VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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やって来て




知的生命体にして敵対種族同士なれど、共通認識が有れば繋がれる可能性を持つ

「やぁーっ!いやぁー!?もうくもはいやぁももごぐぉえぅ!?」

「好き嫌いは良くありませんね、個体名称ウィンプ。アーミレット・ガルガンチュラの運動野を支えるゼリーマテリアルは、極めて高いマナ粒子を内包しています。故に結論から言えばゼリーマテリアルを摂取することでより効率的な成長を望むことができます」

停止要請(あまりやり過ぎるな):訓練とは適度な食事と睡眠の三本柱だぞ、エルマ=サイナ」

「心得てます、カルネ=ヒトミ。しかし今のペースでは成長速度が規定値を超過出来ません。幸い素材がゼリー状であるのは幸いでしょう、口の中に流し込めます」

「んゔ……っ、……ぉぇ、んぶゔっ!」

報告(おい):ウィンプから筋肉痙攣を感知、そろそろ胃袋の容量に限界が来ているぞ」

「ゔぉ……ゔぇえ……ざみ、サミ"ーぢゃ"ん"が、たべてよ"ぉ……!」

叱責(めっ):個体名称:サミーちゃんは既に規定値以上の実力を保持しています。故に個体名称:ウィンプは早急にゼリーマテリアルを摂取し、次の誘導群を処理する必要が有ります」

「だ、だじゅげでぇ"……!!」

 

ウィンプの様子を見に来たら、地獄絵図が広がっていた。ヒトミがサイナをある程度制御していたから良かったが、胃袋パンクするまで食事させるとか鬼か。

 

「おう、サイナ。お前は罰としての訓練所の空間の穴掘りに往って来い、環境整備も立派な仕事(インテリジェンス)だぞ」

「…………了解」

 

インテリジェンスに反応してか、サイナはウィンプへの強制接種を中断し、穴掘りに赴き。そしてサンラクはウィンプを地面に寝かせたヒトミに、現在の状況を問い掛ける。

 

「んで、ヒトミだっけか。ウィンプの調子はどうだった?」

「回答:ウィンプは現時点でサミーちゃんの1/3程度の戦力になった。が、エルマ=サイナの言う通り成長速度が遅いと言わざるを得ない。最大の理由を演算した結果、アーミレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルが『無味無臭』である事、此の空間は安全では有るが『生活環境が著しく低い事』が、彼女の成長意欲を抑制していると考察する」

 

客観的かつ理解り易く説明するヒトミの姿に『ペッパーの面影』が重なったのを見て。そしてヒトミは答えを導き出した。

 

「故に其の解決策として、第一に『ベッド等の家具配置による環境整備』、次点に『ゼリーマテリアルの調理を行える調理器具と調味料の調達』が推奨される」

「成程、良い答えだ。次いでに其の二つの問題、今から解決出来そうだぜ」

 

ノールックでインベントリアを操作。黄金の天秤商会にて購入した家具の数々を取り出しながら、サンラクはヒトミに言う。

 

「生活環境は大事だかんな、ちょっと配置を手伝ってくれ。サイナも手伝ったら穴掘り再開なー」

了解(心得た):」

了解(ラジャー):」

 

フカフカのベッドに椅子やテーブル、絨毯にタンス等を一通り置いた事で生活環境は随分と解決されただろうか?尤も戦争地帯に水道管を繋げるのは不可能であり、変わりに水を補充して使う貯水式のシャワーと風呂桶に隔て板で簡易的な『シャワールーム』。

 

同じく貯水式の水が出る台所と使用者の魔力で火が付くコンロ、物入れに用具置き場を設置して簡単な『キッチン』は作れたので、何とか最低限の衛生的な生活は出来るだろう。

 

「後は調味料と調理器具だな。ヒトミとサイナは調理は出来るか?」

「解答:次世代人類種が行う調理方法たる、煮る・焼く・蒸すといった簡単な物ならば可能だ」

「同様:当機(ワタシ)や他の征服人形(コンキスタ・ドール)でも出来ますが、細かな調理や味付けに関しては『ミスズ型』が最も秀でています」

 

