VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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情報整理




皇帝の剣技、掲げる聖剣、されど勇者は退かず

金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"。此の蠍を一言で表すならば、今迄戦ってきた数多のゲームに登場する敵やモンスターの中で、五指に入るレベルで恐ろしい程の『繊細な斬撃攻撃を行って来る』という事だ。

 

先ずは両方の鋏。近距離はガッチリと格納した鋏たる『拳モード』で殴り付け、中距離は90度の角度を付けて半開きにした『鎌モード』で引っ掛けを狙い。遠距離は完全に鋏を開いた『剣モード』で、切断力に秀でた一閃と言った変幻自在の攻撃方法を保有している。

 

其の三種類のモードでも厄介だが、皇金世代の鋏と前肢の付け根は人間の手首と同じく『捻る』事が可能で、其れを用いる事で咄嗟の防御や受け流しに、突発的な攻撃挙動の変更と攻防一体で厄介さに拍車を掛けている。

 

更には尻尾の先に在る針……………では無く『聖剣』は皇金世代の懐に飛び込んだ者には、超々至近距離(インファイト)時に『刺突攻撃』、引き剥がす際には高速回転で『自身の周りを薙ぎ払い』、長距離に敵が逃げたなら聖剣の刃先から『超高速度の【マジックエッジ】』を──────まるで『墓守のウェザエモン』が使用した一撃必殺の超速抜刀居合『断風(たちかぜ)』に比肩し得る一撃を飛ばす。

 

そして皇金世代は其の聖剣を『敵を倒す必殺』としている事が、挙げてきた判明点の中で何よりも『厄介』なのだ。

 

明確にヤバい武器を常に目に見える範囲で置き続け、他の斬撃を以て削りに掛かり。疲弊させた所で確実に刺して倒す戦術は、まさに黒狼(ヴォルフシュバルツ)旅狼(ヴォルフガング)によるクラン対抗戦・大将対決時に相対した『サイガ-100』のバトルスタイル()()()だった。

 

「ペッパーさん!右鋏の斬り上げ挙動、サイガ-100さんのモーションと()()してました!あの金晶独蠍、多分『剣聖プレイヤーのモーションが反映された』モンスターです!」

「ありがとうございます!引き続き自分の護身を第一に、フィールドと水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)達の観測を御願いします!」

 

ロックの声が響いてペッパーは御礼を述べながらも、対抗戦時に得た『サイガ-100の戦闘記憶』を自身の脳内から引き出し、皇金世代の動きとサイガ-100の動きを重ねて。ギルフォードブレイカーで巨体を支える肢を打ち据え距離を取り、己が所有し使える手札の中で何を用いれば、皇金世代に効率良くダメージが入るかを思考する。

 

「思考して試して結果を知り、また考察して試して再び考察する!其れが長期戦時に攻略する側が、攻略対象相手に『やらなきゃならないタスク』だ!」

 

ギルフォードブレイカーからミル・ト・コルンに交代、右手にマナポーションを取りて剣撃の隙間を走り抜け、魔力(MP)消費による銃弾装填とマナポーションによる魔力回復を並行で行い、取り出したミル・ト・コルンを其のままインベントリアに入れ、切り替える様に勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)・聖盾イーディスに切り替える。

 

リュカオーンの愛呪によってユニーク職業(ジョブ):勇者共通のバフ効果は乗らないが、秀でた耐久値と勇者武器共通の魔力を対価にした再生効果は、煌めき輝く皇帝陛下との戦いに置いても陰る事は決して無いのだから!

 

「観客も含めて皇帝陛下よ、俺を見ろッッッ!」

 

集律視標着目(ワーナリー・スポットヘイト)で観客の水晶群蠍や対峙する皇金世代の注目(ヘイト)を漏れ無く、一つ残らず大特価で掻っ攫う。

 

戦闘スキルが高かろうが人も動物も知性を持つ以上は、()()で相対する相手が繰り出す見た事も無い攻撃を、どうしても『警戒する生き物』だ。

 

例えばこんな風に──────さっきまで堅実で手堅い立ち回り続けていた木っ端な人間が、盾を構えて自殺志願挙動の、超スピードストレートタックルで突っ込んで来るみたいな場合は、特に顕著になるのは必然で。

 

「皇帝陛下、貴方は敵に『上から見られた事』は有りますか?」

 

