VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の時、ペッパーは




戦装束に身を包み、刀を手に取り、いざ出陣

不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)戦砕琥示(ウォールフェン)のノックバック重視の一撃と深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の耐久からなる堅さ、そしてオボロサイダンによる腹部への超速サマーソルトキック。

 

人間で例えるなら不意打ちのヤクザキックで鳩尾か仙骨を蹴り砕かれて、上空まで吹き飛ばされている所だが、流石は皇帝陛下。巨大な体躯と自力の重量のみで、此の一撃を耐え凌いでみせるとは。

 

「くっ、思った以上に厄介だぞ………──────?」

 

そんな中、浮かび上がった皇金世代の尻尾が『伸び切っている』のをペッパーは見て。片目を動かして尻尾の先を見れば、其処には突き刺さった聖剣と、其の根元がまるで『力瘤』を作るかの様に強張り震えたのを見た瞬間、彼は反射的にサキガケルミゴコロを使用していた。

 

そして自身の脳内にて発現した光景は──────『バク転による抜刀居合で地を這う飛翔斬撃が発射され、自身の身体が真っ二つに両断される』という死に直結する未来(映像)が提示されたのだ。

 

「うおおおおおおおおお!?!皆、回避ぃいいいいい!!?【収着せよ(Sorptionting-up)】!【弾けよ(Poping-up)】!!」

 

スライドムーブで滑走からの軽い跳躍、深厳戟響脚の機能を用いてサンダーマークを描くが如く跳ね飛び回避すれば、先程までペッパーが居た水晶地面が聖剣の抜刀居合で真っ二つに、其処から放たれたマジックエッジが地を這い走ったのを目撃する。

 

「ひゃあ!?」

「あっぶ!?」

「うわぁああああ!?」

 

身構え何時でも動ける様に備えていた天鞠(テマリ)・ロック・パイロンもまた此の一撃に反応、ペッパーが動いた事で其処が危険地帯だと判断して、各自ヘッドスライディングや猛ダッシュやらで回避すれば、先程まで自分達が居た場所に細い一本線が伸びて、地面に痕跡が刻まれている。

 

「おいおい皇帝陛下、とんでもない事してくれるじゃないの…………!」

 

地面に聖剣を突き刺して、至近距離からの攻撃によるノックバックを抑制する所か、吹き飛んだ衝撃を利用して身体を反らせ、回る事による衝撃の分散。

 

突き刺した聖剣と地面を鞘に見立てて、バク転の勢いを用いる抜刀居合に、敵が回避する事をも視野に入れたマジックエッジによる時間差攻撃と、皇金世代の一連のアクションは『やろうと思って簡単に出来る事では無い』と、ペッパー達が理解するには『充分過ぎる要素』であった。

 

同時にペッパーは脳内の情報と、此処までの皇金世代の情報を繋いで思考し、まだ皇帝陛下が切札を温存しているという可能性から長期戦はあまりよろしくない事を考慮し、緊急タスクとして『両方の鋏から聖剣の順に破壊する』と脳内に発令。

 

彼処に居る三人はクラン:ライブラリ所属のプレイヤー達で有り、クラン:旅狼(ヴォルフガング)とは連盟関係に在るという要素を加味し、最終的に彼が導き出した結論は。

 

 

 

 

 

 

 

 

悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)を此の戦いに投入する事』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら、此処から………トップギアまでブチ上げるとしようか!」

 

聖盾イーディスを、深厳戟響脚をインベントリアに。インベントリから取り出した投擲玉:炸煙で目眩ましから、インベントリア内の一式装備と対応武装を……………ユニークモンスター・墓守のウェザエモンこと、ウェザエモン・天津気(アマツキ)が生前纏いて神代人類最強の英雄と謳われるに到る原点(オリジン)と成った、大いなる戦装束に其の身を包む。

 

対する皇金世代は煙玉による目眩ましが、何か恐るべき事をするのではと、皇金世代の思考(AI)は下して一気に接近から、聖剣による渾身の一突きを放ち。

 

「ふぅん、ぬぁ!!!」

 

まるで煙という帳を払い、夕暮れの夜空が暗みを帯びて夜へ変わり、星々が夜空に彩りを齎すが如く。水晶の戦場に皇金世代の聖剣をパリィし、多くの観客と相対した煌帝の前に現れたのは、白の甲冑と赤い陣羽織に手製で咲いた桜の刺繍。

 

