VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

663 / 1072


決着の時




月よ、皇帝よ。星よ、勇者よ。

金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"が発狂モードと思わしき状態に突入してから十数分。幾度と無く星帝剣(せいていけん)グランシャリオと大天咫(オオテンタ)で斬り、狙撃銃で利き目を撃ち続け、縄や鎖鎌で肢を絡め取ったりと続けて来た中で、遂に『其の時』がやって来たのだと、此の場に居る全員が『確信』する。

 

「ペッパーさん………!」

「言いたい事は大体解る。おそらく此処が最後の『分岐点』だ!各自判断を誤るな、絶対に生きて此処を出るぞ!」

 

此処まで生き残ったライブラリ所属のプレイヤー達、天鞠(テマリ)・ロック・パイロンに声を掛けたペッパーは、グランシャリオを地面に刺してサブ職業に神秘(アルカナム):運命の輪(ホイール·オブ·フォーチュン)をセット。

 

再び剣を手に取って鋒を皇金世代に向けて相手方の様子を見守り、戦闘開始時点から温存し続けた真界観測眼(クォンタムゲイズ)の使い所こそが『此の局面』だと、ゲーマーとしての直感を犇々と感じ取っていた。

 

そして一向が見つめる先に立つ皇金世代は、誰の目からも解る疲弊具合に加え、構築された超高出力の光熱レーザーソードの勢いは衰え、全身の黄金は陰り曇ってくすんでいる事で、プレイヤーにも『後少しで倒せる』と説明しているかの様にも見える。

 

だが。そう、だが。

 

後少しで倒せるという事実に反比例するかの如く、今此の場に居る全てのプレイヤーに伸し掛かる重圧の質が、更に高まり極まっている。まるで『窮鼠が猫を噛む』に等しい事が、此れから起ころうとしている様に、ペッパーはグランシャリオを握って唱える。

 

「ウェザエモン・天津気(アマツキ)さん。貴方が選ばなかった絶技──────使わせていただきます!」

 

持ち手から二番目の位置に収まった宝玉が輝き、ペッパーの体力を残り10%まで削る。同時に彼の身体から増幅された『生体電流』が全身を包み、其の身をバリバリバリッ!と雄々しき『蒼雷』が迸る姿へと変えていく。

 

晴天流(せいてんりゅう)(かみなり)】、()()()()……………成神(なるかみ)!」

 

皆の『興味を纏った視線』が一瞬だけ向くが、其れよりも皇金世代の方がヤバいと解っているが故に口を開く事は無く。

 

皇金世代もまた死に体で有りながら、黄金の中に輝く赤い目の奥に灯る『闘志』は煌々と輝きを増すのが感じられた。

 

そして雷の音が静寂の戦場に轟き響き、緊張が最高潮に達した其の刹那。

 

「っおぁ!?」

「なっ──────」

「あぶねぇ!」

「うわぁああああ!?!?」

 

ペッパーが真界観測眼を使用した僅か一秒後、両腕を丸めた皇金世代の左腕のレーザーソードが、超々々々高速かつ超々々々射程を両立した()()を放ち、其の射線上に在る『全て』を横一閃の下に薙ぎ払う。

 

金晶独蠍"皇金世代"の()()()()……………其れは瀕死の状態に陥るor尻尾の聖剣破壊で移行する、発狂状態たる『激昂月光態(バーストモード)突入から体内の残存魔力が10%を切った瞬間』に発動し、残存魔力全てを『両鋏と聖剣の存在した位置に収束』。

 

超高濃度に超高濃度の乗算によって圧縮された、『線』による()()()()()を以て、己の象徴を奪った宿敵を灼き断つ一閃──────『崩月閃(ほうげつせん)』を繰り出すのだ。

 

余所見=命取りなレーザー抜刀を前に、ペッパーは他のプレイヤー達が避けている事を信じて、皇金世代が命を賭けた最強の攻撃に立ち向かう。

 

(真界観測眼の思考加速に加えて、成神の動体視力と反射神経強化で回避出来た一回目の斬撃!皇金世代は俺達の腰部中心の『仙骨』の辺りを狙って来た!ジャンプするにしても屈むにしても、大きなアクションで隙を作らせる為の初撃!)

 

グランシャリオによる刺突のアクションで、ウツロウミカガミの反射使用。空中歩行スキル『フローティング・レチュア レベル6』点火で夜空を踏み離れた所を、墓守のウェザエモンの代名詞たる『断風(たちかぜ)』より遅く。

 

されど思考加速や動体視力強化無しでは避ける事が不可能に近い一閃が、切り離され取り残されたペッパーの虚像を貫く。

 

(そして今!此の瞬間に『間に合った』!!!)

