VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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大物出現、新武器初陣




堅過ぎるロブスターは、育てた小鎚と籠脚で倒せ(前編)

涙光の地底湖でのパワーレベリング開始から数時間。レベルアップで変化と進化、新規習得した様々なスキルを試し、次々と武器を切り替えつつ、ライブスタイド・レイクサーペントを総計20体程を狩った事により、ペッパーはレベル35まで成長。

 

当初の目的とし、甲皇帝戦脚(エクスパイド.ウォーレッグ)を装備する為の条件であった、練度規定(レベルキャップ)に漸く到達した。

 

だが、此処まで地底湖でペッパーが釣り上げてきたのは、全て『魚』であるライブスタイド・サーモンだけで、地底湖の『モンスター』たるライブスタイド・レイクサーペントは、1匹とて竿に掛からない。そして此処までサーペントを釣り上げたのはペンシルゴンであり、当然ながら其れを見逃す訳も無く。

 

「ほらほら、あーくんどーしたの~?さっきからサーモンしか釣れてないようだけど~?」

「幸運が25しかないし、ステ振りも幸運以外を振らなくちゃいけないから上がってないんだよ…!俺はサーモンじゃなくて、サーペントを釣りてぇんだわ…!」

 

甲皇帝戦脚装備と、元々のバックパッカーとしての役割遂行の為、ステータスの幸運にポイントを振り分ける事が出来ず、ペンシルゴンから煽りを加えられたペッパーは怒りで身を震わせそうになる。

 

しかし釣りとは、己との戦いでもある。怒りの感情が竿と糸に伝われば、水を通じて魚達にも伝播してしまい、寄り付かなくなってしまう。なのでペッパーは努めて冷静に、怒りを内に秘めながらも竿と糸には伝わらないよう、深呼吸を繰り返す。

 

と、釣糸と竿に今までに無い『重さ』が伝わり、ペッパーの身体は地底湖に引き込まれそうになる。

 

「ぐぅうおっ!?遂に来たか!?」

「ペッパーはん、気張るのさ!」

「おっ、あーくんおめでとう。後はキッチリ釣り上げるだけだよ?がんばれがんばれ、あーくん♪」

 

天音 永遠を推す連中からすれば、先程のがんばれコールで昇天する輩も居るのだろうが、残念ながら彼にとっては煽りにしか聴こえてこない。

 

「おおおおおお………!りやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

力一杯に釣竿を引き上げると、魚影は段々と大きくなる。しかし其の魚影はライブスタイド・レイクサーペントの物よりも『ずっと巨大』であり。

 

水柱を上げるようにして現れ出たのは、地底湖の水蛇の胴を鋏む程の巨大な赤い鋏に、薄黒い模様が刻まれた巨体、そして伊勢海老を彷彿とさせる長く分厚い前触覚から成る、全長5mは下らない『巨大ザリガニ』だった。

 

「何だコイツ…レイクサーペントを狩ってる、のか?」

「!あーくん、ソイツ『ライブスタイド・デストロブスター』だよ!」

「ロブスター?ザリガニとかじゃな…どわ!?」

「ペッパーはん!」

 

言うより早く、自慢の前足を振り翳して、ペッパーに叩き付けて襲い掛かるロブスター。回避に集中して直撃を躱わし、致命の小鎚(ヴォーパルレッジ)を振り翳す。

 

「なろ…!此れでも食らえ!」

 

左前足目掛け、レイクサーペントとの戦いの中で遂に最大練度に至り、レベルMAXとなったスキル:剛撃と御馴染みのバルガストライクを起動させ、ペッパーの一撃がデストロブスターに炸裂する。

 

だが其の一撃は、巨大ザリガニの前足に直撃しても傷一つ所か、僅かな痣さえ残らない程に強靭かつ堅牢。ペッパーの脳裏に過ったのは、千紫万紅の樹海窟でアイトゥイルと共に戦い、討伐に20分以上掛かったクアッドビートルであり。ライブスタンド・デストロブスターの甲殻は、クアッドビートルの甲殻『以上』の堅さを誇っていた。

 

「っそだろ、クアッドビートルより硬いのかよ!?此の巨大ザリガニ!!?」

「其れ本当なのさ、ペッパーはん!?」

「アイトゥイルは俺の肩に!コイツは生半可な武器じゃダメージが入らない!」

 

ペッパーがアイトゥイルを肩に乗せ、どう攻略しに行くかを思考する最中、ペンシルゴンが自身の体験から成るアドバイスを、1人と1羽にレクチャーしてきた。

 

「コイツの厄介な点は『単純な強さ』もそうだけど、全身に纏ってる甲殻が兎にも角にも『堅過ぎる』事でね…!『破壊属性』か『貫通属性』の武器、もしくは『魔法』関係の攻撃じゃないと、まともにダメージが入らない。

一応、私は貫通属性付与の魔法は使えるけど、其れをやった場合、武器の耐久値がゴリッゴリ減ってくから正直やりたくないんだよ…」

 