左手に握られ掲げた直刃の太刀……………轟斬型(ごうざんがた)太刀式(たちしき)武装(ぶそう):大天咫(オオテンタ)を握る其の姿は、初見であるならばライブラリが公開している『墓守のウェザエモン』と、完全に見間違えてしまう程に似通った部分が多く存在する程の、およそSFファンタジーの中心的な『洋』の世界観とは明確に異なる『和』で構成された姿。

 

質量転送(エクスポート)及び展開(サモンコール)……試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)天王(テンオウ)】──────来たれ!」

 

皇金世代の一撃をパリィして出来た一瞬の空隙、合言葉を唱えたペッパーの頭上に現れる空色の魔法陣より飛び出し、戦場に降り立つは全長3mは有ろう、全身が鋼鐵で構築された鐵の騎馬。

 

大地を踏み鳴らし鼻息の如く蒸気を噴き出す様は、高出力のメカである事を証明するかの如く高らかな、力強い様を此の場に居る全ての者へと見せ付ける。

 

『御久シ振リデス、ペッパー。呼ビマシタカ?』

「久し振り、天王。相手は彼処に居る金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"っていう、戦闘スキルが滅茶苦茶高い蠍の皇帝陛下が相手だ。力を貸して欲しい」

『了解シマシタ、貴方ト共に勝利ヲ!』

「ありがとう、無茶はしないで確実に行こう!」

 

迫る皇金世代の右鋏が剣モードへ移行する中、天王が動いて真正面から剣の鋒と激突、機械の騎馬よりも大きな皇金世代のパワーに押される所か、逆に押し込む形で鍔迫り合いを演じ。

 

「天王に負荷は掛けさせない!」

 

戦闘開始から十分が経過するという条件を満たした事で発動可能となり、此処から先の斬撃攻撃の全てが確定クリティカル判定となる、大技にして切札の一枚・致命極技(ヴォーパルヴァーツ):太刀型(たちがた)晴謳(ハレウタイ)】に、剣や刀武器装備時に起動可能な八天無双(はちてんむそう)や、剣と刀武器によるスキルの効果を高める剣王武心(マスラオ・センス)のバフを上乗せ、鞘に大天咫を納刀し居合の体勢を整え──────ペッパーの身体が『超高速の回転跳躍』でカッ跳んだ。

 

彼が使用したのは刃舞(じんぶ)廻旋(りんせん)】から進化し、高速回転による高倍率パリィと高出力の連続回転斬撃の、二極一体の斬撃を放つ『刃舞(じんぶ)界辿(かいてん)】』。

 

刃閃鑼(じんせんら)波狼(はろう)】より進化した事で同じ場所にダメージが重なり続ける度に、ダメージ量とダメージ倍率が上昇する『刃閃鑼(じんせんら)海咆(かいほう)】』。

 

居合(いあい)切空(きりそら)】から進化した事により、敏捷が高い程に抜刀の速度が、技量が高い程に居合のダメージが、そして筋力の数値が高ければ高い程に『攻撃対象の肉体硬度と装甲硬度の対抗判定』による、武器の耐久減少を抑制する『居合(いあい)切星(きりほし)】』。

 

其処に晴天流【風】系統、第三の派生にして剛力による抜刀に比重を置いた一刀、吹き荒れ轟く風の一太刀たる「轟風(とどろかぜ)」を、天王と鍔迫り合う皇金世代の右鋏………前肢と鋏の付け根の境界線を見定め、心の成すままに切り抜ける。

 

豪ッ!と刃先を通じて感じる、明確な剣を振った際に発生する風圧が刃の如く鋭さと、魚の頸骨を断ち切るかの様な手応えを、業物の刀を握る其の手に伝える中で振り向けば。

 

バックステップで距離を離した天王と、右鋏と前肢の付け根の境界線からポリゴンを零し、ダメージエフェクトが入った皇金世代の姿。

 

だが手応えは有れども、皇帝の鋏を完全に断ち切れた訳では無い。ダメージにして5%…………厳しく見積もっても3%程度だろう。

 

「例え1ダメージしか入らなくても、諦めずに続ければ100になり!そして最後は必ず勝利まで届くってね!!!」

 

日本最強のプロ格ゲーマー・魚臣 慧(オイカッツォ)の信条を示す金言は、金色に煌めく皇帝陛下の輝きにも負ける所か劣らない!いざって時はグランシャリオも解禁して、皇金世代をブッ倒す!!!

 

 

 






其の鎧は、困難を越える為に在る


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