VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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路上ライブを終えて




無限湧きは経験値と御邪魔の二面性

『『『『『素晴らしいッッッッッッッッッ!!!』』』』』

「其れはどうも…………」

 

路上ライブを無事に終え、展開していた機材を仕舞っていったヒトミを横目に、殺到したプレイヤー達を前にしたペッパーは、非常に遠い目&乾いた表情をしている。

 

「ペッパープロデューサー…………否、PPさん!『ヒトミさんの写真集』は無いのですか!?」

「いや、何故に写真集…………?というか、何故にプロデューサー………って、嗚呼そうかヒトミさんの契約者だからか」

「ライブ映像撮らせていただきました!」

「ネットの海に放流しないで下さいよ?盗撮は犯罪として色々言われてしまいますから」

 

完全に悪目立ちが極まり過ぎた状況で、既に面倒臭い雰囲気がプンプン漂っているという事実に彼は頭を擡げ、此の喧騒を如何にして終息に導くかを思考し続けていれば、ヒトミの背後に複数人のプレイヤーがジリジリと迫って来て居るのを発見。

 

契約者として彼女に危害は加えさせんと、神律燼風(しんりつじんふう)でスタミナを消費してモーションの高速化を行ってインベントリアを操作。試したい逸品を使える様にする『次いで』に、性別反転の青の聖杯を取り出して使用した事で女性の姿に変わった事で、プレイヤー達の黄色い歓声が湧き上がる。

 

そしてインベントリアにヒトミを回収、からのレーアドライヴ・アクセラレートで其のプレイヤー達の前に立ち、一人の女性プレイヤーの足を軽く払い、片方の腕で手首を優しく捕まえつつも、もう片方の腕はプレイヤーの背中に添えて。

 

最後の仕上げにペッパーは、聖盾輝士団の団員によって不名誉ながらも『性の最大火力(セクシャル・アタックホルダー)』と認知されし、恋愛ゲーの破壊力抜群の一言を叩き付ける。

 

 

 

「大丈夫かい、可愛らしい御嬢さん?」──────と。

 

 

 

ペッパーが放ったのは『たった一言』。其れも恋愛ゲーでは定番中の定番とも言える、何の変哲も無い台詞で。

 

だが其のたった一言であるにも関わらず、此の場に居たプレイヤー達に絶大極まる衝撃を与えた結果、ある者は「お"ぬっぶ°?!?」という奇声を上げ、ある者は「ぬ"ぎゅる!?!」と歓喜の悲鳴を。

 

またある者達に至っては、其の口から「アッッッッッッッッ!!!」や「ミッッッッッッッッ!!!」と叫ぶや、膝を着いて悶えたり、崩折れて五体投地と化したり、脳波に異常をきたした事でシステム側による強制ログアウトが発生し。

 

そしてペッパーに支えられられながらに、超至近距離下で食らった女子プレイヤーはといえば、「ヒュッ」と息が漏れたと同時にボスン!という一際大きな水蒸気爆発を起こして赤面、更には頭から白い蒸気が放出されながらにグルグル目と、非常に幸せそうな表情に変わったのである。

 

此の一連の大災害を巻き起こしたペッパーはと言えば、非常に気不味い表情をしながら一目散にベヒーモスへ突撃。皆が向かっている第九階層に最も近い、第八階層へとテレポートしたのだった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおやぁ?おやおやおやおやおやおやぁ?私の(・・)あーちゃん、どうして青の聖杯を使っているのかな〜?」

 

ベヒーモス・第八階層。てっきり既に第九階層へ向かっていたのではと思っていた、ラビッツのユニークシナリオ受注者であるサンラクやペンシルゴン、サンラクのマフラーに擬態したエムル。

 

最大火力(アタックホルダー)のサイガ-0と(彼女)の背中に掛かったファーコート状態のビィラック、背中にシークルゥを背負う秋津茜(アキツアカネ)に、レーザーカジキと腰マントに変化しているエストマは待っていたらしく。

 

何故に女体化しているのかをペンシルゴンが聞きに来て、一定範囲に近付いた事をトリガーとしたか、ノワが出張って『グルルル………!』と威嚇を飛ばし、ペンシルゴンは火花を散らし合うという軽い修羅場が起きる。

 

「ヒトミさんが路上ライブで注意を引いた後に、俺はペッパープロデューサーって言われたり、後はヒトミさんの写真集は無いのか?………やら、色々言われてね。包囲されて逃げ出せなくなりそうな気配がしたから、青の聖杯で性別反転しつつ『キザな台詞』をブチ噛まして脱出して来たって感じ」

「其れ絶対『ロクな事』になってねーだろ………」

「まぁね…………」

 

ノワを抱え上げつつ、撫で撫でしてやれば落ち着きを取り戻して、御機嫌な様子で尻尾を振り。次にペンシルゴンにも頭を撫で撫ですれば、硬かった表情はふんわりと和らいでいく。

 

「凄いですね!」

「す、凄いと言うか………何と言うか………」

「そ、それ、大丈夫………なん、ですか?」

「多分大丈夫じゃない」

 

此れだけは断言して言い切れるし、実際に絵本の読み聞かせを間近で見聞きしたペンシルゴンは、アレを食らったプレイヤー達に対しては、心で静かに南無南無と唱えた。

 

「とと、其れじゃあベヒーモス・第九階層に向かいますかぁ!おぅ象牙(ゾウゲ)、転送頼むぜ!」

『えぇ。案内しましょう、我が子達よ。ベヒーモスの第九階層へ。此の先に待つ試練は此のバハムートでの『総決算』…………貴方達が培った其の全てを以て、越える事がクリア条件になります』

 

象牙曰く。ベヒーモスは二号人類のみに留まらず、様々な実験によって多様性に富んだ様々なモンスター生み出し続けた事で、此のベヒーモスという船()()()()一つの『環境』となったのだと。基本的に人工的に繁殖・育成して『成体』となった個体(モンスター)達は、格納鍵(かくのうけん)インベントリアの技術を応用した『コールドスリープ状態』で保管されているとか。

 

そして最終試練たる其れは、ベヒーモスが産み出したモンスターの中でも、象牙が『危険度レベル10』に指定しているモンスター達で。其れ等は共通して『あるモンスター達』の性質を、()()()()()()()()()()()()()()という『実験』の産物。其れ故に『彼等彼女等』の能力が混ざり合った事で産まれ落ちた、象牙の頭のネジが外れた様な存在と化している、おそらく類を見ないだろう失敗作(・・・)なのだと言う。

 

「やろう、皆。此の先の第九階層を攻略しよう!」

『『『『『応ッッッ!!!』』』』』

 

ペッパーが音頭を取り、六人四羽一匹一機の中規模クラスのパーティは、ベヒーモスの最終試練たる第九階層へと転移したのである…………。

 

 

 






第九階層攻略へ


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