唯でさえ堅いのに、特定の方法で戦わなければならない。かなりの強敵であるようだ。しかし「ただ…」と、ペンシルゴンは其の後にこう続けて言った。

 

「其の馬鹿にならない『強さ』と『堅さ』を突破して、コイツを仕留められれば、経験値は笑っちゃうくらい入るんだよねぇ…。あーくんはどうする?おねーさん1人でも戦えなくは無いけど、見学しちゃう?」

 

ペンシルゴンの言い分は最もだ。戦わない事もまた、時として最善手足り得る選択も在る。ましてや先の一撃で、巨大ザリガニ相手に『並大抵』の武器では太刀打ち出来ない事も解った。

 

だが、だからこそ。ペッパーは燃えるのだ。

 

「逃げる?ソイツは冗談キツいぜ、トワ。お前が其れくらい言い切る程の相手なら、俄然戦いたくなるじゃんか…!」

 

ゲーマーとしての『サガ』が騒ぐ。コイツを攻略して見せろと。此の困難を越えて見せろと。ペッパーは装備していた致命の小鎚を解除、アイテムインベントリから『2つの武器』を取り出し、各々対応する部位に装備する。

 

片や歯車模様を刻んだ、歯車両面を持った漆黒の鐵色に輝く、シクセンベルトの鍛冶師が育て上げた、マッドネスブレイカーより成長せし、ユニーク小鎚。

 

片や漆塗りによって産まれたような艶を含む、クアッドビートルの甲殻を装甲に、雄角を爪先や踵のスパイクとし、エンパイアビー・クイーンの針を用いて造られた、バンデージが鋭く在る、ガントレッグ。

 

「さぁ初陣だ…巨大ザリガニ相手に、思いっきり暴れてやろうぜ!

ギルフィードブレイカー、甲皇帝戦脚(エクスパイド.ウォーレッグ)!!」

 

人が造りし結晶と、兎の名匠が造りし結晶。種こそ(たが)えど、其の輝きは1人の男と共に在る。相手は地底湖の大主だろう、巨大ザリガニ。

 

相手にとって━━━━不足無し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーくん、其れ何!?新武器!?」

 

左手に握られた成長したユニーク小鎚と、両脚に装備された籠脚(ガンドレッグ)に、ペンシルゴンが思わず叫ぶ。

 

「簡単に言えば、成長したロックオンブレイカーと、クエストクリアの為に鍛冶師が作ってくれた試作品!耐久が滅茶苦茶上がった!!以上!!!」

「ザックリし過ぎィ?!」

「ペッパーはん、当たったら幾ら上がった耐久でも殺られかねないのさ!」

 

アイトゥイルの忠告に頷いて、ライブスタイド・デストロブスターに駆け出すペッパー。対する巨大ザリガニは口から泡を吹き出し、水鉄砲ならぬアクアレーザーに似た水圧光線を発射する。

 

「躱わす…!躱わす、躱わす!」

 

サンダーターンより進化した、発動から1分間に鋭角移動を行った回数に応じ、戦闘中に敏捷と技量へ強化(バフ)が加算されるスキル:バリストライダーが起動。デストロブスターのアクアレーザーを回避する度に、ペッパーの敏捷は高められていき、鋭角ターンから再度接近戦に持ち込む。

 

『キュロロロロロ…!』

 

振り上げられる右前足の堅牢な鋏。叩き付けられれば、幾ら耐久の上がった今のペッパーでも、耐える事は叶わない。だがしかし━━━━

 

「オラァ!」

 

新武器を装備する為にステータスに振った筋力と、バリストライダーによって高められた技量、そして名匠ビィラックの産み出した、甲皇帝戦脚の耐久を組み合わせたのであれば━━━━鐵と鋏がぶつかり合い、衝撃が爆ぜる。

 

『キュロロロロロ!?』

「よっし!『脚パリィ』出来たァッ!」

 

人間の腕力の3~4倍の筋力を誇る脚力、便秘で磨かれた脚パリィの技術が、此の瞬間に結実した。前足の叩き付けを弾かれ、体勢が崩れるデストロブスターにペッパーの追撃が襲い掛かる。

 

体重を支える右足に、回転蹴りスキルのワンスフリップが叩き込まれ、バランスを切り崩す追撃にブレイクダンスから着想を得た、背中を向けた状態で繰り出すとノックバック補正が掛かる背面蹴りで、デストロブスターの身体を横倒しにしようとした。

 

「ッ…!やっぱ、そう上手くはいかねぇよな!巨大ザリガニ!!!」

 

しかしデストロブスターの巨体は蹴りに屈する事は無く、持ち前の馬力でペッパーを逆に押し倒そうとしてくる。

 

「あーくん!」

「ペッパーはん!」

 

だがペンシルゴンが走り、肩に居たアイトゥイルがペッパーの脚を駆けて、各々の持つ得物でロブスターの甲殻の内側に有る首根に、渾身の刺突を叩き付けて、其の巨体を地面に押し倒す。

