VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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デスポーンの後




楽しく往こうぜ、ワン・ツー・スリー!

「戦果はどんな感じ〜、サンラクくーん」

「ドーラのレア素材は爆殺される前に回収出来たわ。鳥面は半壊してるけど…………そっちは?」

「此方も何とかね………。アーミレットに邪魔されなければ、もうちょっと拾えたかも………」

「だなぁ…………」

「サンラクさん、戻って来たみたいですわ」

「ペンシルゴンしゃん!」

「お疲れ様なのさ」

『グルル』

「やっとかえってきたのね、あんたたち…………」

『シュ〜』

「随分と手酷くやられましたね」

「同意だ、サイナ」

 

トレイノル・センチピード・ドーラとフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスによる、シグモニア前線渓谷(フロントライン)大戦争に飛び込んで両陣営の頭を討ち取ったペッパー・サンラク・ペンシルゴン、そして三羽と二機と一人に二匹からなる中規模パーティー。

 

日を跨いで午前四時半まで続いた大激闘の末、此の地の安全圏たる空洞に置かれたブリュバスのベッドにてリスポーンしたサンラクとペンシルゴンは、各々インベントリアに放り込んだ二種族の女王個体の素材を眺める。

 

「百足はドーラとグスタフの砲塔や心臓に、甲殻や牙に脚。蜘蛛は通常と女王の毛や砲塔、目玉に脚含めて超大量。おまけに帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の素材でウハウハだぜぇ………」

「で、私の(・・)あーくんがまだ戻って来てないんだけど。あの蠍達のヘイトを持って行って、何やってんのかなぁ…………」

『グルルルルル………!』

 

『何言ってんだお前』とばかりに喉を鳴らし、ノワがペンシルゴンを威嚇する。互いにバチバチと火花を散らし合う中、ブリュバスのベッドの上でアバターが構築。インナーを履いた以外は殆ど全裸に近い状態のペッパーが現れ、ムクリと無言で起き上がるやライノベレーの帽子と奏でる者の旋律羽衣(ダ・カーポ・シェイルンコート)を纏う。

 

『ワゥン!』

「ペッパーはん!」

「やぁやぁ、私のあーくん。リザルトを聞いても良いかな?」

「全方位から飛んで来るビームを避けつつ、ボロボロだった一体の帝晶双蠍を狩り取って、次いでにツァーベリル帝宝晶も掘り出した。最終的に深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)を奏でる者の旋律羽衣に切り替た所に、殺到したビームで蜂の巣にされたって所かな…………」

 

マンガで銃やビームで『蜂の巣されたキャラの気持ち』が理解出来る、そんな良い経験になったと思っていれば、空洞内がズズズン………と鈍い音を立てて、時折爆発音が空気と渓谷に轟き揺れ動く。

 

どうやら百足と蜘蛛の戦いは未だ収束の気配を見せず、何方かの種が滅びるまで戦い争う宿命に在るのだと思考し、インベントリアの中に在る百足と蜘蛛に蠍の素材と一緒に収まった、深淵の盟主と力を分けた鎧を見て心の中で礼を述べる。

 

(深淵を見定む蛸極王装、お前の御陰で此の戦場で大きな戦果を上げられた。ありがとうな)

 

そろそろビィラックに頼んで武器や防具の修繕に、今回皆の協力を得て討伐したモンスター達の素材を何に使うか考えてみるのも悪くはないだろう。

 

フォルトレス・ガルガンチュラの甲殻や脚は、滅茶苦茶硬かった上に重量も申し分無しなので、作るとしたら『タンク用の一式装備』に適性が有る。他に武器等を作るとして思い浮かんだのは、超重量からなる『タワーシールド』や重量圧殺(ヘビープレッシャー)を目的とした『籠脚(ガンドレッグ)』にしてみるのも、中々に面白いかも知れない。

 

トレイノル・センチピードは前に秋津茜(アキツアカネ)が実戦的訓練時に戦ってたのを観たが、自身の毒を筋繊維へ注入・活性化して動いていたを鑑みるに、其の高速流動からして『チェーンソー』や『蛇腹剣』、或いは毒によって装備者の強化を行える………そんな『甦機装(リ·レガシーウェポン)』に使える可能性も在るだろうか?

