VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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新章開幕

※少し短いです





人よ、龍よ。世界を拓くは、我等の使命
人は己の持つ物を鑑み知る事でしか獲られない栄養を好む生き物


開拓者が成すべき大いなる使命、グランドクエスト。バハムートの三番艦にして、神代の叡智が結集された巨大宇宙船たるベヒーモスの再稼働、そして其の内部にて銃火器やロボットとパワードスーツの存在が明かされた事で、シャングリラ・フロンティアという神ゲーの世界は更に盛り上がる事となった。

 

其れから数日後の7/20…………俗世間は夏休み期間に入り、教職員にとっては勉強の、学生からすれば夏の思い出作り、社畜は特に変わらない日々という、人にとって其々様々な時間に一面を変える中で、シャンフロ界隈に於いて最も有名になったプレイヤー『ペッパー・天津気(アマツキ)』は。

 

現在シャンフロを暫く御休みにし、一昨日は『デュエガン』で射撃練習をタップリと。昨日は『便秘』こと『ベルセルク・オンライン・パッション』のストーリーモードを数時間で()()()()

 

そして今日は『幕末』たる『辻斬り・狂騒曲:オンライン』の世界に久方振りにやって来ていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ログイン天誅ッッッッッ!」

「ログボ天誅ゥウウウウ!!!」

「皆さん、御久し振りですね!元気でしたか天誅返し!」

「ぎぶん!?」

「ぐはぁ!?」

 

幕末の世界、此処では『血煙』やら『ログインログボリスキル天誅が効かないヤベー奴』の別名で呼ばれてる『ブラッドペッパー』は、挨拶代わりに天誅を仕掛けた幕末側のプレイヤーをカウンターで斬り倒し、ドロップしたアイテムを速攻で回収して次なる敵に挑むべく進み続ける。

 

「げぇっ!?ブラッドペッパー!?」

「血煙が出たァァァ!!?」

「皆さん元気でした?あと何か面白い事有りましたか天誅!!」

「イベント告知されたのしらなきゃばぁ!?」

「九月当たりにイベント有るぞ天誅!」

「ありがとうございます!!御礼天誅!!!」

「ギャァアアアア!!?」

 

教えて貰った事には御礼はするが、其れは其れとして天誅するのが幕末のルール。PKerによるPKerの為のPKerによるPKerの世界、順応しなくては生き残る事は愚か、勝ち上がる事さえ出来ない、蠱毒による戦嵐吹き荒れて血を血で洗う殺戮の世界は、今日も今日とて平和(・・)な日常だ。

 

ドロップしたアイテムは必要な物以外は全て質屋に放り込み、時間経過で他のプレイヤーが買える状態にしておきつつ、ブラッドペッパーは再び戦禍の中へと己の身を置いて戦い始める。其れは自らを鍛える事であり、何時の日か此の幕末で最強の存在や、世界最高峰の格ゲーマーに勝利する為であるから。

 

「天誅!」

「すいません、其れは知ってますから!」

「ぎゃあああああ!?」

「天誅ッッッ!!!」

「あ、其処ですね天誅!」

「グワーッ!?」

「ブラッドペッパァァァアアアアア!!」

「天誅!御久し振りですねッッッ!」

「やっぱリスキル効かない時点でオカシイだギャァァァアアアアア!??!」

 

斬って斬られて、裏切り仇討ち策謀満ちる此の世界(ゲーム)。次々と襲い掛かるプレイヤーを相手取り、ペッパーは自らの技能を高めるべく、相手と相手の技と相手の体動を見て、己の戦略を構築と更新を続けながらに戦い続ける………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「介錯要りますか?」

「ぐっ…………『何故なのだ、何故にリスキル、効かないの』………ッ」

「『別ゲーで、死ぬ程学んだ、リスキルに、積みし経験、今に生きる』。…………以上、打首天誅──────!」

 

幕末に於いての死亡は、基本的にデスペナルティとしてアイテムやらが、其の場にブチ撒けられるという厄介な問題を抱えている。特にランカー同士による戦闘はどっちかが倒れたり相討ちになった場合、ランカー報酬が其の場に転がりまくるに等しく、其れを狙って新しい戦いが発生………という光景すら珍しく無いのだとか。

 

此の様な事態を避ける為の手段として機能するのが、所謂『降伏コマンドたる土下座(・・・)による命乞い』。此のゲームは切腹で死ぬと、プレイヤーに対するデスペナルティが免除され、介錯した側にも『経験値ボーナス』が入るので、中級者レベルになると切腹するまでの流れが美しかったり、介錯する側のプレイヤーも淀みや迷いが無くなったりと、随分な頻度で見掛ける様になるのだ。

 

「天誅ゥウウウウ!」

「カウンター天誅!!」

「ウッソだろオボハァ!?」

 

油断も隙も無い打首の余韻を狙って『綺麗な小鎚』を振り上げ迫ったプレイヤーを、逆に鮮やかなカウンターで天誅し返せば、彼が所持していただろう所持品達が、ゴロゴロボロボロと其の場に零れ落ちる。

 

「相変わらず緊張感切ったら、雪崩の如く襲い掛かるねホント…………ん?」

 

時にレアアイテムとは不意にプレイヤーに舞い込むのは、古今東西あらゆるゲームでの『あるあるネタ』でもある。幕末に置ける『ランカー報酬』ともなれば、所持しているだけで他のプレイヤーから狙われ、キルからの質屋に卸されて『外的要因』で放逐されれば(・・・・・・)、基本的に行方知れずとなるのが『摂理』となっているのだ。

 

其れを拾い上げ、そそそ…………と維新側の建物に逃げ込みつつ、ブラッドペッパーは拾った物を確認する。幕末には『時に拾い物が其のプレイヤーのガチ武器になる』という、にわかに信じ難いが実際にそんな『ガチの逸話』が在る様に。

 

「何々………『宇都豊(うつて)小鎚(こづち)』?効果は………『衝撃によるダメージが貫通する』──────カレドヴルッフ効果内蔵って、マジで???」

 

今からおよそ三年前、幕末の秋イベントにて一位報酬(・・・・)として告知された其の『黄金色の小鎚』は、ユラの手に渡った後に、イベントの後のランカー含めた『プレイヤー千人の連合軍』によって天誅され。

 

一度質屋にて卸された数十分後に、質屋が爆破(・・)されて他のプレイヤーが幕府に献上し、其の後幕府の宝物庫に飾られていたのが再び爆破されて流出後、様々なプレイヤーの手に渡りながら彷徨い続けて。

 

そして其れは、合縁奇縁で一期一会の殺戮世界の中、何の因果か血煙の元へと流れ着いたのである…………。

 

 

 

 

 

 

其の後ペッパーは幕末の世界で『ある技』を練習し、ログアウトしたのだった。

 

 

 

 

 

 






運命の出会いは突然に


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