーモスを統括するAIの象牙が出現して答えてくれた。どうやら死神こと黒死の天霊(トゥルー·クワイエット)の攻略法に阻まれて、先に進む事が出来ないでいるらしい。

 

「成程…………。取り敢えず死神に関してクランチャット含めて、他のプレイヤーと共有。後はベヒーモスに銃とロボットが在る事を伝えよう」

「其れは同感だ。銃とロボットに関しちゃ、ルスト含めて他の奴等も狂乱するだろうし」

「戦略の幅が広がるからねぇ………」

 

一同の考えは同じ所に在るらしく、皆頷いた後に先々の目標を言っていく。

 

「サンラク、明日以降で時間空いてる時って有るか?黄金の天秤商会って所で、ルルイアスの金銀財宝をマーニに換金したいんだけども。代わりに後日になるが、特殊なファストトラベル持ちのNPCを紹介するって条件でどう?」

「お、そりゃ良いな。乗ったぜ、其の条件!」

「あ、あーくんとサンラク君。其の話、私も絡ませて貰っても良いかな?代わりにあーくんのオハナシを免除してあげる」

「僕は第五階層で死神の事を伝えたら、ログアウトして時間を見付けたら第三階層のモンスターハント、フラッシュメモリーと晴天流のスキルを使い潰すつもりだから、任せておいてペッパー御兄様」

「俺も第三階層でリザルト稼いで、第六階層のショッピングで色々買い物したい。………んだけど、アイツの事も有るからなぁ…………時間取れると良いんだが」

「私は、えっと………一度アイテム補充、をするので………ベヒーモスから、外に出ようかな……と」

 

各自其々の予定を決め、行動を起こし始めた。ある者は目的達成の為に、ある者は新たな境地を開く為、またある者は情報をコントロールして世界を動かさんとする為に…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オイカッツォ・京極(キョウアルティメット)が、第五階層で足止めを食らうプレイヤーに有り難い攻略法(アドバイス)を送りに転移し、ペンシルゴン・サンラクはクランチャットにベヒーモス内の状況のメッセージを記載しながら、ペッパー・サンラク・ペンシルゴン・サイガ-0の、ラビッツシナリオ受注者四人はベヒーモスの転移によって、第八階層から朝日が昇るファステイアの街に戻って来た。

 

そして案の定というか、ベヒーモスを呼び出した事がシャンフロの世界に広く伝わった影響からか、旧大陸の終盤で作れる装備を身に纏った高レベルプレイヤー達の姿が彼方此方に見え。

 

此の巨大宇宙船たるバハムート、ベヒーモスを呼び出した『張本人』にして『帰還者』のペッパー達が出て来たともなれば、他のプレイヤー達は彼に向かって雪崩の如く詰め寄って来る。

 

無論、初心者や廃人含めて騒ぎにしか成り兼ねない要素である、アイトゥイルはコートの中に隠し、ノワとエムルは擬態させて、ヒトミはインベントリア内に避難していてもバレるリスクは残っている為に、彼等彼女等は早い段階で事を済ませる心持ちで挑む。

 

先ずはサンラクとペンシルゴンの両名が、両手の掌を用いたハンドサインで『静粛に』のジェスチャーを送り、其れでも収まらないプレイヤー達には、サイガ-0が突っ立っている状態で周りに威圧を放って静かにさせ。

 

そしてペッパーは静かになった皆を見ながらに、自身が撮影した『ベヒーモス内部・第六階層の銃火器と、パワードスーツにロボットのスクショ』を開示して。其れが示す事実に周囲の静寂が破壊されるタイミングで、男は堂々と世界に向けて宣言した。

 

 

 

 

 

 

「銃火器及びロボット、解ッ禁──────!」

 

 

 

 

 

 

其の言葉は始まりの街に、絶大な衝撃と共に歓喜の大歓声を響かせ。そしてペッパーの元に、一羽の伝書鳥(メールバード)が──────一羽の白いフクロウが彼の左肩に停まり、其の内容を一瞬で確認したペッパーは『非常に満足気』な表情と笑みを浮かべていたのだった…………。

 

 

 






戦闘が変わる時


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