VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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報告と依頼と相談と

致命兎の国・ラビッツ。ペッパーを含めて現時点で六人のプレイヤー以外、限られた方法でしか立ち入る事が叶わない秘境の地たる此の場所。

 

そんなラビッツの兎御殿にてペッパー・アイトゥイル・ノワが対峙するのは『ラビッツの頭でヴォーパルバニー達の大親分』、或いは神の御業を行使する幾万と居る鍛冶師達の頂点・神匠に至った『最も強く最も古い兎』、或いは未だ明かされぬ七つの最強種ユニークモンスターの最後の一柱『不滅のヴァイスアッシュ』である。

 

ペッパーが此処に来た理由…………其れはヴァイスアッシュにシグモニア前線渓谷(フロントライン)にて、ヴォーパルバニーの不倶戴天たる敵であり、地下トンネルから侵攻して来た『無尽のゴルドゥニーネ』──────の分け身で八番目という『ウィンプ』の事について報告する為だ。

 

「………………という訳なのですが」

「サンラクから話は聞いたがぁ………オイラへ報告しに来るたぁ、お前さんも相変わらず律儀だなぁ」

「私は開拓者でありますし、同時にラビッツの末席に座る者として。そしてアイトゥイルの相棒として、此の事は避けては通れないと確信しています。もしウィンプさんが………ゴルドゥニーネがアイトゥイル達に危害を齎し、生命を奪ったのならば其の時は俺が真っ先に彼女を斬り、責任を取って()()()()()()()()()所存です」

 

ゲームに置ける存在の抹消=キャラロストを世界観に合わせた『己の覚悟』をロールプレイで示し。其れを聞いていたヴァイスアッシュはペッパーに対し、獰猛な笑みを浮かべて此方を見て言った。

 

「お前さん、良い『覚悟』じゃあねぇかよぅ。己の(タマ)どころか存在(テメェ)を天秤に乗せるとはな。オイラはそういうの『嫌いじゃあねぇ』ぜ?」

 

クカカカッと笑ったヴァイスアッシュは煙管を吸って、口に含んだ煙を味わい。そうしてこんな事を言ったのだ。

 

「お前さんは此れまでオイラん事を『先生』ってぇ呼んでたがぁ、此れからは『ヴァッシュ』ってぇ呼びなァ。認めた奴にはそう呼ばせるってぇ決めてんだ、まぁ呼び辛けりゃ『ヴァッシュ先生』でも良いぜ」

「は、はい………ヴァッシュ先生」

 

此れまで呼び方が『先生』から、新たに『ヴァッシュ』か『ヴァッシュ先生』呼びとなったペッパー。

 

実はシャンフロのNPCから、プレイヤーへの呼び方は一種の『好感度』を表しており、そしてヴァイスアッシュの最初の呼び方時点から、好感度を()()()()()()で発生した所謂『呼称変更イベント』が発動したのだが、彼が其れを知るのはまた別の話になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて一人と一羽と一匹が来たのは、ビィラックの鍛冶場。最近ベヒーモスでガンスミスライセンスを手にしてから、益々SFじみた空間に成りつつ有る此の場所で、名匠鍛冶師にして古匠でありガンスミスという、おそらくシャンフロプレイヤーやNPCの中でも『オンリーワン』な立ち位置に居る彼女は、今現在『アサルトライフル』であろう銃を直していた。

 

「おぉ、ペッパーか。ガンスミスライセンスを得てから、遺機装(レガシーウェポン)達の修繕も随分スムーズになってな。残った土錆色の遺機装達も後二日か三日有れば、全部元通りに出来るけぇ」

「本当ですか?」

 

コクリと、されど力強く頷いたビィラック。鍛冶師として更なる成長を遂げ、ヴァイスアッシュとは異なる神匠に至らんとする姿勢を見習いながら、ペッパーはビィラックに当初の目的を話す。

 

