帰宅するまでが
どうしてこうなった。
「あ、あのー…………永遠?」
「なぁに、
「いや、何。何で俺がベッドに押し倒されてるのかなって」
「ンフフフ〜〜〜♪其れに関しては君に全責任が在るのだよん?」
もう一度言おう、何がどうしてこうなった。
一先ず此処まで起きた事を、辿っていくと………だ。親父の車で駅に向かい、到着してから浜松駅に電車で移動。新幹線のチケットを取ってホームで駅弁を夕食代わりに購入、永遠は駅弁とビールを購入して車内で食べてたら酔っ払い、あーだこーだしている内に東京に着いてしまい。
彼女の荷物と自分の荷物含めて彼女を引っ張り新幹線を降りて、タクシーを呼んで彼女の住んでいるタワーマンションにまで直行。金は掛かったが此のまま放っておいたなら、確実に背中をブッ刺される危険性が有るので、部屋まで運んだのは良い。
だが酔いが覚めたのか、或いは演技をし続けていた永遠は、送り届けて帰ろうとしていた梓を部屋の中へ引き摺り込んだ挙句、其のまま王族風なベッドに押し倒して今に至る…………。
うん、詰んでますわな。諦めて出直して参れ、次の梓は上手くやるでしょう。
「俺明日バイトなんだけど………」
「私も仕事だよ」
「………此処数日、大量に搾り取られてるんですが」
「私は君から搾り取った
永遠が言っている事には、梓自身心当たりが大アリであった。何せ彼女の弱点………即ち『敏感な場所』を見付けて以降、戦いの其処を刺激しつつ戦術に組み込んだ結果、彼女を効率良く果てさせ続ける事が出来る様になった。
どうやら其れが、カリスマモデルで我が恋人の天音 永遠からして気に食わなかったらしく、果てて呼吸を整え直した後に戦った時は、倍以上の激しさで絞られた上で刺激による臨戦態勢に入れられ、精力剤で随時補充した所を彼女に食われていた訳なのだが。
「性欲の蟒蛇め…………」
「何れ君との間に子供を作る為に行う、謂わば『予行演習』みたいな物なのだよ。其れに君も、おじさんとおばさんが今も熱々で夜の運動会をヤッてるの、知ってるんでしょ?」
「まぁ、そうだけどさ…………」
恋人としても夫婦としても、遠からず何れは立ち向かわなくてはならない問題。責任を取れるだけの地位や金銭等の蓄えや、子育て等に適した場所の確保と言った先々の問題も山積みであり、一つ一つ解決していく事は変わり無いが。
(ただまぁ金銭面問題の解決策は、一つ有るんだよな。………正直に言えば其れ自体が『最終手段』なんだが)
「取り敢えずシャワー浴びてからにしよう。御互いにリフレッシュは必要だろ?」
「其れだったら風呂にしちゃおう、あーくんと湯船で一緒に浸かって交わりたいんだよん♪」
目がハートマークになっている上、肩で息をしている程の興奮が、彼女から漂う香りかフェロモンによって『臨戦態勢完了』だという事実を、梓に対して報せている。
一先ず『風呂洗うから待ってて』と、ベッドで押し倒された状態から解放されて、風呂場へと向かった梓は永遠からスポンジと風呂洗い洗剤の置き場を聞き、其れを用いて浴槽や床をピカピカに洗い上げて、栓を閉めて御湯張りボタンを押して準備を完了。
風呂場から出て来たタイミングを見計らっていたのか、入ってきた永遠に壁ドンをされて唇を奪われ、水音を響かせ合いながら次第に行為はエスカレート。互いに服を脱がせ合って産まれた姿へと変わった所で、風呂場のコンソールからメロディーが流れて『お風呂が沸きました』との御知らせが届き。
「じゃあ、入ろうか。私のあーくん♥️」
「出来るだけ御手柔らかに御願いしまーす」
そんな事を言っても多分聞いてはくれないんだろうなと、何処か諦めにも似た悟りの境地を抱きつつも、恋人に手を引かれた彼は風呂場へと入っていったのであった…………。
「……………………」
朝五時過ぎに梓は目が覚めて起き上がって。自分の記憶を辿れば、風呂で三回ヤッた後にベッドで二十四回も戦って、精力剤を五本は飲み干し、ゴムは用意していたのが底を付いた事を思い出す。
そして視線を移せば、薄手の掛け布団に身を包んだ永遠が居り、戦っていた時の獣じみた獰猛さや激しさは何処へやら、スヤスヤと寝息を立てて気持ち良さそうに眠っている。
「はぁ………………」
何れ腹上死を経験すると確信しながら、取り敢えず
「やぁやぁ、おはよう。私のあーくん♪」
「あ、おはよう永遠。そろそろバイトに行かないといけないから、シャワー浴びて行ってくるよ」
「そうなんだ…………じゃあ私も仕事に行く前にシャワー浴びたいから、一緒に入ろ?」
もう既にヤる気満々だと思いつつも、断った所で付いて来ると確信した梓は彼女を受け入れて。梓と永遠は浴室でシャワーを浴びる中で身体を重ねて交わり、御互いに肉欲をぶつけ合って。
シャワーを終えた後に、昨日購入して持ち帰った衣服に着替えて髪を乾かし、梓は着替えた服を鞄に収納し衣服が入った袋も持って、永遠の部屋の玄関へと向かい。
「あーくん」と永遠が呼び止め。振り向けばまるで『新妻』の様な柔らかな笑顔で近付いて、梓と口付けを交わした後に声を掛ける。
「また明後日ね」
「あぁ。明後日に」
交わした約束と共に梓はドアを開き、バイトに向けて一歩を踏み出す。おそらく………否、十中八九バイト先でも色々と言われる可能性を考慮しながら、そして先々に自分に起こり得る可能性を思考によって思い浮かべ。
「取り敢えずコーヒーショップでモーニングを頼んでからだな」と結論付けたのであった………。
取って食われて