 

もしも自分がビィラックの様な鍛冶師であり、フォルトレス・ガルガンチュラの素材でタンク一式装備を作り上げ、そして名付けるならば『要塞城の厳壁凱鎧(キャッスェル・ガルガヴリーナ)』にし、ビィラックに作って貰うならば『此の名前にしたい』と決意。

 

帝晶双蠍の素材は煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)を参考に日光と月光で魔力(エネルギー)をチャージ、其の魔力をビームとして放ったり、ビームの性質を任意で変更(スイッチ)する事が出来る様な、新しいタイプの甦機装。其れかダルニャータにツァーベリル帝宝晶共々依頼・糸と布に加工して貰い、防具や人形に普通のアクセサリーへ生まれ変わらせても良い。

 

「あーくん、あーくん。随分と耳がピク付いてるけど、君はなーに考えてるのかなぁ〜〜〜〜?ん〜〜〜〜〜???」

「手に入ったトレノイルやフォルトレスの素材を分配から、其れを何に使おうか思考していた所。ベヒーモスで学んだ機装(デバイス)の基礎である『活性』………其れを活かせば、面白い能力を搭載した『ハンドメイドガン』が作れるかもってね」

「因みに其のハンドメイドガン、仮に作るとして『どんな感じにする』とか決めてんのか?」

 

インベントリア内のトレイノル・センチピードの素材一覧を見つつ説明すると、サンラクが興味を持って聞いてきたので答える事にする。

 

「そうだね………トレイノル・センチピードは体内で生成した毒を攻撃に用いる以外に、自身の筋繊維に毒を適量注入して全身流動で巡らせる事で、身体中を活性化する『セルフドーピング』をしてるんだ。其れに習って『MP消費のバフ効果』みたいな感じで、機能を発動するみたいな感じになるかも」

「要するに何だ?『注射器』みたいな奴でも作る気か?」

「流石に注射器は…………。…………いや、其の『方向性』も有りか」

 

サンラクの言葉で朧気ながらも、ハンドメイドガンのイメージは固まるも流石に一徹によって襲い掛かる眠気がヤバいのと、午前五時を過ぎたのでログアウトして今夜に備えた準備をしないと不味い。何よりも今日は、前々から宣言していた『永遠との約束の日』なのだから。

 

「サンラク、ペンシルゴン。俺はそろそろ現実(リアル)で『大事な予定』が有るから休むわ」

「あ、其れ実は私もなんだよね」

 

アイコンタクトから唐突に話を合せる様にと送ってきた彼女に、ペッパーもまた話を合わせる。

 

「えっ、そうなのか?」

「そうそう」

「ほぉーん。御二人さん、何やら重要任務でも御有りで?」

「フフフフ…………其れはまだ(・・)内緒だよん♪」

 

ニンマリ顔をするペンシルゴンに、ニヤニヤ顔でペッパーを見るサンラクを横目で流しつつ、ブリュバスのベッドで再びセーブをした後、アイトゥイルとノワを撫で撫でしてからベッドに寝転がり、静かに目を閉じて。

 

そしてシャンフロからログアウト、ペッパーから梓に戻った彼は、朝日が射し込む部屋の中で『今宵』に向けた、最終調整を開始。レトロゲーマー『A-Z』としてゲーセンに降臨する時に持って行く鞄とは、同形状で別色を取り出して着替え用の下着に衣服や、実家でも遊べる様にVRヘッドギアとGAME-SHOP ロックロールで手にした御宝たる『戦場のヴァルキュリア』のパッケージ。

 

また『万が一』を含めてシャンフロのソフトも外しつつ、パッケージに入れ直した後に、彼はシャワーを浴びて朝食を食べるべく行動を開始するのだった…………。

 

 

 






決戦の夜へ


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