仏陀斬れ
剣・鎌・拳という圧倒的なアドバンテージを誇る、三段変形両鋏を斬り落とされて聖剣だけとなった
果たして此れでペッパー達は優位に立てたのか?──────其の答えは『No』だ。
「ペッパーさぁん!?今まで以上に暴れてませんか、皇金世代の奴ッ!?」
両腕の武器というアドバンテージ、或いは殆ど機能不全になっていた両鋏というデッドウェイト、其れが斬り落とされた事で攻撃のリソースを聖剣に全力注入可能となった皇金世代は更に機敏に、より大振りな攻撃を仕掛けてきた。
巨体を活かした回転による尻尾の薙ぎ払い、遠心力を利用しての広範囲マジックエッジの追撃、攻撃の手数が絞り込まれた事による聖剣の刺突や薙ぎ払いと、誰の目にも解る暴れっぷりである。
「形振り構ってられなくなったって事かもね!何にせよ『聖剣の薙ぎ払い』と『聖剣からのマジックエッジ』を多用する上に、下手に距離を取ったら飛翔斬撃に斬り殺されるから、皇金世代の肢から『1〜3m以内の至近距離』に飛び込んで立ち回った方が良い!」
「其れ端的に「私達に死んで来い」って言ってませんかぁ!?!」
左手に握る
皇金世代の聖剣から放たれたマジックエッジを、立っている場所への到達時間を『把握していた』ペッパーは、其れをスライドムーブで回避しつつ、再び大天咫を引き抜き構えるが、攻略法………もとい『安全地帯』の説明を聞いていたライブラリ所属のプレイヤーの一人、くの一装束の
「いや『聖剣の可動範囲内』に、其処は入ってないんじゃないか!?」
「其の通り!有機質な尻尾ならまだしも、水晶群蠍や金晶独蠍は体格構築の殆どが『水晶や金属』である以上、可動域に『制限』が在る!引き続き俺が皇帝陛下の御機嫌取りに入るから、天鞠さんロックさんパイロンさんは生き残る事を最優先で!」
「ペッパーさんは?!」
「無論、革命する為に討伐一択です!」
皇金世代もとい金晶独蠍の怒りモードか発狂モードへの突入条件が、一定以上のダメージの蓄積or尻尾の針の部位破壊による物ならば、当然
両鋏と聖剣の付け根を集中攻撃し続けている為、体へのダメージは其処まででこそ有れど、金晶独蠍の時は体内の魔力を闘気の如く解放して接近する敵を風圧、もとい魔力圧で押し返していた。そして其れが皇金世代の場合は、一体どうなるのか聖剣を『破壊するまで解らない』と言って良い。
「状況を一気に進める!ウェザエモン・
ペッパーがそう述べ、皇金世代の聖剣がパイロンを狙った一瞬を突き、グランシャリオを斜め上に投擲した其の刹那。五番目の穴に収められていた宝玉が輝きを放ち。同時に走り出した彼の身体から蒸気が噴き出して、空いた右腕に沿う様に『巨大な雲の腕』が形成されていく。
晴天流の七系統の一つにして、人体の発汗機能を利用した「雲」の系統の中の奥義が一つ。墓守のウェザエモンが使用した『
「
重ねて放つは気絶効果が上昇した拳撃スキルの『レテ・バニッシャー』、拳撃・脚撃・格闘のスキルの再使用時間を十倍にするデメリットを許容し、ヒット時にダメージを十倍計算で産出する『
そして拳撃による攻撃時に発生する『空気圧による速度減少や空気摩擦による威力減衰』を受けなくなるという、律の名を冠するスキル『
ガゥイン!と響く金属の激突音だが、脳天から大質量の………其れも空気抵抗等による軽減がされなかった、渾身の拳骨には流石の皇金世代も少なからず堪えたらしい。ほんの少し、僅か一瞬でも気絶によって反応が遅れれば、当然『隙』が生まれ、其の隙は戦局を変える『切り口』と成る。
「晴天流【風】、
夜空に輝く星々が集いて天ノ川を作るが如く、発動するは
しかし無意識の反応か、はたまた皇帝の執念か。皇金世代の掲げる象徴たる聖剣は、本体が動けずとも反射的に動いた事で、ペッパーの心臓を貫かんと迫り。
だが其処に『分銅が付いた鎖』が飛来し、聖剣を動かす尻尾に巻き付き、其の挙動に文字通り『待った』を掛けたのだ。
(アレは…………!)
「鎖鎌!?」
「天鞠!!」
横目で鎖の先を見れば、水晶の戦場に出来た亀裂に『鎖が付いた鎌』を刺して、行動を止める天鞠の姿在り。皇金世代の圧倒的な馬力を前に、鎖はビキリバキリと嫌な音を立てている。
「ペッパーさん!行って!聖剣を斬り飛ばして!」
「…………其の鎖鎌の修繕及び補填、自分が全額請け負いましょう!!!」
鎖が砕けて拘束が解き放たれるが、既にペッパーは聖剣が届かぬ間合いに飛び込み。幕末で練習した『投擲抜き打ち居合天誅』の修練の成果を示すが如く、
「
抜刀速度の奥義「
グランシャリオの一撃が此処までダメージを負った事で亀裂が大きくなった、皇金世代の聖剣と尻尾を繋ぐ
「連綿と受け継がれ、一度は潰えた其の一太刀!産まれてから何十年と月光を受け続け、鍛え磨いた聖剣だろうとも、此方の剣技は数千年以上(推定)の重さが在る!!!もう十分に斬撃を飛ばしただろう、皇帝陛下!其の聖剣──────我等が貰い受けるッ!!!」
スパッと鳴って、スルリと二つの刃が何処かあっさりと抜ける。ロックとパイロン、其処に遅れて天鞠の声が響き夜空を見上げれば、禍嵐の二閃の抜刀居合斬撃に斬り飛ばされて宙を舞い、地面に突き刺さった皇金世代の象徴たる聖剣が。
「よし!!よっし!!よしッ!!聖剣落とし、成し遂げたァアアア!!!」
アクセサリーとして装備されたアトロフォスの
「ペッパーさん!」
「脚を止めるな!皇帝陛下の聖剣を取った以上、絶対に何かが起きるぞ!!」
天鞠・ロック・パイロンの三人が全速力で合流し、ペッパーは天王との合体を解除から格納、インベントリアより
当の煌帝はまるで『ピタリ』と………そう、まるで『時間停止』を食らった様に静止しており。左右の鋏と象徴たる聖剣を奪われ、武器を全て失ったと思われた煌帝は。
両腕と尻尾の先からは『超高濃度に圧縮された魔力を放出し』。
斬り落とされた両鋏と尻尾の聖剣が在った場所から、剣モード時と聖剣の
此の戦いで受けた傷の中で、甲殻に
金晶独蠍"皇金世代"、発狂モード及び
黄金に煌めく蠍達の皇帝は、
風雲急