VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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さぁ、始めよう




戦火の中にこそ、揺るがぬ己を見る

シグモニア前線渓谷(フロントライン)

 

現実世界(リアル)の列車砲を彷彿とさせる超大型百足種こと『トレイノル・センチピード』と、要塞其の物と喩えるべき超巨体蜘蛛種こと『フォルトレス・ガルガンチュラ』と人間大の『アーミュレット・ガルガンチュラ』が居る此の地域は、二種による生存競争によって日夜轟音が絶える事は無く。

 

そして其の中心地に在る大王冠たる『ツァーベリル帝宝晶』から放たれる莫大な魔力は二つの種族にとってはエネルギー源と同義で有り、同時に巨大結晶が生える場所に住む水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)の亜種個体『帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)』達が、二種族の大戦争にブチ切れて上層部からビームの雨を振り散らすという、傍から見ても全員一致で『地獄絵図』の結論を出す、新大陸の樹海地帯も真っ青な場所。

 

「良いね、良いねぇ!!ビームも降り注いで来て、楽しくなってきたぁ!!!」

 

ブリュバスのベッドでセーブし、戦場に躍り出て開戦のゴングを高らかに鳴らしたペッパーは、今回の戦闘に置いてはフォルトレス・ガルガンチュラ()勝たせる方針で動いてる。

 

死の気配に満たされて肌身ヒリ付く戦場の中、集律視標着目(ワーナリー・スポットヘイト)によって敵の注目を一身に集めたペッパーは、擂り鉢状に削れた大地を駆け回るトレイノル種の雌個体の『トレイノル・センチピード・グスタフ』の背中に着地。

 

見つめる先には小さく見えども、其れでも超々巨大な要塞と言わざるを得ないフォルトレス種の雌個体『フォルトレス・ガルガンチュラ』が、雄蜘蛛にして砲弾のアーミュレット・ガルガンチュラをブッ放し、上層では帝晶双蠍の放つビームがキラッと光りて、宙を舞うアーミュレット達を貫いて連鎖爆発となって輝いている。

 

「おっとととっとぉ!!!」

 

予備動作にトレイノルの移動先を注視、走る列車砲から途中下車すれば、ビームがトレイノル・センチピード・グスタフに直撃し、更に降り注いだアーミュレットが身体に取り付いて爆発。

 

甲殻や砲塔に大ダメージを与えるがグスタフは其の程度では止まらず、谷底を走り抜けて道中の進行上のアーミュレット達を轢き殺し、巨体を支える脚の一本に巻き付いて絞め上げて圧し折りに掛かり。

 

対するフォルトレス・ガルガンチュラは、アーミュレット達をフェロモンか何かで操っているのか、ワラワラと群がったアーミュレット達が自爆してダメージが加わり、拘束が緩まり。されど全身の亀裂が広がろうが砲塔にダメージを受けども、グスタフは止まらずに再度巻き付いたかと思えば無事な砲塔で足関節に毒砲撃を叩き付ける。

 

「脚から離れて貰おうか、トレイノル・センチピード・グスタフッ!」

 

空中を疾走したペッパーが肉薄から、左手に展開した傑剣への憧刃(デュクスラム)を片目にブッ刺し、晴天流(せいてんりゅう)雷鳴(らいめい)」を起動しつつのレテ・バニッシャーが進化した事で、頭部への攻撃でクリティカルを出せば『確定十秒の気絶効果』が付与された拳撃スキル『睡神の拳撃(ヒュプノック・アウト)』。

 

駄目押しに使用者の拳限定で耐久力を超絶強化する『アルテア・メダリオンフィスト』、衝撃の一点集中による貫通から衝撃伝播による敵の身体全体へのダメージに強化された『渾魂擘撃(ストライク・ゲネセクト)』を点火。突き刺した傑剣への憧刃の柄尻に、超絶硬化状態の右拳による渾身の一撃を叩き付ける。

 

傑剣への憧刃の刃先を震源として、目から脳と頭部へと伝播した衝撃は、雷鳴の電撃により更なる伝播となってグスタフに少なく無い、決して無視出来ぬダメージを与え。そしてギリシャ神話に置いて『眠りの神』の名を冠する一撃は、グスタフの意識を一瞬で狩り取り止めた事で、列車砲百足は此の戦場で致命的な隙を作る事となり。

 

ペッパーが英傑が振るいし剣を引き抜き離れて僅か数秒、フォルトレス・ガルガンチュラの鋭利な脚先による踏み付けで貫かれ、アーミュレット達の群体爆発によるコンビネーション攻撃が炸裂し、オーバーキルとばかりに帝晶双蠍達のビームの雨が、フォルトレスと死に体のグスタフに直撃した。

