VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の合言葉は




メイクアップ、ブラック・ウー・ウォーリアー

変身とは何か?一説では身体を他の物に変える事であり、姿を変えた姿である。

 

変身とは何か?一説では日本の特撮関係に於いて掛け声こそ異なるが、パワードスーツやらに身を包む際に必要な合言葉である。

 

変身とは何か?一説では今までの弱い自分と決別(おわかれ)をして、新しい自分へと生まれ変わる為の合言葉である。

 

では結局の所、変身とは何か?自分の説にはなるが、己の中に在る羞恥心(ボール)かなぐり捨てる(ホームランする)為に必要不可欠な、芯のブレない一本のバットの名前なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き死に捧ぐ嘆き(レクィエスカト・イン・パーケ)を使用した事で、隔て刃シリーズ一式が木っ端微塵に弾け飛ぶ。半世紀前の魔法少女アニメに有りがちな『意地でも全裸にしてやる』という、制作陣の意図的な表現によって一瞬だけ全裸(インナーは砕けていない)に成った後、手に持つ黒いクリスタルからリボン状の靄の様な物が噴き出しながらに纏い、全身に巻き付き始める。

 

そして其れが弾けて其の身に現れていくのは、衣装は全てが『黒』で統一された日本軍人の軍帽・ノースリーブのワンピース・ミニスカートとパンティーストッキングの一体化、そして肘まで迫る長い手袋にブーツから成る、謂わば『軍服』の其れであり。

 

同時に肌身に感じるのは、見えない手でサンオイルを塗りたくられ、見えない大きな意志に似た何か(・・)によって、衣服を着せられた『着せ替え人形』の様に形容し難い感覚に襲われながらも、変身バンクは無事に完遂へと至る。

 

此処までの一連の流れを体験したペッパーは、唯一言「うわぁ……………」と呟いて。

 

「あーちゃん、魔法少女になったの?」

「その、何ていうか……似合って、ますね?」

「クール系王子様女子にピッタリだな」

「そうかな……………とと、三人共集中!雛鳥が来たよッ!」

 

ペンシルゴンやレーザーカジキ、サンラクに思った事を言われたりもしたが、サンラクの刻傷によって迫って来た雛鳥の一羽を金弓宝剛剣(ゴルト・ヴァーシュ)を剣モードに戻し、ウツロウミカガミを起動。切り離された残像(デコイ)に群がる雛鳥達の中から、一羽を狙って脳天を一刀両断の如く思いっ切り叩き斬る。

 

脳天を開きにされた結果、雛鳥を構成するポリゴンは崩壊していき。しかしながら其の最中に『黒いエフェクト』が発生して消え去り、其れが『黒き死に捧ぐ嘆き』に()()()()()()()()

 

此の瞬間、ペッパーの脳内にて超新星の大爆発に似た衝撃が起きて。同時に彼女()の思考が『勝利の方程式』を高速構築し、一つの『結論』を導く。

 

 

「成程、つまり『マザー・グースの雛鳥』は()()()()()なんだな………!」

 

 

確信して言い切れる。此の勝負、俺達は勝てる──────と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『黒き死に捧ぐ嘆き』には、幾つかの能力が備わっている。

 

一つ、女性アバターの状態で頭・胴・腰・脚の、各部位の装備を破壊して専用装備へと変更する効果。

 

二つ、装備者は回復アイテムを使用不可と、装備者がモンスター・NPC・プレイヤーを打倒(・・)した際に、一定量の体力及びMPを回復する。

 

三つ、装備者がモンスター・NPC・プレイヤーを打倒した際に、此の装備のステータスに強化補正(・・・・)が付与される。

 

リュカオーンの愛呪によって弾かれるのは『他者からの強化や弱体化』であり、強化と弱体化の『補正』を弾かないという抜け道(・・・)が存在している事。

 

無尽臓マザー・グースが産み出す雛鳥一羽一羽には、確りとした『死亡判定』が搭載されている事。其の雛鳥達は一羽一羽のステータスは『其処まで高く設定されていない』事。

 

無尽蔵マザー・グースは言うなれば『群体(・・)となる雛鳥を生み出し続けるモンスター』であり、本体は『同じ場所に留まって雛鳥達に戦闘を任せる特性を持っている』。

 

黒き死に捧ぐ嘆きの装備効果、無尽蔵マザー・グースの生態、そしてマザー・グースの産み落とした雛鳥の存在。其の全ての要素が『噛み合った』時、一体何が起きるのか?

 

其の答えは────────────

 

 

 

「タワーディフェンス+無双ゲーだよなぁコレッ!!良いぞ、確かに悪くは無い!」

 

金弓宝剛剣では何時か折れてしまうと、クリティカルを繰り出し続ければ半永久的に戦える傑鉄への鐵鎚(タウスレッジ)に切り換えて、兎に角雛鳥達を殴りに殴って殴って次々に鳥挽肉へ変えつつも、指パッチンで封熱の撃鉄(ニッショウ・トリガー)(スペリオル)を起動。

 

高速移動によって作られたヘイト付与の陽炎が切り離され、雛鳥達が其処に群がるもペッパーは居らず。逆に纏まった事で狙いが絞りやすくなった事で、サンラク・ペンシルゴン・レーザーカジキの攻撃が、小さな鳥達を撃ち倒していく。

 