「ビィラックさん。武器の修繕と新しい武器を作って欲しいのですが、大丈夫でしょうか?」

「修繕と新しい武器か、望んどる武器種の候補は有るんか?」

 

インベントリとインベントリアから武器達と防具、そしてシグモニア前線渓谷で討ち取った帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の素材各種を取り出して見せれば、彼女は目を丸くしていた。

 

「サンラクが何時も使って、派手にブッ壊しているという『煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)』………材料の金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)を帝晶双蠍に置き換えた『新しい籠手』を作って欲しいです。他にも作って貰いたい物が有りますが、まだ材料が足らない気がしますので」

「ワリャ………まぁた、とんでもない事をして来たのぉ。しっかし帝晶双蠍で作る、煌蠍の籠手か悪ぅない。水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)の素材とレアな鉱石を取って来たら、直ぐに取り掛かるけぇ」

「ありがとうございます、よろしく御願い致します」

 

ペッパーが取り出した武器や防具の耐久値を見ては、ホッコリ顔を浮かべているビィラック。自分でも耐久値は常日頃から気にしているが、おそらく其の耐久が何れも半分を切っていない事が要因だろう。

 

彼女に提示された修繕費(マーニ)を支払い、残金的にもそろそろルルイアスの金銀財宝を換金する方向で動く事を視野に、次なる要件を済ませるべく兎御殿内の人形(ドール)アクセサリー職人ならぬ職兎、エフュールが店を開いている場所に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、御久し振りやなぁペッパーはん。今日はどないな要件で?」

「御久し振りです、エフュールさん。実は新大陸で手に入れた鉱石を使った『アクセサリー』を作って欲しいなと思いまして」

 

インベントリアを操作、ツァーベリル帝宝晶を取り出してカウンターに乗せると、エフュールは丸眼鏡を掛けて手に取るや、品定めをし始めて。軈て大きく息を吐いてペッパーに言った。

 

「こらまた、とんでもない逸品どすなぁ………。指輪やネックレスにイヤリングやら含めても、良い物が出来そうやわ」

 

ウィンプが安全にシグモニアの地でレベリングが出来る様にするには、おそらくツァーベリル帝宝晶や帝晶双蠍の素材をキャッツェリアで糸と布に加工、其れをエフュールに渡して作って貰った人形やアクセサリー、ビィラック製の装備の方が良いのだろうが今の段階では出来る事は限られている。

 

故にペッパーは「一通り御願い出来ますか?」と、ツァーベリル帝宝晶をカウンターに乗せていき、一通りのアクセサリーが作れるだけの量をエフュールに渡し。

 

製作費用を払い終え、水晶巣崖(すいしょうそうがい)で水晶群蠍とレア鉱石の確保、更にライブラリへの情報を渡しに動こうとした所、エフュールが「ちょいと良いかいな?」とペッパーを呼び止める。

 

「ペッパーはんが前にあてに渡した、水晶群蠍の素材を加工して糸と布にしたアレ。また手に入れられたら、あての所に持って来てくれへん?」

「え?まぁ、構いませんが…………何か作りたいものが有るんですか?」

「そうさなぁ…………強いて言えば『天啓』を受けた、と言った所やな」

「天啓、ねぇ…………」

 

シャンフロのNPCが何かを作る際に『天啓』と言った場合、其れは現実世界(リアル)の知識が流用されている事が多々有るらしい。

 

スコルスタ・ストリングとスコルスタ・ヴェールで、エフュールは一体何を作るのやらと思いながら、ペッパーはクラン:ライブラリにユニークモンスター・冥響のオルケストラのユニークシナリオを発生させた事。

 

そして帝晶双蠍と水晶群蠍を用いた新たなる甦機装(リ·レガシーウェポン)をビィラックに作って貰うべく、アイトゥイルとノワを御留守番と午前零時にエイドルトに迎えに来てくれと頼み、単身ゲートを潜り抜けてエイドルトのライブラリ本拠地へと赴いたのである………。

 

 

 






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