 

今使える筋力関係の強化(バフ)スキル全てと、複数のスキルを点火。三度目の閃光が聖剣より放たれ、其の光は再び夜空に浮かんだ虚像を斬り裂き。

 

「皇帝陛下、御覚悟ッッッッッッ!!!」

 

煌々たる光に産まれた影の中、夜空を走った流星の一突きが黄金に輝く蠍達の皇帝の頭蓋を貫き。星剣と共に流れ込んだ莫大な電撃が、高い戦闘スキルを内蔵せし脳髄に流し込まれたのだ。

 

ペッパーが使ったのは筋力関係の強化スキルに加え、空中を最高速で駆け走る旭天昇昂(きょくてんしょうこう)に、最高速時にソニックムーブを纏う轟烈迅速(ヴスティオ・ファーレ)。空中での発動が能力を更に向上させ、全モーションに絶大な恩恵を与える神威光臨進(かむいこうりんしん)、一歩目限定で使用者に超加速を齎す星天秘技(スターアーツ) シューティングスター。

 

視界に齎された星帝剣グランシャリオが繰り出せる、最高火力への道筋(ルート)を示せし星幽界導線(アストラルライン)の軌道をなぞった果てに、フィニッシュに最上位の刺突ダメージを叩き出す終極刺突(グルガ・ウィズ)で皇金世代の脳を守る金色の頭蓋に放ち。

 

刺突及び斬撃攻撃によるダメージの軽減を許さず無効化されない、神の名を持つ不滅の鍛冶師が打った『刃』は、一点に収束・凝縮された一突きとなり、皇帝の頭蓋を貫いて脳髄まで到達。嘗て神代最強の英雄が使用した『雷』が乗り、内部までは堅牢で無かった脳髄に莫大な電気エネルギーが注入されたのである。

 

『ギィイイイイイイィィイイイ!?!?』

「魔力切れでは死なせないぞ、皇帝陛下!俺がキッチリ、トドメを刺してやるッ!」

 

流れ込む蒼雷に皇金世代が嘗て無い悲鳴を上げて暴れんとするが、ペッパーは更に深くグランシャリオの剣芯を奥へと押し込み。焼かれ焦がされていく皇帝陛下の脳髄へ駄目押しとばかりに高出力の竜巻を装備した剣武器から発生させる、偉風導動(リーガルック)を起動して風雷の相乗効果による、真のフィニッシュムーヴを叩き込んでいく。

 

軈て成神の効果が終了し、グランシャリオの鋒を引き抜いた時には、頭と目と口から黒煙を出す皇帝の姿在り。其の目はペッパーを睨み付け、攻撃を仕掛けんと尾を振るうが、両眼からは遂に光は失われ、雄々しき金色の巨体は水晶の戦場にて倒れ伏し、遂に起き上がる事は無かった。

 

「……………金晶独蠍"皇金世代"。水晶群蠍達を従え此の地に降臨し、磨き重ねた数多の剣技を振るう、偉大なる皇帝よ。俺は…………いや俺()は貴方を相手に用いる手札を使い、俺は天将王装という切札とグランシャリオという鬼札を用いなければ、勝つ事が難しいと思う程の強敵だった。俺達は貴方との戦いを決して忘れない…………戦って下さり、本当に──────ありがとうございました」

 

金晶独蠍"皇金世代"の全身を構築するポリゴンが崩壊する中、ペッパーは未だ風が渦巻く剣と刀握りつつ、消え逝く黄金世代へ感謝の言葉を捧げ。

 

巨体を構築するポリゴンは爆散し、報酬となるドロップアイテムが彼の目の前に広がると共に、ペッパー達がレベルアップを遂げた事を報せるSEが鳴り、スキルの新規習得や進化スキルを示すウィンドウ画面が取り囲み。

 

そして不世出の存在を討伐した事を示す『リザルト画面』が、ペッパーの前に現れたのだった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モンスター不世出(エクゾーディナリー)……解明(クリア)!』

『討伐対象:金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"』

『討伐者プレイヤー名:ペッパー・天津気(アマツキ)

『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』

『称号【黄金革命(おうごんかくめい)】を獲得しました』

『称号【金色(こんじき)(かがや)不夜(ふや)(そら)】を獲得しました』

『討伐者プレイヤー:ペッパー・天津気が、不世出の奥義(エクゾーディナリー·スキル)皇金時代(ゴールデンエイジ)】を習得しました』

 

 

 

 






革命成就





不世出の奥義(エクゾーディナリー·スキル):皇金時代(ゴールデンエイジ)

習得条件:金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"を討伐する。

効果:発動時点で使用者が所属しているパーティの人数と、効果適用中に発動者を除く、戦闘に貢献しているプレイヤー・モンスター・NPCの数を参照して、其の数が少ない程に発動者のステータスが上昇する。

此の効果は人数が少ない場合は効果時間が長く上昇数値は微小となり、人数が多い場合は効果時間が短く上昇数値は莫大となる。再使用時間(リキャストタイム)は7日。

屈強なる数多の民を持ちながらも、種族を護らんと独り敵と戦う、絶対なる帝王の誇りと矜持。其れこそが不世出の奥義。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。