彼等、そして彼女等
現在時刻は午後九時半。
何ならダメージを積み重ねたのに、本体は滅茶苦茶元気かつ活発に動き回って、ジャカジャカと水晶の大地を踏みながら肉薄しているというヤバさ。レイドボスか何かかな?いや皇帝陛下はエクゾーディナリーだけども。
「ペッパーさんだけが脅威じゃねーんだぞッ!!」
「囮くらい屁の河ばぁあああ!?!」
「ロック、攻め過ぎない!」
「攻撃チャンスは活かす!!細糸を針に通すが如くッッッ!!!」
『其ノ通リデス!』
自分が天将王装を纏って天王を呼び出し戦い始めた事から、
職業:忍者の天鞠はタイミングを見計らっての
空蝉を使う際には身代わり丸太が必要なのは、
「だがまぁ、
『オペレーション:ヘイトスクランブル』…………ライブラリ所属プレイヤーの天鞠・ロック・パイロン、メイン火力を担うペッパーと天王がヘイトを交代し合い、皇金世代の隙を作り出して其々の持ち味で両鋏及び聖剣を破壊。皇帝陛下の攻撃手段を奪い取るのが、此の戦術の『最終到達目標』である。
途中ロックは三回、パイロンに四度の空蝉を天鞠が使用、使える回数を確認した事で、残り四回という状況が判明。天王や自分も時折ダメージを受けたりし、
此方がジリジリと、確実に追い詰められているのは否めない。
だが、其れでも。
ヘイトを取り替えっこし続け、ペッパーの攻撃が先程以上に入る様になった事で、体感になるが右鋏は八割の左鋏は九割、そして聖剣は六割五分といったダメージを受けて、両方の鋏は下手に動かしたならば、千切れる雰囲気が出ている所まで来た。
「おまけにどういう理由か、金晶独蠍特有の『回復行動』………いや『再生行動』を仕掛けて来ないのは、製作者側の『温情』か『別の理由』が有るのかだが…………。今は其れを気にしている場合じゃないな!」
金晶独蠍は体力が一定ラインを下回る、もしくは尻尾を破壊される事で体内の魔力を放つ、所謂『怒り状態』に突入する。そして此処まで皇金世代に攻撃を積み重ね、ダメージの大半を与えて来たペッパーの思考には、皇帝陛下が掲げる聖剣に『何かしらの秘密が有るのでは?』と、一つの仮説が構築。
隙を見てライブラリ所属メンバー達に、自分が獲得・蓄積した金晶独蠍の情報と共に説明した所、ロックは『聖剣が魔力流出の栓、謂わばストッパーの役目を担っているのでは?』と言い、天鞠は『あの聖剣が
此れによって皇金世代は原種と同様に、『瀕死の重傷を負うor尻尾の聖剣を破壊した瞬間に発狂モードに移行する』といった形で、補強された予測となったのである。
「天鞠さん!ロックさん!パイロンさん!引き続き自分の護身を最優先に役割遂行を!天王は甲冑形態に変形して俺と合体、此処からトップギアを更に高めて突破するよ!」
『了解シマシタ!』
天王が跳躍から、其の巨体を分解してペッパーの纏う鎧へと合体、両腕両脚が重装甲と化して胸部に重ねられた装甲にエネルギーが送られ、中心に『
そしてペッパーはインベントリアから『武器』を。己の切札にして鬼札たる逸品。七つ星の名を冠せし、五柱の最強種の力が込められた聖剣。七つの穴の内二つに宝玉が納められた、ペッパーの奥の手たる武器…………『
「さぁ来いッ、皇帝陛下ァ!!!」
右鋏と左鋏の付け根部分は、大天咫と天王に三人が幾度も幾度も叩いて傷付け、ダメージを上乗せし続けた!だったら其れに応えてやらなくちゃ、此の鎧を受け継いだ身として廃るだろう!?
振り翳される右鋏の攻撃と、連動して引っ込めんとしている左鋏。ダメージも充分に蓄積されて、後一歩で破壊出来るこんな状況下で見逃す所か、壊さないなんて選択肢をゲーマーが取らない訳が無い!
(俺はお前の、発狂モードに付き合う覚悟を決めている!だからお前も!今此処で!!覚悟を決めろ皇金世代!!!今夜がお前の命日だ!!!!!)
「斬りッ───裂くッ!!!」
夜空に半月を描くが如く、神代の時代に造られた業物の一閃は、黄金に輝く蠍達の煌帝の武器を一つ、断頭台にて斬首された罪人の首の様に地面へ落下して行くや、其の刃は右鋏の付け根へ吸い込まれて斬り傷を産み出し、亀裂を更に致命的な物として。其処に追撃を掛けるは、右手に握られた星帝剣。
「
ギャラクシーブレイダーズの中に在る流派、月の満ち欠けによって出来る形を元にした『月下二刀流』の技が一つを再現。刻まれ……裂かれ……開いた傷へ、斬撃と刺突ダメージ軽減不可能の斬撃を、
ズバァン!と高らかなSEが炸裂し、右鋏が斬り飛ばされて宙を舞い、地面に吸い込まれる様にして落ちる。
「ヨッシャア!!!」
皇金世代の聖剣刺突をダッシュで躱し、多種多様な金属を溶かして混ぜ合わせた天然合金な色合いをする鋏を二つ、速攻で回収する。
流石に『ブチギレるか』と警戒していたが、上に立つ者はちょっとの事で動じない様に、三段変形を可能にする鋏を奪われても、皇帝陛下は
ならば御自慢の聖剣も、同じく斬り取って進ぜよう!!
残すは聖剣