其の時、ペッパーは
人間で例えるなら不意打ちのヤクザキックで鳩尾か仙骨を蹴り砕かれて、上空まで吹き飛ばされている所だが、流石は皇帝陛下。巨大な体躯と自力の重量のみで、此の一撃を耐え凌いでみせるとは。
「くっ、思った以上に厄介だぞ………──────?」
そんな中、浮かび上がった皇金世代の尻尾が『伸び切っている』のをペッパーは見て。片目を動かして尻尾の先を見れば、其処には突き刺さった聖剣と、其の根元がまるで『力瘤』を作るかの様に強張り震えたのを見た瞬間、彼は反射的にサキガケルミゴコロを使用していた。
そして自身の脳内にて発現した光景は──────『バク転による抜刀居合で地を這う飛翔斬撃が発射され、自身の身体が真っ二つに両断される』という死に直結する
「うおおおおおおおおお!?!皆、回避ぃいいいいい!!?【
スライドムーブで滑走からの軽い跳躍、深厳戟響脚の機能を用いてサンダーマークを描くが如く跳ね飛び回避すれば、先程までペッパーが居た水晶地面が聖剣の抜刀居合で真っ二つに、其処から放たれたマジックエッジが地を這い走ったのを目撃する。
「ひゃあ!?」
「あっぶ!?」
「うわぁああああ!?」
身構え何時でも動ける様に備えていた
「おいおい皇帝陛下、とんでもない事してくれるじゃないの…………!」
地面に聖剣を突き刺して、至近距離からの攻撃によるノックバックを抑制する所か、吹き飛んだ衝撃を利用して身体を反らせ、回る事による衝撃の分散。
突き刺した聖剣と地面を鞘に見立てて、バク転の勢いを用いる抜刀居合に、敵が回避する事をも視野に入れたマジックエッジによる時間差攻撃と、皇金世代の一連のアクションは『やろうと思って簡単に出来る事では無い』と、ペッパー達が理解するには『充分過ぎる要素』であった。
同時にペッパーは脳内の情報と、此処までの皇金世代の情報を繋いで思考し、まだ皇帝陛下が切札を温存しているという可能性から長期戦はあまりよろしくない事を考慮し、緊急タスクとして『両方の鋏から聖剣の順に破壊する』と脳内に発令。
彼処に居る三人はクラン:ライブラリ所属のプレイヤー達で有り、クラン:
『
「なら、此処から………トップギアまでブチ上げるとしようか!」
聖盾イーディスを、深厳戟響脚をインベントリアに。インベントリから取り出した投擲玉:炸煙で目眩ましから、インベントリア内の一式装備と対応武装を……………ユニークモンスター・墓守のウェザエモンこと、ウェザエモン・
対する皇金世代は煙玉による目眩ましが、何か恐るべき事をするのではと、皇金世代の
「ふぅん、ぬぁ!!!」
まるで煙という帳を払い、夕暮れの夜空が暗みを帯びて夜へ変わり、星々が夜空に彩りを齎すが如く。水晶の戦場に皇金世代の聖剣をパリィし、多くの観客と相対した煌帝の前に現れたのは、白の甲冑と赤い陣羽織に手製で咲いた桜の刺繍。
左手に握られ掲げた直刃の太刀……………
「
皇金世代の一撃をパリィして出来た一瞬の空隙、合言葉を唱えたペッパーの頭上に現れる空色の魔法陣より飛び出し、戦場に降り立つは全長3mは有ろう、全身が鋼鐵で構築された鐵の騎馬。
大地を踏み鳴らし鼻息の如く蒸気を噴き出す様は、高出力のメカである事を証明するかの如く高らかな、力強い様を此の場に居る全ての者へと見せ付ける。
『御久シ振リデス、ペッパー。呼ビマシタカ?』
「久し振り、天王。相手は彼処に居る
『了解シマシタ、貴方ト共に勝利ヲ!』
「ありがとう、無茶はしないで確実に行こう!」
迫る皇金世代の右鋏が剣モードへ移行する中、天王が動いて真正面から剣の鋒と激突、機械の騎馬よりも大きな皇金世代のパワーに押される所か、逆に押し込む形で鍔迫り合いを演じ。
「天王に負荷は掛けさせない!」
戦闘開始から十分が経過するという条件を満たした事で発動可能となり、此処から先の斬撃攻撃の全てが確定クリティカル判定となる、大技にして切札の一枚・
彼が使用したのは
其処に晴天流【風】系統、第三の派生にして剛力による抜刀に比重を置いた一刀、吹き荒れ轟く風の一太刀たる「
豪ッ!と刃先を通じて感じる、明確な剣を振った際に発生する風圧が刃の如く鋭さと、魚の頸骨を断ち切るかの様な手応えを、業物の刀を握る其の手に伝える中で振り向けば。
バックステップで距離を離した天王と、右鋏と前肢の付け根の境界線からポリゴンを零し、ダメージエフェクトが入った皇金世代の姿。
だが手応えは有れども、皇帝の鋏を完全に断ち切れた訳では無い。ダメージにして5%…………厳しく見積もっても3%程度だろう。
「例え1ダメージしか入らなくても、諦めずに続ければ100になり!そして最後は必ず勝利まで届くってね!!!」
日本最強のプロ格ゲーマー・
其の鎧は、困難を越える為に在る