VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ショッピングモールに着きまして




デート・トゥ・ショッピング

五条家を出立し、近所のバス停からバスを経由して梓・永遠・鈴・雪がやって来たのは、五条家の面々が食材含めた様々な物資の購入で何時も世話になっている、大型ショッピングモール。

 

最近では映画館やらも店中に入っているのが当たり前にして、此処もまた同じ様に映画館やスポーツ量販店にフードコート等が軒を連ね、開店前から人の列が並ぶ県内屈指の人気スポットの一つだ。

 

「朝八時から営業を始めて、午後十時には全店閉まる………此処一帯の住民からしたら重要施設なんです!」

「其れに此処は三階建てで、二階フロアには服屋さんに映画館が有るんですよ!」

 

ティーンエイジャー達の憧れ、そして鈴と雪にとっても夢の様な存在たる天音 永遠と一緒にショッピングモールを散策出来る機会(チャンス)なんぞ、此の先の人生で梓が彼女とくっ付かない限りは二度と訪れる事も無いだろう。

 

「ほれほれ、あーくん。早く行こうぜ?」

「……………あいよ」

 

三女と四女の視線が突き刺さる。妹達がそんなんになるなんて、兄ちゃんはちょっと悲しいぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其の後は何と言うか、本当に心臓に悪かった。

 

有名服屋に真正面から堂々と殴り込みを掛ける永遠と邪教徒二人によって、自分の寿命という名の水分が汗となって絞り取られていったし、其処から始まった天音 永遠によるファッションコーディネートで店員に正体がバレないかと冷や冷やした。

 

挙句には永遠の手で鈴と雪は今の季節にピッタリの洋服を選んで貰った事で、はしゃぎまくって自分が店員に頭を下げて謝る事になったり、自分に合う服は全部永遠がキャッシュカードで一括払いしてくれて頭を下げる事になり、既に『楽しい』よりも『疲れた』の感想が現時点で勝っている。

 

「自販機で売られてるアイスキャンディで、ちょっと休憩しようか」

「…………ソダネ」

 

服屋で新しい服を購入し、近くのアイス販売機のラインナップを見ていた永遠が提案して来た。

 

「永遠様、永遠様。オレンジ味は如何ですか?」

「雪、其処はパッションフルーツが良くない?」

「うーん…………。じゃあ私、あーくんと『同じ』のが良いなぁ?」

「え"っ」

 

ニンマリ顔をする恋人に、邪教徒二人の視線がブッ刺さる。仕方無くバニラ&キャラメルを選べば、永遠も同じ物を選んで。更に二人も同じ味を選んだ事でバニラ&キャラメル味を食べる四人組という、また奇妙な光景が出来上がった。

 

「あーくんって、こういう味が好きなんだね」

「アイスはバニラが好きだが、基本的に味の好き嫌いは無いかな。ただまぁ『あずきバー』は滅茶苦茶固いし、食べるタイミングをミスると自分の手がベタベタになる」

「そうなんだぁ。あーくんって好き嫌いしないタイプなの?」

「実は私達『どんな食べ物でもアレルギーじゃないなら一口は食べなさい』って、ママにそう言われて育ったんですよ!」

「おかげで私達、好き嫌い無しなんです!」

 

妹達よ。此方が仲良く話しているのに話へ割り込み、無言で視線を向けて刺して来るのは何故なのだ。アレか?アレなのか?『神聖で純白なる永遠様を穢したクソ野郎は、永遠様と会話する資格なんざねぇ!』──────みたいな類のアレなのか???

 

一方の永遠はといえば、「美味しいねぇ」とアイスキャンディを堪能する傍ら、外出先でもカリスマモデルとして『誰かに見られている』や『写真を撮られる』を大前提としているからなのか、立ち振る舞いや食べる仕草の一つを取っても『画になる』を意識しているのが解る。

 

プロフェッショナルは其の道に於いて『完璧を追求する』生物で有ると聞いたが、成程そういう事なのかと納得し。妹達が永遠に見惚れている中、彼女は梓が食べているアイスキャンディを横から一口齧ったのだ。其れも自分が齧った場所を食べた上で…………である。

 

「あっ」

「隙有りだよん、あーくん♪はい、どーぞ」

 

そう言って差し出したアイスキャンディは、永遠が齧った場所で。鈴と雪の目からハイライトが一瞬で消え去り、其の視線がギョロリ!と此方に向いた。

 

其の上周りに居た他の利用客も、此方のギスり具合に何だ何だと反応し始め、ヤバさが際立ち始める中でもうどうにでもなれと、彼女が齧ったアイスキャンディを一口齧った瞬間。

 

妹達は小刻みに痙攣しながら崩折れて、単身で訪れた男性客はリア充爆発しろ!な視線を、子連れの客は子供が質問して親が答えるといった、カオスとカオスにカオスが重なった超混沌の感情が渦巻き、梓は誰か俺を殺してくれと心の内にて叫んだのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其の後も鈴と雪同伴の、梓と永遠のデートは続き。一階のゲームコーナーでは血眼になった鈴と雪が、クレーンゲームにて自分が見ぬ内に身に付けた小技を用い、次々と景品をゲットしまくっては永遠にプレゼントしていき。

 

終いに二人は店員から『クレーンゲームは御断りさせて下さい』と、謂わば『部分出禁』を食らう事になったりしながらも、ゲームコーナーならば御決まりも御決まりな『プリクラ』で写真を撮る事になった。

 

「景品は見ておくから、二人は楽しんでおいで」と妹達に順番を譲って荷物を見張りながら、緊張や集中で張り詰めた糸を緩める様に一息付いて、スマフォでSNSをチェックして自分や永遠の情報が拡散されてないかチェックする。

 

(最新のハッシュタグは…………。良かった、今は(・・)まだ天音 永遠に関する話題は上がってない)

 

上がったら上がったで困るのだが、取り敢えず大事になっていないのは、少なからずの幸運だろう。其れから暫くして我が生涯に一片の悔い無しのポーズを取り、大層御満悦でニッコニコな鈴と雪がプリクラて製作された写真を手に、ウフフフ………♪アハハハ………♪と、ヘブン状態で小躍りしており。

 

そんな二人の意識が写真に吸われている間に、梓は中に残っていた永遠によって内側へと引き込まれ、此方が有無を言う間も無く写真撮影が開始された。始めは梓自身も固い笑顔だった物の、永遠が恋人繋ぎや腕を絡めたりして段々と其の固さを少しずつ解しながら、そうして待ち望んだ『最高の瞬間』を写真に納め。

 

こうして切り取った瞬間に、二人だけの世界に一つしか無い『最高のプリクラ』を製作、排出された其れを見ながらカリスマモデルでも無い、一人の女性として飾り気の無い自然な笑顔を浮かべた永遠を見た梓も、朗らかな笑顔を浮かべたのであった…………。

 

 

 






恋人同士のやりとりを


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