※マガジン版シャンフロ、遂に深淵のクターニッド戦が完結。漫画版ユニバースの決着を是非、貴方の目で確かめて欲しい。現場からは以上です
「うわぁああああああああ!?!」
「無理無理無理無理無理ぃ!?」
「フルスイングでホームランされたぁ!?」
「たすけてぇ!?!」
「ばぴゃあ!!!」
地獄絵図が過ぎる。全員は助けられないってのは無情というか、自分の非力さを痛感する。
乗り込む前に『死んだとしても恨むのは御門違いなので御注意を』やら、『
筋力・敏捷・スタミナにステータスポイントを振り分けたり、其れ等のステータスに補正を加えるアクセサリーや装備で固めた機動力比重の十四人と、ペッパーの合計十五人パーティーは水晶巣崖にやって来て。
そして突入から僅か五秒後に、
「くっ…………水晶群蠍達のモーションと言うか、戦術が『何時もと違う』!何が起きてる!?」
「あ、あわわわ………」
「ぺ、ペッパーさん…………」
「た、助かりました………!」
「一先ず谷底まで、って水晶投げに同族も加えた波状投擲!?」
「ひぃいい!?」
「あっぶ!?」
奇襲攻撃時に近くに居たライブラリのプレイヤー、くの一装束の『
そして三人の撤退援護をしようとした所、そうはさせんとばかりに水晶柱は愚か、複数体で仲間をも豪速球でぶん投げる蠍達によって逃走を封じられる事になり、ペッパーは三人を抱えながら此のフィールドでの戦闘を強要される立場だと理解させられる。
(どうする………!水晶群蠍の挙動が『軍隊』の其れだ!戦力の随時投入に加えて、水晶柱の投擲精度、常に相手を潰せる包囲状態!明らかに『おかしい』だろう!?)
リアルタイムアップデートが入った等の御知らせは、休日期間中にシャンフロの情報網で見てもいないし聞いてもいない。此の瞬間に入ったら仕方無いにしても、水晶群蠍のAIは進化していても此処まで『爆発的に向上』する等、突然変異以外に有り得ない。では『そうでない場合』、此の蠍達が此程迄に統率が取れた理由に説明が付かないのだ。
故にペッパーは脳内の情報を結び、散らばった思考のピースから『仮説』を導き出す。仮に此の軍隊行動が『誰かの手による物』だとするならば、彼等彼女等を『統率する存在』が此のエリアに居るのが
「天鞠さん、ロックさん、パイロンさん。三人の中で『視力強化スキル』もしくは『思考強化スキル』を持っている方が居たら、此のフィールドの水晶群蠍達を
「は、はいっ!【
「わ、理解りました!」
「弓矢系統を使ってたのでスコープ系のスキル持ってます!」
「頼みます!!!」
襲い掛かる波状攻撃に多重包囲、空中機動スキルとパトリオ・ストイック、更にはウツロウミカガミを絡めた動きで凌ぎ、スキルを使用する順番と
そんな危険な状況下で己の身を守る事ですら一苦労な中、残された者の為に必死に思考を回して指示を出す彼に応えるべく、三人もまた己に出来る事を必死で探して実行し。
「ペッパーさん!何か北西の方に『変なトサカ』持ちの蠍が居ます!周りに複数の蠍が居て『守ってる』感じです!」
「パイロンさん、其れが『指示役』の可能性が有ります!