サイナが家具の位置調整を行い、穴掘り作業へと入って。地面に寝かせたウィンプをヒトミがベッドに運んで、負担が掛からぬ様にと慎重にゆっくりと降ろし。

 

其れを見たサミーちゃんが口で器用に毛布を摘み、丁寧にウィンプへと掛けているのを見て、サンラクのサミーちゃんに対する好感度は益々跳ね上がる事になった。

 

「うーん………うーん………。ぜりーいや………ぜりーいや………。うんどうまりょくで、ぱーじがえくすてんど………」

「あー…………うん。取り敢えず家のサイナが、俺の思った以上にポンコツだった訳だ」

 

魘されているウィンプを見ながら呟いたサンラクだったが、此処でエムルがウィンプを見て。そしてこんな事を言ったのである。

 

「……えと、大丈夫………ですわ?」

「こにょうさぎぃ……これのどこりゃ、らいじょうぶにみえるのよぉ……」

 

ヴォーパルバニーはゴルドゥニーネに対して『敵意』を抱く。だがエムルの言葉は純粋に『ウィンプの事を心配している』、そんな雰囲気が有って。其の証拠にサミーちゃんはエムルを見ているが、其の視線から『敵意の感情』は一切感じられなかったのだ。

 

「御人形の人………えっとサイナさん、の事はよく解らないけど、サンラクさんと関わっていくなら慣れる事が大事ですわ………。アタシなんて気付いたら大冒険し過ぎちゃって、何だかんだ納得しちゃう様になっちゃったですわ」

 

未だヘタレの部分こそ有れども、サンラクと共に世界を掛けて、夜の帝王(リュカオーン)の分身や深淵の盟主(クターニッド)を相手に共に立ち向かい、そして乗り越えた事実は彼女の言葉に、確かな『説得力』を齎しており。暫く見詰めていたウィンプの視線からは『何かが無くなった』様な気配を纏い、彼女はエムルに問い掛ける。

 

「…………あんた、なまえは?」

「エムルですわ」

「…………なんだか『たにん』のようなきがしないわ……よろしくね『エムちゃん』」

 

兎と蛇。敵対関係に在る両者の間に、奇妙な『繋がり』が産まれた瞬間を、サンラク達は目撃した気がした。

 

「サ、サンラクサンよりマトモな頭してるですわ……!?」

「最後に一言余計だったなぁエムルよぉ〜う??」

「サンラクサン! サンラクサン! マ、マトモでほにゃあああああ!?」

 

ファストトラベル持ちという事実に免じてシェイク刑(手加減)に処しつつ、取り敢えず環境整備完了でサンラクは一息付いた。

 

(やっぱゴルドゥニーネの性質上、其奴を擁するプレイヤーと協力してクソガキボスドゥニーネと戦う…………所謂『共同戦線』を取るって感じか?だが厄介なのは、そん中に『良からぬ企み』をする奴が紛れ込んでた場合だ。混戦の最中に出張って来られたら守れるかどうかも解らねぇ以上、ウィンプのレベリングと俺自身のレベルキャップ解放は急務だな………)

 

どうにもシャンフロの情報によれば、ユニークモンスター・天覇のジークヴルム自体が『レイドタイプ』の疑惑が有り、今後新大陸の樹海に在る『覚醒の祭壇』に他のプレイヤーが殺到するのは避けられないだろう。

 

そうなる前にレベルキャップを解放、自身の戦闘力を増大+エルクが以前教えた同調連結(ハイコネクション)システムで、更なる力を手にするというのも悪くない選択だ。

 

ペッパーの撮った新大陸のほぼ全域を収めた空中写真を手にしている今、猫妖精(ケット・シー)の国キャッツェリアや新大陸の前線拠点、覚醒の祭壇が在るティアプレーテンというゴーストタウンの位置も大方判明しているので、キャッツェリアを経由して樹海に突撃するのも有りではあるか。

 

(…………よし。兎に角先ずは新武器やアイテムを整えて、樹海に殴り込みを掛けなきゃな。早速行動開始と洒落込もうか!)

 

ゴルドゥニーネのユニークシナリオを意識しつつも、先ずはジークヴルムのユニークシナリオを片付けるべく、進行チャートを脳内にて構築する。

 

戦いは続く、人が生きている限り……………。

 

 

 

 






繋がり


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