VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一方のサンラクは




ケジメを付ける、情報齎す

梓と永遠が現実にてイチャ付いている頃、サンラクはエムルと共に兎の国ラビッツ、其の兎御殿の謁見の間にてヴァッシュと向き合っている。

 

理由は一つ、無尽のゴルドゥニーネの八人目たるウィンプをパーティーに加えた事に関して、此処の大頭であるヴァッシュ…………或いは未だ公に明かされていない最後のユニークモンスター『不滅のヴァイスアッシュ』に事を伝える為だ。

 

「……………という訳なんですが、兄貴」

「事情は把握した。包み隠さず『ちゃあんと』伝えてくれた事が、オイラからしたら嬉しいからよォ」

 

因みに現在、凝視の鳥面はシグモニアの大決戦の最中に半壊し、変わりにアトランティクス・レプノルカの素材をふんだんに使用した、ビィラック作の一式装備『マクティクスシリーズの頭装備』を着けている。

 

煙管を蒸し、サンラクを見るヴァッシュはニヒルな笑みを浮かべる。サンラクからすれば『普通に怒られるのでは?』と思っていた上、最悪『指を詰める事』も覚悟していたのだが。

 

「あいつも『難儀な身体』だぁ、幾ら目鯨を立てたってしょうがねぇ。だが奴が『やらかした』ならァ………おめぇさん、責任(ケジメ)を付ける覚悟は有るんだろうなァ?」

「無論です、兄貴。場合によっちゃあ、防衛に回すヴォーパルバニー達を『失業』させちまうやもしれませんがね」

「くかかかかっ、はははははは!そりゃあ困った、奴等の新しい就職先を考えてやらなきゃなんねぇなぁ」

 

笑って立ち上がるや、サンラクに近付いたヴァッシュは彼の肩に手を置き、目を見ながらにこう言った。

 

「まぁ、御手並拝見と行こうじゃあねぇか。もし『しくじった』ならァ…………おめぇさん等死ぬ程度(・・・・)で済むと思うなよぉ?」

「……………ウッス」

 

最悪『キャラロスト』も起き得ると判断しつつも、此迄に培ったクソゲー知識で絶対に破滅エンドは回避してやると、サンラクは心に誓って。そして彼はエムルと共に、ライブラリの本拠地である『エイドルト』にファストトラベルで飛んだのだった。

 

理由は一つ。無尽のゴルドゥニーネのユニークシナリオEX、此れは『独占』するのでは無く『先手』を打つ事こそが得策だと、そう感じているからに他ならないのだから………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブラリの本拠地、サンラクの目に飛び込んだ景色は現実世界の図書館に等しい光景であり、大量の本が本棚に納められた場所でも在った。

 

超巨大宇宙船バハムートの三番艦・ベヒーモスが出現したからか、クランハウスに居るライブラリのメンバーはかなり少ない状態で。しかしながら件のクランのメンバーが来館したともなれば、皆の視線や注目は一気に集まる。

 

「水晶巣崖の攻略のコツは!?」やら、「煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)の性能について!」やら、「其の頭装備は何ですか!?」やら、果てにはヴォーパルバニーやバハムートの事に関してと、シッチャカメッチャカに聞かれたので、彼は「アンタ等のとこのエセ幼女はシナリオ攻略中らしいから、其れに近しい権限持ってる奴に話をしたい事が有ってな」と言った。

 

するとライブラリ所属のメンバーの一人、頭上に『ケケケーラ』と掲げたプレイヤーが即座に対応し、其れから待つ事数十分。ライブラリの正面玄関の扉を開いた『セート』が、息を切らし気味に戻って来た。

 

「ハァッ………ハァッ………ど、どうも。ベヒーモスからエイドルトまでマラソンする事になりました、セートです。噂は予々聞いてますよ…………」

「おぉぅ、大変だったな…………因みに『噂』ってのは?」

我々(ライブラリ)からすると『足が付いた宝石袋』と」

「言うね………じゃあ、今から話せるか?因みに此の話は『家のリーダーとサブリーダーも』関係が有ってな」

「無論ですとも」

 

