VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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説明を終えて




紅蓮の夜空にて、最大の戦果を求む

『『クソゲーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!』』

「「「「「!?!?」」」」」

「びゃう!?」

「うわぁ、びっくりした?!」

 

ウィンプ並びにヴォーパルバニーズ育成計画立案から数分、シグモニア前線渓谷(フロントライン)内で唯一の安全圏にして、サンラク所有のブリュバスから彼とペンシルゴンの声が響く。

 

振り向きブリュバスの方を見れば、額に青筋をビキビキと走らせながら、明らかに苛立ちを顕にしている二人が甲板から降りて来て。そしてサイナは先程の御返しとばかりに、サンラクへこう言ったのである。

 

疑問(オイオイ):どうしたんだい変態?」

帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)は狩れたし、ツァーベリル帝宝晶も掘れたし、此のまま百足狩ろうとしてアーミレット絨毯爆撃にやられたんだよ…………!」

「私はサンラク君に巻き添えにされましたぁ〜〜!!!」

 

どうやらサンラクは件の蠍を狩って鉱石も掘り出せ、其のままトレイノル・センチピード・グスタフを漁夫の利しようとした所で、フォルトレス・ガルガンチュラの蜘蛛砲撃によって死亡、ペンシルゴンも其れに巻き添えを食らう形でデスポーンさせられたらしい。

 

此処で生存競争という名の大戦争を繰り広げるトレイノルとガルガンチュラの戦いに割って入るならば、少なくとも何方かの陣営に味方して消耗戦を展開。そして程良く両陣営に打撃を与えてから倒さなければ、先ず自分達が生き残るのは不可能と断言して良いだろう。

 

と、そんな彼等彼女等の喧騒を掻き消すが如く、一際大きな地響きがシグモニア全域を揺らし始める。

 

「うわ、何だ!?地震か!?」

「かなりデカいぞ………!」

「………………報告:どうやらトレイノルの雌個体『トレイノル・センチピード・ドーラ』、並びにガルガンチュラの女王個体『フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレス』が、先程からの戦いで()()()()様ですね。今は外に出ない事を推奨します」

 

人間『押すなよ!絶対に押すなよ?!』と言われても、押したくなってしまう生き物であり、危険と解っていても見たくなる生き物でもある。そしてペッパー・サンラク・ペンシルゴンも例外に非ず、岩戸を僅かに開けて外を覗き。

 

 

 

 

 

 

先程まで戦っていたトレイノル・センチピード・グスタフとフォルトレス・ガルガンチュラが、其々の五倍程は有ろう敵対個体によって叩き潰され、五倍近い毒液砲台とアーミレット・ガルガンチュラを飛ばし、更には帝晶双蠍がブチ切れてビームをブッ放してくるという、壮絶窮めた地獄絵図を目の当たりにし。

 

ペッパーはバフスキルを全力点火して戦場に飛び出すや、毒液・蜘蛛・レーザーの雨の中を走り抜け、亡骸と化したトレイノル・センチピード・グスタフとフォルトレス・ガルガンチュラ、アーミレット・ガルガンチュラの素材達を拾い、インベントリアへと放り込んで一目散に走って生還を果たした。

 

 

 

 

 

 

「ま、マジで死ぬかと思った……………」

「せ、せいきまつ……………」

「其れに関しちゃ同感だわ」

「で、どーやって『ブッ倒そう』か?あの二体」

「「それな」」

 

此のままバチバチの大戦争をやり過ごすのもアリだが、三人の意志は『逃走』では無く『闘争』の思考であり。何よりも二種族の親玉が戦場に躍り出たともなれば、其れを狩って首級を掲げればヴォーパル魂的に見て、凄まじい上昇数値となるのは明白だ。

 

と、そんな三人をジッ………と。其の中で()()()()()見ていたサイナが、随分神妙な顔をしており。推進器らしい物で体勢を立て直し、膝でバランスを取りながらに言う。

 

精査完了(・・・・)、此迄の対応から対象を回収目標重要度(ターゲットランク)交渉可級(ネゴシエイト)』と認定。次世代原始人類サンラク、話が有ります」

「ん?何だインテリジェンス擦り」

「提案:当機(ワタシ)との契約(・・)を推奨します」

「…………何?」

「カルネ=ヒトミからの提供データにより、個体名サンラク、ペッパー・天津気(アマツキ)。及びアーサー・ペンシルゴンが装着・空間を共有している『腕輪(デバイス)』、其の先に在る武装群『全て』の行使が可能です」

 

以前にヒトミが言っていた、征服人形(コンキスタ・ドール)の適性。サンラクはエルマ型と相性が良いと言っていたが、どうやら其の話は本当であったらしい。そしてカルネ型とは異なり、エルマ型は重量級武装と戦術機獣の運用も可能としている様で、サイナはヒトミをチラリと見る。

