朝から頑張る
じんわりとした夏の陽射しも、朝方で有るならば少しは涼しく感じるのは、気の所為では無いだろう。
朝七時に目を覚まして布団から起き上がった後、布団を畳んでランニングに適した服装に着替え、洗濯機に寝間着と洗剤を入れた後、帽子とサングラスを付けて部屋の鍵を掛けた梓は、無理の無いペースで十五分程のランニングを行い。
部屋に戻って鍵を掛け直し、今日の夕方に永遠の居るマンションに向かう事を踏まえ、途中買い物をする時間を逆算して、午後二時前に出立準備を完了するべきと判断。
シャワーを浴びて髪を乾かしリフレッシュから朝食に食パンと牛乳で軽めな物で済ませ、歯磨きとトイレをした後にマグカップ一杯分の水を飲む。
部屋の窓を開けて空気の循環を作り、VRヘッドギアの動作確認をして布団をもう一度敷き、スマフォでアラームを設定した後、シャンフロの世界へとログインしていく。
今日やるべき事は色々有るが、先ず手始めにシグモニア
兎御殿にて
エンハンス商会に向かった彼は会員証を提示してVIPエリアへ招かれ、昨日殴り込んだ
其れから十数分後には、メラゼイト含め訪れた鑑定士達に様子を見に来た店員達全員が、文字通り目を見開き、度肝を抜かれる結果となった。
鑑定士による鑑定を待つ間、ペッパーはメラゼイトから「エンハンス商会の筆頭株主に成りませんか?」と言われ、理由を聞いた所「最近ラピスという開拓者が我々や他の商会に宝石や鉱石を用いて織った糸や布を売っており、裁縫の職に携わる開拓者や御婦人に非常に好評である」らしく。そして其のラピスが今の領域に至れたのも、彼女の話を辿れば『
暫く思考を経たペッパーは「解りました」と述べて、エンハンス商会の筆頭株主となる事が決定。此れによって本来なら他の店でも中々仕入れが無く、入手するにしても難易度が高い蘇生アイテムの『
そして鑑定士による宝石塔の鑑定が終了し、結果は『宝石塔の大きさに中から採掘出来る鉱石に宝石の質を踏まえれば、先ず間違い無く二十数〜三十億マーニは下らないでしょう』と言われ、交渉によって二十六億マーニの大金を手にして一気に大金持ちに。
エンハンス商会筆頭株主を証明するカードを貰い、筆頭株主にさせて貰った御礼として、水晶巣崖で圧し折った宝石塔をもう一本無償でプレゼントし、エンハンス商会の面々を唖然とさせた上で後にする。
エイトルドの八百屋で野菜・生鮮店で卵に肉、食料店で飲料水に油やパンに携帯食料、更には道具屋で回復ポーションに状態異常回復アイテムを購入し、其れ等全てをインベントリアへ収納。本題となる新大陸屈指の危険地帯・シグモニア前線渓谷内の空洞に在る、サンラクが所有しているブリュバスへとゲートを使って飛んだのだった。
「ウィンプさーん、サイナさーん、ヒトミさーん、サミーちゃんさーん。生きてますかー………って、おぉ〜………コレはまた良い生活空間になってる」
「部屋みたいなのさ」
『グルルン』
ブリュバスから出つつ薄暗い洞窟内を見渡せば、味気無かった空間には質の良い家具達が置かれ、キッチンやシャワールームらしき空間が一角設置されてリフォームが施された、生活感溢れる洞窟となって、来訪者達を御出迎えしてきた。
「来たか、
開口一番に声を掛けたのは、ペッパーと契約した征服人形ことカルネ=
そして其の後ろではサミーちゃんが蜷局を巻きつつ見守り、此方に気付いてか舌をチョロチョロと出し、小さく『シュ〜』と鳴いてきた。サミーちゃん流の挨拶なのだろうか?なので軽い会釈をして返した所、ウィンプとサイナが此方に気付いた。
「あ!あんた、なんか『やしゃい』もってる!?」
「やしゃい………野菜ですかね?まぁ、飲料水とか含めて購入してインベントリアに入れていますが………」
「解説:個体名ウィンプは現在、アーミュレット・ガルガンチュラから採取出来るゼリーマテリアルを、油で熱して煮込むという調理法を試そうとしています」
「油と鍋に熱する…………其れって『アヒージョ』ですかね?丁度そういう調理で作られた料理が其れなんです」
軽く調理工程を説明し、インベントリアから購入した野菜等の食材を食べられる分だけ引き出せば、サイナとヒトミのサポートの元でウィンプは調理を開始。
毒を仕込まないかとアイトゥイルにノワも監視する中、包丁を使って皮を剥いた人参やジャガイモらしき根菜を中心に鍋へ入れ、サイコロステーキサイズにカットされたゼリーマテリアルと食用キノコを加え、半分程浸る程度の油を注ぎ入れて火に掛ける。
熱され沸々と油から気泡が沸き出し、野菜の甘い香りが漂う中、仕上げに卵を一つ殻を割って入れて半熟状態になったタイミングで火から上げた事で、アヒージョが完成した。次いでに自分が所持しているフライパン等で、インベントリアの中に在るハードラッグ・ライノの肉を切って、ノワが食べる用のステーキを焼いて皿に乗せ。
シンクの貯水タンクに飲料水を加えて補充から、調理器具達を洗浄してインベントリアに再度収納した。
「けっこーかんたんにつくれるのね、あひーじょ?だっけ」
「えぇ。ゼリーマテリアルの緑も踏まえると、こういう彩りの有る料理も悪くないかなって。どんな味になったかな?」
ステーキを置き「待て」をさせておくと、尻尾をブンブンと振りながら今か今かと、焼かれたハードラッグ・ライノの肉を見つめている。「良いよ」と言った瞬間にノワはステーキに齧り付き、御満悦な表情で咀嚼しては喜びを全面に表す様に尻尾を力強く振り続けていた。
そして本題となる、アーミュレット・ガルガンチュラのゼリーマテリアルを使ったアヒージョ。スプーンを使って掬い上げると、ドロリとした見た目でサイコロ状の形が崩れた半固形状態であり。物は試しと口に運んでみた結果……………
「とろっとしてておいひい………!」
「油に溶けた具材の旨味や匂いが、ちゃんと染み込んでてイケるなコレ。うん、悪くない」
「人参が甘くなってホクホクなのさね」
普通に美味しい状態になっていた。
「
「
「賛成:手始めに
「
サイナとヒトミが作戦を練り上げる中、アヒージョのシメはパンと相場が決まっているので、インベントリアから購入したパンを取り出して適度な厚さに切り分け、旨味成分がたっぷりと染み込んだ油に浸けて口に運べば、此れがまた美味い。試しにウィンプやアイトゥイル、ノワにサミーちゃんにもアヒージョの油が染みたパンを渡してみたが、どうやら気に入ったらしくハムハムと味わっている。
そうしてアヒージョを完食した後は食器と調理器具を洗って、ウィンプから元々置かれていた場所を教えて貰い、ペッパーが片付けを行って。回り道にこそなったが、トレイノル種とフォルトレス種の素材ゲットの為に行動を開始したのであった…………。
挑戦しよう