セートの案内でライブラリの中に在る部屋、或いは教室と言える場所に移動し、他のメンバーがメモの体勢を整えて、サンラクは単刀直入に話を始めた。

 

「まぁ俺が持って来た情報は、特ダネ中の特ダネだ。其れを踏まえて『頼みたい事』が有る………………俺は『新大陸で無尽のゴルドゥニーネのユニークシナリオEXを、ペッパーとペンシルゴンと共に発生させた』。因みに此の情報は俺達三人以外で旅狼(ヴォルフガング)の面々も知らない、アンタ等に言ったのが『初めて』だ」

 

其の言葉にライブラリの面々はざわつき、セートも目を丸くして。しかしながら其の視線は落ち着いた物へと変わり、そしてサンラクに言った。

 

「………何故?」

 

セートが言わんとしている事も解る。七極天星(グランシャリオ)の連盟条件を見ても、遥かに旅狼有利な物で占められている中、何故『其の行動』を取ったのかが彼には解らないらしい。

 

確かにユニークシナリオを独占する事で得られる恩恵(メリット)は凄まじい。が、今回の場合の独占は其のまま自分達にとって『毒』となる可能性が極めて高い。故にこそ彼は『先手』を打つ──────何より此れからも、何らかの形で関わるライブラリへ、自分なりに『義』を通す事も先々に於いて必要だと考えたからだ。

 

「俺とペッパー、そしてペンシルゴンが受注したユニークシナリオEX。タイトルは【果て亡き我が闘争】……発生条件は『敵対判定が出ていないゴルドゥニーネに対し、パーティー申請を飛ばして受理される事』。そして俺達がパーティーを組んだのは『八人目のゴルドゥニーネ』、名前が『ウィンプ』だ」

「八人目?」

「現存してるのが何体なのか、其れは俺でも解らない。…………だが『複数人のプレイヤーがゴルドゥニーネを擁立する』、そんな方式に心当たりは有るだろ?」

 

サンラクの質問にセートを含めた、ライブラリのメンバーは思考し。そしてライブラリの本領と言わんばかりに話を展開していく。

 

「……………『選挙』、ですかね?」

「いや、セートさん。コレ多分何ですけど『バトルロイヤル』じゃないです?」

「あぁ、そうか!もしかして『最後の一人』になるまで生き残らせる的な?」

「だとすれば、ゴルドゥニーネの『動機』が気になるな………」

「サンラクさん、黒狼(ヴォルフシュバルツ)との戦いで『ゴルドゥニーネに接触した』って言ってましたよね?何かゴルドゥニーネは言ってましたか!?」

「ってかサンラクさん、ファストトラベル持ちなんですか!?」

「ゴルドゥニーネに関する話をする為に来たんだ、取り敢えず落ち着け。OK?」

 

ペッパーやペンシルゴンの事も聞かれそうになったので、取り敢えず話を脱線しない様にするのが先決だ。

 

「そっちのプレイヤーの予想通り、此のシナリオは『バトルロイヤル』形式で間違い無い。そして大前提として他のプレイヤーも受注する可能性が在る以上、独占は実質『不可能』だ。だから此方が打つ手段は『独占』じゃなくて『先手』だ」

 

サンラク的に見てもウィンプは『ヘタレ』である。彼女の眷属にして、ヘルパーの『サミーちゃん』の力が有って初めて生き残れて来れたのであり、万が一にもゴルドゥニーネの本体と殺り合うならば、あの巨大な四体の龍蛇(ナーガ)による絨毯爆撃で潰されるのは避けられない。

 

ウィンプ自身のレベリングをサイナ&ヒトミが提案・実行しているが、多分『其れだけでは足らない』気がしなくも無いのだ。だからこその一手であり、其の為の開示でもある…………まさに裏向きにしている手札を表に変え、観衆の前で驚愕させる手品師の如く、サンラクは言うのだ。

 

「単刀直入に言おう…………ライブラリには俺達が保護しているゴルドゥニーネの『後ろ盾』になって欲しい」

「成程…………今はキョージュが帰って来て居ない事を踏まえて欲しいのと、判断する為に最短で『三日』の最長で『一週間から十日程』、時間をいただいても宜しいでしょうか?」