「ハッハー!良いね、良いね!コイツァ悪くねぇ!気に入ったぜ、碧羅(ヘキラ)&金漆(ゴンゼツ)!スローターしてやんよ!!!」

「姉さんが見たら絶対発狂して、頭から倒れる予感がしそうです…………!」

「其処は象牙ちゃんに責任取って貰いましょ…………っと!」

 

集まった雛鳥に強力な炎熱のスリップダメージと火炎魔法による高熱で焼き焦がされ、風と雷の斬撃に飛ぶ攻撃と回転を加えた槍の穂先によるミキサーが身を引き裂いて。

 

一羽また一羽と倒れる度に黒いエフェクトが発生しては、黒き死に捧ぐ嘆きに吸い込まれてペッパーのステータスの強化、更には体力とMPの回復供給の末路を辿らせる。

 

「もっとだ、どんどん来いッ!!」

「足らねぇ足らねぇ鳥共がぁ!!全員纏めて鳥のつくねにしてやんよオラァ!!」

「群体ブッ飛ばすのは快感だねぇ!!おねーさんもっと頑張っちゃう!!!」

「…………………うわぁ」

 

緋色の炎を纏い、空を駆け抜け辻斬りにしていくペッパーと。

黒い雷を迸らせ、翡翠と黒金の剣達で滅多刺しにするサンラクと。

金色の槍を振るい抜き、穿ち薙ぎて並み居る敵を猛将の如く吹き飛ばすペンシルゴン。

 

そして其れを見たレーザーカジキは、取り逃した雛鳥達を四属性の魔法を放ちつつ、唯々思いのままに言葉を呟いたのだった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無尽臓マザー・グースが産卵した卵から孵った雛鳥達を、ペッパー・サンラク・ペンシルゴン・レーザーカジキによる、大立ち回りの足止めで食い止め繋ぎ。

 

そして残りメンバーの本体への直行、産卵し続けたマザー・グースは他のメンバーによる度重なる波状攻撃でボコボコにされ、最後はサイガ-0の握る『鉄鞭』による渾身の一撃に頭を叩き潰された事で、遂に其の身は倒れ伏し。

 

生みの親と生命を『共有』していた雛鳥達も、マザー・グースの討伐と共に一羽残らず死滅の末路を辿り、ペッパーが礼を述べ終えるよりも前に象牙(ゾウゲ)が現れ、彼等彼女等に向けて言葉を紡ぐ。

 

『嗚呼、愛しき我が子達よ…………。唯の身一つで世界に投げ出されながらも、貴方達は力を得て私の元に再び戻ってきました。そして今………此のベヒーモスにて学び、培い、貴方達は此の箱庭の頂点に立ったのです』

 

象牙(彼女)の言葉は、まるで『揺り籠の中で眠る赤子』に語り掛ける様に優しく。しかして何処か、大きくなって『独り立ちする我が子』に語り掛ける様に寂しくも有る。

 

『貴方達人類は、嘗て万物の中で最も長じた存在として『霊長』の名を掲げていました。ですが、此の星で敗北した彼等彼女等は滅び…………しかし貴方達である、次世代の人類達を此の世界に遺しました。私の願いは、人類が再び『霊長』の名を掲げる事…………どうか此れからも、人の『可能性』を見せてください』

 

そして象牙は言う…………『此のベヒーモスの最奥へと続く扉は開かれた』──────と。同時に第九階層の試練に挑戦した参加メンバー全員の足元に、転移装置による光が満ち溢れる。

 

『此の先に在るのは神代の人類が紡ぎ繋いだ、大いなる叡智の区画…………。強く愛しき我が子達よ。世界を拓く貴方達を、第十階層に在る様々な物は更なる高みに導くでしょう。より()く、そして有効に使ってくださいね?』

 

象牙の言葉と共に、ペッパー達はベヒーモス・第十階層へと転移していく。同時に彼等彼女等には、リザルト画面が表示されたのだった──────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブーケ・パズル:第五段階(ランクファイブ)を取得しました』

『称号【Re:故郷帰還】を獲得しました』

『称号【象牙駆け】を獲得しました』

『称号【母の愛を受けし者】を獲得しました』

『第九階層突破により、報酬として【新正規量産品BWビーコン】を獲得しました』

『グランドクエストが進行しました』

 

 

 

 

 






扉は開かれた



※ペッパーが使用した黒き死に捧ぐ嘆きは軍服タイプ(レア物)、イメージは『戦場のヴァルキュリア』のキャラの一人『セルベリア・ブレス』の物に、頭の軍帽と脚のブーツは『フラワーナイトガール』のレア度・虹のキャラ『クロユリ』の未開花状態の時の物です





称号解説


Re:故郷帰還

嘗ての人類が造り上げた母なる象を、最初に踏破した者達に贈られる称号。郷愁し、母を見付け、最奥の地に足を踏み入れた者の証であり、偉業でもある物。


象牙駆け

B-3ベヒーモスの第十階層まで、到達した者達全員に与えられる共通称号。新人類を産み出したベヒーモスの試練を越え、再び霊長の名を掲げた者に贈られる証。


母の愛を受けし者

ベヒーモス統括AI『象牙(ゾウゲ)』の好感度を最大にした状態で第十階層に到達した者達に贈られる、所謂『隠し称号』(パーティーならば一人でも好感度を最大にしていれば、メンバー全員も獲得出来る)。

厳しくも確かな愛を抱く彼女の期待に応えた者、其の健かな想いを知りて駆け抜けた者に、例え遠くに離れども象牙は此れからも見守り続けるのだ。


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