VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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次なる地に




アットホーム・アセンション 〜天音家より旅立ち、五条家へと往く〜

取り敢えず朝に起きて着付け直し、永遠と共にリビングへ行った所で光と明日香から「ゆうべはおたのしみでしたね〜」と、レトロRPGで御決まりも御決まりな台詞を言われ、ニヤニヤニマニマな顔で出迎えられて、逆に久遠からは「節度守ってくれ………」と、寝不足気味な表情で文句を言われた。

 

一先ず「気を付けるよ」と謝罪し、用意してくれたトーストとベーコンエッグにサラダと牛乳の、ブルーベリージャム入りのプレーンヨーグルトといった、一般的な家庭で思い描く『ザ・朝食』な朝食をテーブルを囲んで食す。

 

食事途中で光からは「梓君は今日は何するの?」と質問されたので、梓は「自分の実家に永遠と一緒に行きます」と答え。其れに対して光は「御両親によろしく伝えてくれ」と言伝を頼まれたのである。

 

そして二人は身支度を整え、サングラスや帽子を被ったり、髪の結び方を変える等の変化を施し。玄関にて手を繋いで両親に「いってきます」と告げ、行動を開始したのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五条 梓の実家は昔引っ越しして以来、静岡県・磐田市内の某所に在る。

 

都心部へと向かう電車に乗るべく、駅へと繋がるバスに乗って揺られながら進み、都心へと続く電車はなるべく人混みの少ない車両を選んで乗って、途中水分補給やトイレ休憩を挟みつつ、着実に確実に前へと進み続けていた。

 

「最近のコンビニコーヒーも美味しいが、自販機コーヒーも随分変わったな」

「だねぇ〜。コーヒー特有の酸味と渋味が、喫茶店のコーヒーにも負けないレベルになってる」

「苦みも良いし、鼻を突き抜けて苦さの感覚が残ってるのも中々。此れは今後の『買い』だな」

 

次の乗り換えまで時間が有るので、冷たい無糖ブラック缶コーヒーでブレイクタイムに洒落込んでいた梓と永遠は、商評会(二人だけ)を開催していた。ゆっくりと飲み、舌と鼻腔で風味をじっくり味わいながら、コクコクと頷く。

 

そしてチラリと彼は『周り』に視線を向けつつも、聞き耳を。スパイアクションレトロゲームで知識を得た、所謂『カクテルパーティ効果』を用いて、此の場に散らばる音達から必要な情報を拾い集めれば──────

 

 

「ねぇ、アレって永遠様…………?」

「いや似てるけど、違くない?」

「隣のアイツ誰よ………」

「まさか彼氏とか…………?」

「距離近過ぎだろ」

「永遠様と気軽に話し掛けるな祟るぞ」

 

 

──────という、おそらく天音 永遠(邪教徒達)の囁きが聞こえてきた。

 

「あーくんにも聞こえたかな?私と私の(・・)あーくんが一緒に居るのを見て、どんな関係なのかな?って考えてる声を」

「まぁ、な。多分何処かで写真撮られても不思議じゃないし、あくまでも『堂々と』していよう。寧ろ此処で『逃走』の選択肢を取ったら、逆に怪しまれて追跡される未来が見える」

「敵地にこそ堂々と、だね。良いね良いね、そういうの大好きだよ私」

 

一瞬『永遠様を穢したクソ野郎殺す』なる、物騒な発言が聞こえた気がした。おそらく邪教徒達の中には、永遠の一挙手一投足を見抜ける『本物』が。

 

更に其の中の一握りには、永遠の『立つ時の重心のクセ(・・)』すら見抜ける奴が居ると、何処かの情報網で聞いた覚えが有る。うん、ガチ勢怖い。

 

「おっといけない。そろそろ新幹線が来るし、そろそろ行こうか」

「あぁ。移動しよう」

 

スッと自然に梓は利き手を出して、永遠もまた彼の手を掴み。二人は自然な並びと歩調で歩きつつ、近くの売店で駅弁を購入して浜松方面行きの新幹線のホームへと向かう。

 

其の光景はまさに『デート』とでも言うべき物であり、其れは邪教徒からすれば『永遠様(?)に男が出来た』やら『永遠様(?)を穢された』なる、そんな感情を抱かせる事になったのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浜松方面の新幹線に乗って、早めの御昼を取る梓と永遠は、高速で過ぎ去る景色を眺めながらに到着迄の間、片や兄弟姉妹の事に想いを馳せ、片や彼の御両親への挨拶でどう言おうかと策謀を巡らせる。

 

「美味しいねぇ〜………」

「そうだな〜………」

 

駅弁を互いのペースで食しながら、流れ去る車窓の景色をぼんやりと眺め。そんな中で永遠は梓に対して、随分と良い(悪い)笑顔を浮かべながら。彼はもう此の時点で既に、絶対『碌な事を考えて無い』と確信する口元で、こんな事を聞いてきた。

 

「ねぇねぇ、あーくん。君って『何人くらい兄弟姉妹』が居るの?」

「……………いきなりどうしたんだ?」

「いやぁ〜。もしも君の兄弟姉妹の中に『私のファン』が居て、永遠様が自宅に来たら絶対に騒ぐなぁって思ってさ?私こう見えても超有名な『カリスマモデル』だしぃ〜?」

「一昔前の突撃隣の晩御飯か何かかよ…………。いや俺がやろうとしてるのも其れだから、ドッコイドッコイだわな」

 

特急列車が目的の駅に辿り着くのは大体14時前後、其処からバスを使っての移動時間も在るので、およそ15時辺りには到着する計算になる。そして梓は自分を除くと『七人の兄弟姉妹』が居り、其の中で『三女と四女が永遠のファンである』──────要は神格化している謂わば『邪教徒』だったのを、何時だったか父親との電話で教えて貰った事を思い出した。

 

「………………居るね、家にもファンが。もし万が一にも『偽物』だって疑われたら、一応買っておいた『色紙』を持って来たので、サインしてやって欲しい」

「わぁお、用意周到…………。でも良いね、そういうの。お姉さん大好きだぜぇ?」

 

もう絶対に大暴れするつもりだよ此の人。多分寝静まった深夜帯に身体を重ねて、兄弟姉妹の脳を破壊する事も検討してるよ此の人………………そう梓は目の前に居る彼女を見た後、片方の掌を顔に当てて静かに列車の天井を見上げたのだった。

 

新幹線は止まらない……………まるで一秒進む度に、一区間を越える毎に、自分の運命の道筋を決定付けていくかの如く。

 

 

 

 

 






実家に向かう


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