そんな中、真上から『見られている』と感じた、皇金世代と水晶群蠍達が真上を見上げた──────其の直後。自身の腹部を()()()()事で発生した、強烈極まる『ノックバック』が襲い掛かって。

 

大きな音が鳴ったと思えば、蠍達の煌帝の巨体が水晶の戦場から離れ、まるでフワリ……と空中に浮き上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャンフロのスキルには『界』や『律』、或いは其の両方の文字が入った物が、幾つか存在している事が有志のプレイヤー達によって判明している。

 

例えば真界観測眼(クォンタムゲイズ)…………高速の世界に置ける思考加速と攻撃の波を予知する事で見定め、最高のタイミングで『パリィを行う為のスキル』であり、発動すると自分の周りの動きが思考加速と合わさる事で、見ている世界を『スローモーション扱い』として処理する技能。

 

例えば頂天律驚歩(ヌフールァウォーク)…………発動から一定時間に限り空中歩行を可能にする其れは、発動者を重力の枷から解き放ち、空を両脚で踏み締めて進む事が出来る。

 

此処からは個人的な見解になるが、界を宿したスキルは視界を含んだ『特定のカテゴリー』に関する物。律を宿したスキルは世界に関わる要素、重力や圧力等の『世界の法律』に抗って反逆する物であると、自分は認識している。

 

集律視標着目の面白い点は、使用者(プレイヤー)に対する注目(ヘイト)を『強制的』に集めさせるという効果だ。其れが何処に居ようが、何をしていたとしても、敵の視線は発動者の『目』が在る方向へと向けられる。

 

そして天空の神眼(ラトゥルスカ・ゴッドアイズ)は『俯瞰の視点から一定範囲内を見下ろす』という能力を持ち、其の際に起きるのは『自分の目が真上に置かれている様な感覚』が、スキル発動中に使用者には付与されている事。

 

つまりは、だ──────集律視標着目と天空の神眼、此の二つのスキルによる組み合わせは『半径100m以内に存在する敵の注目(ヘイト)を上空へと移し替える、超高域に作用するウツロウミカガミ』として発動可能で。

 

自分の中でズッ友コンビスキルたる『清明界玉到観(クリスタル・アドバンテージ)&界域を見定む眼(ターゲ・ザ・ワールド)の敵の体内構造透視』に匹敵、もしくはレイド戦で味方陣営を物量で押し込む敵陣営の動きを、此の二つで『一時的に封じられる事』を意味していたのだ。

 

無論単体でも皇金世代相手に『通用する』事が証明され、戦闘開始から漸く決定的な『隙』が産み出されたのを、ペッパーは決して見逃す事は無く。

 

インベントリアから深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を取り出し両脚へ纏い、致命秘奥(ヴォーパルひおう)【オボロサイダン】による超速サマーソルトキックを無防備な煌帝の腹部に叩き付け、同時に不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)戦砕琥示(ウォールフェン)をノックバック重視で叩き付けた、其の瞬間。

 

「吹き飛べッッッ!!!」

 

皇金世代がスキルの効果で真上を見上げていた事、受けた瞬間に後ろへと飛ばなかった事、そして敵の糸の様に細い僅かな隙をペッパーが打ち抜いた事で、蠍の皇の巨体は一際大きな音の後に、空中へと浮かび上がったのである。

 

 

 

 

 

だが、皇金世代は。ペッパー達の予想を遥かに上回る行動を取っていた。

 

 

 

 

 

ペッパーと皇金世代の戦いの中で、其れ(・・)に逸早く気付いたのは天鞠(テマリ)であり、彼女は皇金世代が真上を見上げた瞬間に並行して、己の尾先の聖剣を渾身の力で地面に深く突き立てたのを目撃した。

 

そして彼女が其れを伝えるよりも早く、ペッパーは皇金世代を強烈極まるサマーソルトキックと、ノックバックによって宙に浮かせた物の、皇金世代は身体を間一髪繋ぎ止める。

 

まるで鎖で繋ぎ止めた尻尾に、思いっ切り力を込め。吹き飛んだ身体の勢いを利用し、突き立てた聖剣を『バク転』の要領で引き抜いた──────其の刹那。

 

渾身の抜刀居合による『マジックエッジ』が、()()()()()()()()と化して、ペッパーに襲い掛かったのだ。

 

 

 

 






皇金世代の実力


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