「やってみます!十秒……いえ十五秒下さい!」
「了解、二十秒稼ぎます!」
北西方向に爆走し、水晶群蠍の包囲を走り越えて、敵と自分の位置関係を意識した立ち回りを含め、視界内に捉えたのは『背中に#の形をした水晶を生やした水晶群蠍』。
其の蠍は近くに自分達が近付いて来たにも関わらず動かず、逆に周りの護衛が攻撃──────もとい
「撃ちます!」
狙撃銃から一発、また一発と弾丸が放たれ、堅牢な水晶を纏っているにしては『あまりにもあっさり』と、水晶ヒビが走り、風穴が穿たれ砕け散る。そして其れがトリガーになったのか、周りの水晶群蠍達が『不自然なまでに急停止したのだ』。
「と、止まっ…………た?」
「いや、まだだ。まだ終わりじゃない。さっきの奴が『他にも居る可能性』を考慮した方が良い。こうなったら君達三人も、此のエリアの異変調査に付き合って貰うけど覚悟は有りますか?」
「勿論!」
「はいッ!」
「やります!」
「理解りました。少々ギアを上げていくので、気を付けて下さいッッッッ!!!」
実の所、ペッパーというプレイヤーは『突発的なパーティープレイ』はあまり得意な訳では無い。元々慎重で準備を確り整えた上で攻略を行うのだが、一撃でゲームオーバーの危険地帯に突如として護衛対象が追加されるイベントが来られると、彼自身かなり気が滅入る。
其れも水晶巣崖というシャンフロ旧大陸の五指にも入る超絶危険地帯に、護衛を三人引き連れて行っているのだから其の難易度も、彼が経験したゲーマー史上過去最大級の物だった。
「#破壊ッ!周りの蠍が止まった!」
「此れで、四体…………」
「ご、ごめんなさい………ペッパーさんに負担ばかり掛けて…………」
「観測手として頑張ってくれてるんだ。なら此方も生き残って、時間を稼ぎながら戦うのが役割だよ。適材適所って奴さ」
此処まで戦い続けた事で判明したのは、#のトサカの水晶群蠍はフィールドに『四体』存在した事。そして一体のトサカを破壊する毎に全体の『25%』の蠍の動きが止まる事。つまり先程の蠍のトサカを砕いた為に、フィールド全体に出現していた水晶群蠍達が止まった事を証明していた。
「さて、此処に辿り着いたのは『偶然』か。はたまた『仕組まれていた』のか。果たしてどっちなんだろうな?」
目の前の地面に在ったのは、此のエリアに溶け込む様に
其の巨大なる蠍を『コロシアム』の如く円形に囲んで鎮座している水晶群蠍達は、天鞠・ロック・パイロンから見ても明らかに『異常』だと気付いている様だ。
無理も無いだろう………何せさっきまで死に物狂いで自分達に襲い掛かって来た蠍が、こんな行儀良く居るのだから恐ろしさは倍増所か、乗算されて伸し掛かっていると言っても良い。
「さて、此処まで来たが………って言わなくても答えは出ているか」
偶然ペッパーの近くに居たという、些細な幸運で生き残り。全員最後までおんぶ抱っこで獅噛み付いた三人に、帰るという選択肢は存在しなかった。こうなればデスポーンする最後の瞬間まで、此方に付き合って貰うとしよう。
ペッパーを先頭に天鞠・ロック・パイロンが前へと進み。そして全員が内側に入ったのを見届けた水晶群蠍が、空いていた穴を埋め立てる様に観客席を閉じ、此の静か過ぎる程の静寂に包まれたバトルフィールドに……………………
水晶群老蠍より小さくとも、金晶独蠍よりも大きな巨体。其の身を構築する尾に甲殻に爪や脚、更には鋏を含めた其れ等全てが、様々な金属を混ぜ合わせた『天然の超合金』に等しく。
まるで『鎌』の形に開いた鋏で水晶巣崖の宝石塔をガリガリゴリゴリ、ボリボリバリバリと齧っている姿はまるで『ブラックサンダー』で食事をしている様にも見え。
掲げた針………では無く、尻尾の先に有るのは美しき『聖剣』にして、己が重ね繋いだ年月を示すかの様に。数多の水晶群蠍達の『皇帝』たる其の蠍は、
同時にペッパー達の前には、対峙した煌帝たる存在を示す画面が表示されたのだ。
『モンスター
『討伐対象:
『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』
取り敢えず思った事。エクゾーディナリーモンスター遭遇の表示が出たのが本当にありがたいわ。倒してから判断するしか無かったからね。
元凶を見付けて
Q、此の皇金世代ってサンラクが二度敗れた奴?
A、此のユニバースに置ける皇金世代は『両側其々の崖に一体ずつ出現する』という設定が有る。サンラクが二度戦ったのは『攻撃側』の崖に居る皇金世代で、ペッパーが三人のプレイヤー達を守りながら到達したのは『防御側』の崖に居る皇金世代。
防御側の皇金世代は所謂『カウンタータイプ』で、ダメージコントロールやら含めた諸々の戦闘スキルが、攻撃側の皇金世代より巧みなのが特徴。
Q、要するに防御側の皇帝陛下と戦うと?
A、下手すれば長期戦不可避