 

ライブラリの本拠地に乗り込んだサンラク、彼の口から出たのはゴルドゥニーネのユニークシナリオEXと、八人目のゴルドゥニーネことウィンプの後ろ盾になって欲しいという要請で。其れに対してライブラリのサブリーダー・セートは、キョージュを含めて考える為の時間を作らせて欲しいだった。

 

「構わねぇよ。今『クターニッド』の関係で忙しいんだろ?ウェポニアのサブリーダーが言ってたぜ。其れとゴルドゥニーネを擁するプレイヤーの情報を掴んだら、俺達に流してくれ」

「確約はし兼ねますが、教授の『好奇心』からして高確率で良い返事が来るかと」

「そりゃあ助かる」

 

今はシャンフロ世界的に見れば、ジークヴルムとベヒーモスでフィーバーしている所へ新たにゴルドゥニーネが加われば、今まで以上に面倒な事に成るのは目に見えている。何より此のシナリオを『ペンシルゴン』も受注しているのが、サンラク的には非常に『面倒臭い』のだ。

 

何せ裏切り裏切られ、騙し騙されのバトルロイヤルは彼女からしたら『フィーバー』するタイプにして、他プレイヤーを多数犠牲にする未来しか見えない。

 

ふとインベントリアを覗いてみれば、アーミレット・ガルガンチュラの素材が物凄い勢いで増えており、おそらくサイナとヒトミがウィンプのレベリングをやっている可能性が出て来た。面倒な事になってなければまだ良いが、おそらく淡い期待だろう。

 

「あの〜…………サンラク、さん?」

「ん?」

 

そんな中、沈黙を破ったのはライブラリのプレイヤーの一人であり。彼は雄々しき威圧感を撒き散らす、頭装備を纏ったサンラクへと声を掛ける。

 

「ゴルドゥニーネの事で質問が有りまして…………。接触時にゴルドゥニーネは、サンラクさん達に何て言ってましたか………?」

「あぁ、其れか。…………そういや奴は気になる事を言ってたな」

「気になる事?」

「確か──────『私が私で在る限り、私は私でしかないのよ』………だったか」

 

サンラクの一言、其れはラビッツの防衛戦にてヴァイスアッシュとリュカオーンの介入の最中、ゴルドゥニーネが放った台詞だ。其の一言がライブラリの面々に更なる燃料が投下され、考察の業火は轟々と燃え上がる。

 

「私が私である限り、私は私でしかない………。クローン的な何かか?」

「複数のゴルドゥニーネ、本体と八人目のゴルドゥニーネが見た目が同じだとしたら、見分けるのが難しいだろう。だとしたら見分ける『コツ』が在るんじゃない?」

「ならベヒーモスに居たり、永住決め込んだライブラリメンバーにリアルでメール送れる奴に頼んで、無尽のゴルドゥニーネに関する情報を洗い出して貰おう!」

「此方の知り合いがベヒーモスで調べ物してるんで、今から連絡入れてきます!」

「なら話が早いな!『ゴルドゥニーネに関する情報』を扱ってる調査班に、今回の一連の情報を送って個別調査だ!」

 

ライブラリがワイワイガヤガヤと盛り上がったのを見計らい、サンラクはそそくさとライブラリの本拠地から退避し、エイドルトの裏路地に入ってエムルのゲートでフィフティシアに飛んだ後、自身が筆頭株主となっている黄金の天秤商会に乗り込み、顔パスで入ったVIPエリアにて品質の良い家具や調理器具に調味料を次々と購入。

 

次いでに商会の若旦那には、インベントリアの中に入れていた『ツァーベリル帝宝晶』を日頃の感謝と若旦那の家内へプレゼント。先々への信頼を更に強固な物にしてフィフティシアの裏路地からシグモニア前線渓谷(フロントライン)の空洞に置いたブリュバスへと、ファストトラベルで移動したのだった…………。

 

 

 

 

 






ライブラリへの協力要請


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