プリクラの後は
ショッピングモールのゲームコーナーにてプリクラを撮影し終え、梓達にとっての思い出の一枚が出来上がり。四人がやって来たのは此のモール内のフードコートの中でも、一番高価な店として知られる『鰻料理の店』だった。
「しっかし凄いねぇ…………ショッピングモールに鰻の御店構えるって、随分と強気に出てるね此処の店主は」
「そうなんです!とっても美味しくて、高級店にも負けないんですから!」
「味は保証しますよ」
「家の親父と御袋も、結婚記念日には此処で食事をしてるからな。二人の言う通り、俺達兄妹が自信を以てオススメするよ」
昼過ぎながら香ばしいタレの匂いに、鰻が焼かれる音が食欲を唆り、梓の腹の虫がクルルル〜と可愛らしく鳴いている。行列が出来る程に人気な其の店で食事をする事にし、数十分待ちの最後尾に並んで四人は静かに、自分達の順番が来るのを待つ。
待ち時間が有るので、梓と永遠はシャンフロに起きている出来事を掲示板等を用いて情報を収集、周りに迷惑が掛からない声量で意見を交換し合っていた最中、梓の視界に映ったのは十代半ばの女子数名からなる小さなグループ。
此方とスマフォを照らし合わせる様にして見ては、目を丸くして明らかに『動揺』している事から、此の時点で彼はもう既に猛烈に嫌な予感を抱きながらも、努めて冷静に彼女等の動向を見守る。
そして恐る恐る、まるで『女神』にでも遭遇したかの様に。一歩一歩、また一歩と此方に歩み寄りながらも、其の視線は永遠の方に注ぎ込まれており。
「あ、あ、あ…………!あのっ、もしかして………『永遠様』、で………しょうか…………!?」
梓は此の時点で彼女達は天音 永遠のファンか邪教徒だと、自分と永遠の関係を根掘り葉掘り追求されると確信し。鈴と雪は流石我等の同胞とドヤ顔を。聞かれた張本人と言えば、自信に満ち溢れた笑顔と共に「うん、そうだよ」と、至極簡潔に答え合わせをするかの様にそう言って。
「そうそう。此方に居る彼、私の『彼氏』だよー」
「ちょっ!?!」
「「「「「え"っ」」」」」
そしてサラッと関係を暴露した事で、梓はギョッとした表情で叫び、女子グループは唖然となって彼を見詰め、周りの利用客もマジで!?と言わんばかりの顔をし、彼に其の視線を向け。
尚、当然と言えば当然の結果になるが、永遠は女子グループ達にサインや記念撮影をして貰ってフィーバーし、梓はグループの中の一部の女子と妹達に一般通過の男性客から突き刺される様な視線を向けられ続け、店に入った後も同様の視線に晒され続ける事となったのである。
そして食べる物を注文し、待っている間も永遠にサインや記念撮影を求める者や、視線で自分を刺しに来る者が居る激重な雰囲気の中で食べる食事は、普段なら美味しく感じられる物達の味を風邪を引いた時の様に鈍くしてしまう。
梓が櫃まぶしを頼んで永遠も同じ物をオーダー、鈴と雪も同じ物を頼んだ事でまたしても四人全員の食べる物が被り、周りの視線が全身に突き刺さる中で櫃まぶしを『丁寧に食べる事』を意識。
姿勢を正した状態で櫃まぶしの『通な食べ方』を以て、天音 永遠と会食をしている者に相応しい、静かで優雅に其れでいて淡々と味わう。無論、鈴と雪も憧れの人との食事に粗相等起こそう物なら、自分の腹を切って死んでやると『覚悟と凄み』を眼光と身体から放つ圧に宿しながら、此の食事に向き合っていた。
此の時、外や店内で見ていた他の利用客は撮影やらしようとして、店の店主から『彼と彼女達の一時を妨げませぬ様、御協力御願い申し上げます』と、直々に申し出た事で事無きを得たのであった…………。
食事だけで目一杯で繊細な場所まで気を遣うのは、王族や皇位に上級階級の面々だけで充分だと思う、そんな今日此の頃。
永遠との食事を終えて近くのベンチで座っているのだが、隣に永遠が座って此方の右手に自分の左手を絡めた、所謂『恋人繋ぎ』をしており。其れを目撃したファンや邪教徒に一般通過客からの視線にまたしても晒され、気が狂いそうになってくる。
「なぁ、永遠」
「なぁ〜に?」
「周りの視線が滅茶苦茶痛いんだけど………」
「そうだねぇ…………でも馴れれば楽しいもんだよ?」
「出来れば苦労はしないんだけどね………」
『目は口程に物を言う』との諺が有るが、彼等彼女等からすれば『リア充爆発しろ!』やら『永遠"様"だろうが、様付けろやデコ助野郎ッ!!』やらの、嫉妬や怒りからなる視線だろう。大概の罵倒はゲームをやっていればランキング下位やアンチ側のプレイヤーから投げ掛けられるので、可能な限りスルーを決め込んでいる。
尤も、好きなゲームのキャラを馬鹿にしたり罵倒した場合は、此方も黙るという選択肢は放棄して相手から『ごめんなさい』の言葉が出るまで、全身全霊全力全開でギタギタのボッコボコにはするのだか。
「フフフ…………例え周りの人が何を思っていようと、私は何度だって言うよ」
顎クイから永遠の視線が注がれて。鈴や雪に周りの人々の視線が集まる中、彼女は周りの者達に『決して消えない記憶を刻み付ける』様に、大々的に宣言したのだ。
「君は私の、天音 永遠の『
今迄『
そして天音 永遠に恋人が出来たという『不動の真実』が、世界に示された瞬間でも有ったのである。
君を世界に示す