 

「随分と自信満々なドヤ顔してるみてーだが、俺等の持ってる武装(モン)はそんじょそこらの量産品(ヤツ等)とは、まるで違うぞ?」

当機(ワタシ)演算能力(インテリジェンス)を正しく認識していないのですね。常に半裸なのは、脳細胞と思考能力に異常有りでは?」

 

互いにニッコリ笑顔。しかし此処で言い争っても何も話が進まないと解っているからか、サイナは話を続ける。

 

「説明続行:当機(ワタシ)を含むエルマ型は、回収オブジェクトを用いた戦闘を想定して設計された、探索兼戦闘用モデルです。規格外戦術機獣を動力源とし、遠隔エネルギー供給で起動する規格外特殊強化装甲のエネルギー供給システムにハッキングを行う事で、エネルギーラインを当機(ワタシ)から装甲へと形成。擬似的に当機(ワタシ)自身が戦術機獣として機能する事で装甲を起動させます」

 

説明は長く解らない部分も多いが、要約すると『格納鍵(かくのうけん)インベントリアの中に在る、規格外強化装甲と規格外戦術機達を自身のエネルギーに直結する事により、時間制限を取っ払って使用可能になる』と言った所だろう。

 

「………………つまりヒトミさんが扱えない、重量級を含んだ規格外シリーズをサイナさんは満遍無く使える、と言う訳ですか?」

肯定(えぇ):腕輪(デバイス)内をハッキングして八割程調べましたが、内部に該当機種用のリアクターが一つ在る事も確認しています。其れを用いれば当機のリアクターと該当リアクターを接続、戦術機獣との合体による稼働も可能です」

当機()は今の状態でも問題無く動ける。エルマ=サイナにリアクターと戦術機、強化装甲を渡してやって欲しい」

「ってか、しれっとハッキングしてんじゃねーぞインテリジェンス」

否定(ノンノン):非常事態で最善の行動を取れる。其れもまた知性(インテリジェンス)ですよ、自殺志願者(サンラク)

 

どうして互いに喧嘩腰なんだと思いたくなったし、殴り合いでも開催されるんじゃないかと警戒したが、サンラクはハァ〜と溜息を吐いてサイナに言った。

 

「………………まぁ良い、今の俺達にとっちゃ戦力は一人でも多い方が戦略の幅が広がる。其の契約とやら、やってやろうじゃねぇか」

「承認:再征服(レコンキスタ)計画を発動。……フェーズ1省略(スキップ)。フェーズ2を部分的に省略(スキップ)。フェーズ3へ移行し、プロセス『貴方の人形(ユアドール)』を開始。契約候補者サンラク、跪き当機(ワタシ)と視線を合わせてください」

「あいよ」

 

ペッパーも経験した征服人形との契約、サンラクが膝を着いてサイナと視線を合わせれば、カシャリとシャッター音がサイナから鳴って、瞳孔(フォーカス)が機械の様に稼働する。

 

「網膜情報登録、完了。……契約候補者サンラク、掌を前に掲げてください」

「おうよ」

 

右手を翳したサンラクに、摩耗しながらも僅かに残った左掌をペタペタと当てて、サイナは彼の指紋と掌紋を登録していく。

 

「指紋及び掌紋情報登録、完了。……契約候補者サンラク、最後に腕を出してください」

「プロセスなげぇな…………ほいっと」

「がぶっ」

「ちょっ!?」

 

いきなり噛まれた事に驚きを隠せないサンラクだが、其の気持ちは解らなくない。網膜・指紋・血液登録は多重認識に置いてはポピュラーで、複数要素を登録する事により他の者に悪用されるのを防ぐ狙いが有るのだから。

 

問題は現在進行系で其の血液採取を見ていたペンシルゴンが、ハイライトをオフにした視線で自分の背中に矢印を突き刺し続けている…………という所だろうか。血液採取ですら許容しない辺り、流石は独占欲を全力全開にしている黒幕魔王だ。此れは現実世界(リアル)で搾り取り不可避の流れは確定したと見て良い。

 

「血液情報登録、完了。プロセス『貴方の人形(ユアドール)』、完遂(コンプリート)契約者(マスター) サンラク、当機(ワタシ)は貴方だけの人形です。使い熟すも使い潰すも、どうぞ御随意に……」

「あー、うん。よろしくな、エルマ…………いや長いな。よろしく、サイナ」

 

こうしてサンラクはサイナとの契約を果たした事で、パーティーの戦力は増大した。狙うはトレイノル・センチピード・ドーラとフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスのヘイトコントロールを行い、片方の討伐…………或いは両方の討伐だ。

 

 

 






サンラク、契約完了


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