 

『キュロロロロロ!?!』

「2人共!?」

「あんまり長く押さえられないから、頭をブッ叩いちゃって!」

「ペッパーはん!ワイもペンシルゴンはんと一緒に、押さえておくさ!」

「………ありがとうございます!」

 

ペッパーの狙いを少なからず理解している1人と1羽に、彼は礼を言って。熟練度MAXとなったスキル:アクセルで更に敏捷を強化、横倒しにしたライブスタイド・デストロブスターの頭部に回り込む。

 

倒されて無防備になったザリガニへ、ギルフィードブレイカーを強く握り締めてスキル:ラッシュと共に、甲皇帝戦脚のバンデージを加えた連続攻撃を頭殻に叩き込む。

 

「オラオラオラオラオラオラ!!!」

 

ギルフィードブレイカーには最も近い相手に対するダメージ補正以外に、相手の武器・防具・甲殻・装甲に対する攻撃へ『破壊属性』を付与する特性が備わっている。

 

そして甲皇帝戦脚のバンデージに使われたエンパイアビー・クイーン、円錐角の刺に備わる『壊毒(かいどく)』は、破壊属性が『時間経過と共に侵食』するという所謂DOTの能力を内封する。

 

2つの破壊属性による、頭部への連続打撃の一点集中が、全身の中でも一際堅牢過ぎるライブスタイド・デストロブスターの頭殻に叩き付けられ、破壊属性が急速進行。

 

そして━━━━━━

 

「割れろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

右足の渾身の『膝蹴り』によって、遂にライブスタイド・デストロブスターの頭殻は破壊、肉質が変化した。

 

「やった!これ…ッ!?」

『ギュロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!!!!!!!』

 

直後、ライブスタイド・デストロブスターが今までに無い咆哮と共に暴れ狂い、ペンシルゴンとアイトゥイルを振り払って立ち上がる。

 

鋏をガチンガチン!と打ち鳴らしながら、身体の紋様は薄黒い紋様は、身体の赤よりも朱に近しい色に変貌し、口から噴き出す泡は、最初の時以上に激しい物に変わる。

 

「な、何なのさ…!?」

「…もしかして『発狂モード』か?自慢の頭の甲殻、俺が叩いて壊したから」

「うん、多分そうだねぇ…」

 

アイトゥイルが身の危険を感じ、ペッパーに駆け寄って背中に飛び乗り、ペッパーとペンシルゴンは共に身構える。

 

ライブスタイド・デストロブスターとの一戦は、クライマックスに向かおうとしていた………

 

 






人が造りし成長小鎚と名匠が造りし剛脚で、地底湖の強者に挑め


ペッパーのステータス&スキル。

レベル30→レベル35までに起きた、スキルの変化と進化



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PN:ペッパー

レベル:35

メイン職業(ジョブ):バックパッカー

サブ職業(ジョブ):無し


体力 15 魔力 10
スタミナ 90
筋力 70 敏捷 80
器用 35 技量 50
耐久力 376 幸運 25
 
残りポイント:0

 
装備

左:ギルフィードブレイカー

右:リュカオーンの呪い(マーキング)

両脚:甲皇帝戦脚(エクスパイド.ウォーレッグ)(耐久力+350)

頭:皮の帽子(耐久力+1)
胴:隔て刃の皮ベスト(耐久力+4)
腰:隔て刃の皮ベルト(耐久力+4)
脚:隔て刃の皮ズボン(耐久力+4)

 

アクセサリー

・鎖帷子(耐久力+10)
・旅人のマント(耐久力+2) 
致命魂(ヴォーパルだましい)の首輪

 

所持金:1400マーニ



スキル

・ラダースラッシュ
・呀突→命尽突(めいつきとつ)
・ジャストパリィ→レペルカウンター
・ブームスロー→ドライブスロー
・スピックエッジ→アルゼイドエッジ
・ハイドレートワーク→メイアスワーク
・バルガストライク
・ダイナモインパクト
・剛撃 レベル6→レベルMAX
・アクセル レベル8→レベルMAX
・ラッシュ レベル4→レベル7
・見切り レベル4→レベル6
・ハイプレス レベル5→レベル8
・五艘跳び→六艘跳び
・スライドムーブ→スケートフット
・ジェットアタック
・水平斬り レベル5→レベル6
・垂直斬り レベル4→レベル5
・サンダーターン→バリストライダー
・ハイビート レベル6→レベルMAX
・アクタスダッシュ レベル4→レベル5
・ステックピース レベル3→レベル4
・握擊 レベル3
・投擲 レベル2→レベル4
・クライムキック レベル1→レベル5
・首断ち レベル1→レベル3
・ムーンジャンパー
・ボディパージ レベル1
・ライフオブチェンジ
・ストレートフィスト
・背面蹴り レベル1
・ワンスフリップ
・フルズシュート レベル1
・オプレッションキック レベル1

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