VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ラビッツに帰還して




インパクト・オブ・ザ・ワールド ~古く強き兎は語る~

開拓者達の文字通り始まりの地であるファステイア、巨大宇宙船の一つにして神代の技術と文化が納められたベヒーモスが眠り、ヴァイスアッシュが復元したBC-ビーコンによって再稼働を果たし。

 

其の第六階層にて見付けた銃とロボット、パワードスーツの発見報告と説明を終えた、ペッパー・サンラク・ペンシルゴン・サイガ-0は人混みの少ない、ファステイアの建物の裏側からラビッツの兎御殿へと帰還する。

 

流石に一徹した上、午前六時前なのでそろそろログアウトをと考えるも、ベヒーモスの事をヴァイスアッシュに報告しなくてはと思い、御殿内謁見の間へと向かえばヴァイスアッシュが焼き魚ならぬ、焼き人参を朝食として食べていたのを目撃。

 

随分レアな光景と同時に、此れはアカン物を見たのでは?と思ったが、当の本人…………本兎は特に気にする様子も無く、四人と二羽に『まぁ座んな』と視線でジェスチャーをしたので、座った上でペッパーとサンラクが中心となって状況報告を行ったのだった。

 

「……………という訳なんですが、兄貴」

「そうかぁ、そうかぁ。先に(・・)ベヒーモスの方を再稼働(目覚め)させたかぁ………」

「…………先に?」

「なぁに、オイラの独り言だぁ。気にするなァ」

 

もしかしてだが、バハムートにも『目覚めさせる順番』が有ったのだろうか?三人の視線がペッパーに刺さる中、ヴァイスアッシュは右眼を開きながらに四人を見定める様に見つめた後、こう言ったのである。

 

「ペッパー、サンラク。今から少し時間を貰えるかい?なぁに、そう取らせやしねぇよ」

「えっ?は、はい、先生」

「ウッス、少しなら大丈夫っす。ヴァッシュの兄貴」

 

ペッパーとサンラクを名指ししたヴァイスアッシュは朝食を食べ終え、パチンと指を鳴らせば着物姿の雌兎が彼が食し終えた朝食の食器を回収して行き、ゆっくりと立ち上がって一歩一歩其の歩みで部屋の外に出て行く。

 

「ペンシルゴン、ちょっと行ってくる」

「後で何が有ったか教えてね?あーくん」

「レイ氏、席を少し離れます」

「は、はい!御気を付けて!」

 

ペッパーとサンラクは其々のパートナーのヴォーパルバニー、そしてリュカオーンの分け身であるノワも付いて行こうとしたのだが、ペンシルゴンがノワを引っ捕まえて抱っこするという行動に出て。

 

互いにニッコリ顔をしながらも、バチバチと視線同士をぶつけ合って威嚇し合う空間の中、気不味い雰囲気の中で右往左往するサイガ-0を残して、ペッパー・アイトゥイル・サンラク・エムルは、此の世界で最も古く、最も強い致命兎の長の背中を追い掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直な所、兎御殿…………引いてはラビッツには謎が多い。最近になって気付いたが、ラビッツは基本的に国の周りを『白い霧』に覆い隠された状態の秘匿された島国の様な存在で、其処に国が在ると認識出来るのは『天覇のジークヴルム』を含めた、極僅かな存在以外居ないのだ。

 

無尽のゴルドゥニーネが地下に掘った穴から、ラビッツで『匿っている存在』を殺す為に侵攻している。仮にゴルドゥニーネが狙う存在が地下に居ると仮定して、其の地下に果たして『何が存在』しているのだろうか?

 

「おぅ、おめぇさん等。此の先だァ」

 

ヴァイスアッシュの声で視線を向ければ、南京錠と鎖で封鎖された兎御殿の扉の前。袖元からゴソゴソと鍵を取り出しガチャリと錠を外して開けば、其処に在ったのは上の階層へと続く階段で。

 

タンタンタンと一定のリズムを刻み、登って行くヴァイスアッシュに続いて一行が歩みを進めば、階段の先に城で言う所の『天守閣』に等しい光景が広がっていたのだ。

 

「此処ぁ、兎御殿の最上階。城で言うなりゃあ、天守閣ってぇ所かぁ。時々気に入った酒と煙を愉しむのが、オイラの些細な楽しみって奴さ」

 

日本の極道、其れも『和』の要素が此れでもかと取り込まれた天守閣、確かに此処で城下町を見下ろしながらに飲む酒と肴は、格別の味がするだろう。

 

そんな時である。天守閣たる空間を一通り見回したサンラクが、おおよそ此の場所には似つかわしく無い『物』を一つ発見、ペッパーの肩を軽めに叩いて指で指し示し、彼もまた指先を視線でなぞった先に在る物を見た事で、己の目を丸くする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己から見て右側の奥、其れなりに広い天守閣の一区画にどっしりと置かれている、嘗て深淵のクターニッドの根城たる『反転都市ルルイアス』の中心。

巨大な城の内部・玉座の間にて見た神代の大いなる遺産の一つで、深淵のクターニッドと力を分けた一式装備の『深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)』を納めた物と同じ形状で出来た、タイムカプセルたる箱が静かに鎮座しているのを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの、先生…………。あちらに在る『箱』って、まさか……………」

「おうよ。ベヒーモスを再起動(目覚め)させ、世界の真実を……………『開拓者(おめぇさん)達の起源』を解き明かした。だからこそぉ…………近い内に来る『嵐』に抗う為の()を託してやっても良いと、オイラは『そう考えた』んだよぅ」

 

此の瞬間、ペッパーとサンラクは確信した。此れは自分達にとって関係大有りの話であると。

 

未だ自分達によって公に明かしておらず、今現在僅か六人しか受注していないヴァイスアッシュ……………ユニークモンスター『不滅のヴァイスアッシュ』のユニークシナリオたる【致命兎叙事詩(エピック.オブ.ヴォーパルバニー)】や、ペッパーが受注して独占状態にしている【七星の皇鎧よ、我が元に集え】に関係した、大切な話なのだと。

 

では何故、ペンシルゴンやサイガ-0を含めずに自分とサンラクにだけ話しているのか?…………おそらくイベントに参加出来る成否は、『ヴァイスアッシュの受注プレイヤーに対する好感度』によって判断されている可能性が有る。

 

ヴォーパルバニー達が掲げ、弱者故に強者へと立ち向かう姿勢を示す『ヴォーパル魂』、プレイヤーの行動によって数値が変動する『隠しステータス』が、何かしらの影響を与えていると見て良いだろう。

 

「だが、アレを開ける前に『条件』が有る」

 

が、此処でヴァイスアッシュが待ったを掛けて来て。少々ズッコケ気味にバランスを崩し掛けるも、何とか堪える事に成功。そして彼は箱を開く為に『成さなければ為らない事』を、二人に伝えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此の世界の何処かに在る『リヴァイアサン』………ソイツをBC-ビーコンで呼び起こし、おめぇさん達の足で『最奥の地まで辿り着く事』。其れが出来たならぁ、箱ん中に在る(モン)をおめぇさん達に託そうじゃあねぇか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数刻前に象牙やアンドリューが語った、星の海を渡る巨大宇宙船たるバハムート。其の『二番艦』にして、シャンフロ世界での『調律神』の名を冠した其れを探し、最奥地に到達する事を条件として提示して来たのである。

 

 

 

 

 






世界に潜む、バハムートを探し出せ


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