VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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祝杯の後に




アットホーム・アセンション 〜カムバック、梓の家 其の参〜

久方振りに食べた出前寿司は美味かった。そして口の中には甘ったるさが、今も尚其の尾を引き続けている。

 

魚の油にイチャイチャの甘さが勝つって、此の時点で我々が食していたのは菓子寿司か何かだったのか?と見間違う様な、そんな両親と自分達の一時で他の参加者の口から、砂糖のナイアガラを作り出した祝杯は閉幕。

 

そして此の五条家には一つ、ちょっとした『イベント』が有る。其れが──────『風呂当番&一番風呂ジャンケン』だ。

 

 

 

 

 

「ジャンケン一発勝負、恨みっこ無しでな…………!」

「上等!」

「負けないよ〜………!」

「さっさと決めよう、時間は有限だからな」

「「「「…………………………」」」」

「「「「ジャンケンポンッッッ!!!!」」」」

 

 

 

 

祐貴:パー

梓:チョキ

晴香:パー

杏:パー

 

 

 

 

『『『あーーーーーーーーーーーー!?!!』』』

「っしゃあ!俺の勝ちぃッッッッッッ!!!」

 

此のジャンケンは文字通り風呂当番を決めつつ、洗った風呂に一番乗りで入る権利を決定する為に行われる、ある種の『恒例行事』でも有り。ジャンケンに勝利した唯一の勝者が風呂を洗って沸き上がり次第、真っ先に入る事が許されるという物。

 

しかも洗った風呂に『入浴洗剤を入れるか否か』であったり、沸かす際の『湯の温度』も洗った者が決定する権利も同時に与えられる他に、一番風呂に入る人間を『指名(・・)する事』も出来るのだ。

 

「んじゃ、永遠と御袋の二人は沸いたら入ってくれ。俺は自分の部屋の掃除してゲームするからさ。あ、多分一夜漬けするかも知れない」

「一夜漬け………梓、何買ったんだ?」

「フッフッフ…………!よくぞ聞いてくれました!」

 

祐貴の質問に対して梓は御満悦な表情をしつつも、持ち物の鞄の中からGAME-SHOP ロックロールで手にした御宝、今はレトロのカテゴリーに入ったゲーム『戦場のヴァルキュリア』のパッケージを取り出す。

 

「レトロゲームでも知る人ぞ知る『戦場のヴァルキュリアシリーズ』!其の『初代』をゲームショップのカートの中から発見して購入したのだ!今の御時世、カートの中に眠ったゲームを探し出すのは、まさに化石発掘の其れに等しく!しかぁし、御目当ての物を見つけ出せたなら万々歳なのだ!!!」

「梓ってレトロゲームの事になると、何時もテンションが上がるよな」

「良いんじゃない?好きな事を好きって言えるって、シンプルに見えて大事な事だよ、祐貴兄さん」

 

祐貴と晴香が話す中、梓は早速行動を開始する。鞄にゲームソフトを収納から、二階に在る自分の部屋の入口まで運んだ後、専用の鍵を使ってドアを開いて部屋の中に鞄を置き。

 

部屋を出た後、再び鍵を閉めて一階へと戻った彼は風呂の栓を外して排水。全て抜き切ったタイミングでシャワーの水で浴槽全体と床をサッと流して、スポンジと風呂場用洗剤を用いて程良く力を入れながら、風呂桶・椅子・蓋に加えて蛇口周りにシャワーノズルとホース、シャンプーにリンス等の容器や其れを置く棚達も綺麗に洗ってピカピカのツルツルにする。

 

そして栓をしっかり閉じて蓋を掛け、無駄な労力になるかも知れないが、綺麗なバスタオルで床や壁の水滴を拭き取って、風呂場で転ばないようにと配慮を行った彼は、風呂場に備え付けられているコンソールで『お湯はり』ボタンを押して、見事風呂洗いを完遂。

 

「風呂洗ったから沸いたら入ってなー」と一声掛けた後、彼は自分の部屋へと戻って部屋の電気を付ければ、其処には昔のハードやゲーム機器が一つ一つ丁寧に箱の中に入っており、陽射しや埃によって機器が駄目にならないよう心掛けられており。

 

勉強机にはディスプレイパソコンと機器が側に備え付けられ、其れ等は埃を被りながらも実家を離れた日から時間が止まったままの状態で残って。本棚にはクリア済みのゲームカセットが箱やパッケージ状態でズラリと並び、其々に『クソゲー』『良ゲー』『神ゲー』『またやりたい』等の区分けによって理解り易くなっており、ベッドは布団が閉まってある事からか殺風景な状態だった。

 

「さぁて、いっちょ頑張りますか!」

 

二階の物置きエリアから充電式コードレスクリーナーと対応充電機、本棚等の隙間を掃除する掃除用伸縮棒と専用綿シートを持って来て、電池の残存量を確認。メモリは3/4を指しているが稼働に問題無しと判断、窓を開けて網戸にして空気の入れ替えを行い、スイッチONでカーペットの中に絡まる埃を吸い上げて綺麗に。

 

そして一通り掃除機を掛けたなら、吸い取った埃をゴミ箱に捨てて、充電機に電池を指して次に使う人の事を考えた行動を取り、次に掃除棒に綿シートを取り付けて手でふっくら状態にした後、攻略済のゲームソフトを分けた棚に勉強机やディスプレイパソコンと周辺機器、ベッド周りを綺麗にした事で環境整備が完了した。

 

「よし!ある程度の掃除が完了したぜ………!」

 

コレにて『ゲームをする為の環境』は整った。此処から一夜で戦場のヴァルキュリアを攻略し、ゲーム棚に飾ってみせると意気込む梓は鞄に仕舞っていたパッケージを取り出し、ディスプレイパソコンを起動。動作確認を行った後、ゲームモードを起動して対応のコントローラーを接続・感度チェックと持ち方を両手に馴染ませつつ、説明書を読破。

 

一階へ降りて台所の冷蔵庫から牛乳を取り出し、コップへと一杯注いで飲み干した後、トイレを済ませた彼は自室へと戻り。ドアの鍵を掛けて、椅子に座り。机と向き合い、イヤホンを両耳に当て、深呼吸を一度行った彼はゲームを起動。

 

独自のシステム『BLiTZ』を搭載し、爽快感と重厚な人間ドラマが織り成すストーリーによって、シリーズのファンを獲得したゲーム──────戦場のヴァルキュリアに挑む。

 

 

 

 

 






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