 

「トレイノル・センチピード・グスタフ。フォルトレス・ガルガンチュラを相手に、一歩たりとて退かぬ確かな闘志と巨大なる敵に立ち向かう姿勢、大いに学ばせて貰った。次に出会ったなら、今度はお前と共闘したいぞ」

 

グスタフを構成するポリゴンが爆発四散し、ペッパーにセットされた神秘(アルカナム):運命の輪(ホイール·オブ·フォーチュン)と、アイトゥイル・ノワのパーティーメンバーは有れども単独(ソロ)討伐によって、グスタフの素材達が大量にドロップ。

 

急いでインベントリアの中へと回収していけば、此の戦場でフォルトレスが『生き残っている事』がトリガーなのか、地面を突き破って戦場に躍り出たのは、トレイノル種の()()()()の『トレイノル・センチピード・ドーラ』が出現。

 

ダメージを負っていたフォルトレスを一蹴するかの如く、超巨大毒液砲弾を叩き付けて隙を作り出すや、巨体を巻き上げて傷付き亀裂が出来た身体を圧し折り、上から降り注ぐビームの暴風雨が着弾してフォルトレス・ガルガンチュラに大ダメージが入り。

 

其の時戦場が大きく揺れ動き、地面の底をブチ抜いて現れた『巨大な脚』が、死に体のフォルトレス・ガルガンチュラを貫き殺し、金切り声の様な威嚇を放つ『フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレス』が出現、今再び戦場は混乱の一途を辿り出す。

 

「出たな、トレイノル・センチピード・ドーラにフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレス………!此処からが正念場だぞ、気張れよ俺ッ!!!」

 

砕け散ったフォルトレス・ガルガンチュラの素材達を回収する中、不倶戴天の敵と相対した事でエンプレスの叫び声を皮切りにアーミュレット達がエンプレスの背中に向かい出し、ドーラが巨体を畝り唸らせて戦場を駆け回る。其れに呼応してキレた帝晶双蠍がビームを再び放ち、戦場の至る箇所で爆発と轟音が、肌身と鼓膜を震わせて生きている心地を失わせていく。

 

「上等だ、燃えてきたぜ…………!!」

 

誰にでも解る逆境、其れは同時に『好機』で有ると誰が言ったか。戦争によって被害を被るのは罪無き人々で、当事者達は見えない所で金儲け…………ある意味『現実世界(リアル)の戦争地域に置ける大国勢』の立ち位置と同じだと気付いたが、そんな事より此の大チャンスを逃す方が大損だ。

 

「蜘蛛も百足も狩り取って!!其の素材を全部有効活用してやるよ!!!!往くぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ボロボロになったが、やっと倒せた。本当に楽しかったなぁ………」

「あ、ペッパーはん。三十回目のおはようなのさ」

『ワゥン!』

「アイトゥイル、ノワ、ただいま」

 

トレイノル・センチピード・ドーラとフォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスによる大怪獣バトル、もとい大戦争は最終的にペッパーがドーラを傑剣への憧刃の斬撃連打とエンプレスの操るアーミュレットの力を狩りてダメージを重ね続け、トドメは『終極刺突(グルガ・ウィズ)』を超上空からの落下エネルギーを加えて、ドーラの脳天に英傑の刃の鋒をブチ込み息の根を止めて。

 

エンプレスはドーラの超巨大毒液砲弾と巨体による絞め上げ、帝晶双蠍のビーム砲撃の一点集中による脚の破壊、そして傑鉄への鐵鎚(タウスレッジ)を用いて鎚武器スキルの連打と、鎚武器による衝撃が『内側から敵の重要器官に()()し、敵の肉質に関わらず()()()()から炸裂する』という、恐るべき効果を内蔵した『致命極技(ヴォーパルヴァーツ):爆鎚型(ばくついがた)断層激震(ダンソウゲキシン)】』で脳と脊髄を破壊し尽くし討伐。

 

最期はペッパーが、エンプレスの素材全てを回収した所に殺到した帝晶双蠍のビームの雨によって殺され、誰も居なくなった事で決着した。

 

ブリュバスのベッドにてリスポーンし、ゆっくりと起き上がったペッパーは、耐久力が限界手前になったライノベレーの帽子をインベントリに収納し、インベントリア内に収められた素材の数々にホッコリ笑顔を浮かべる。

 

「トレイノル・センチピード・グスタフとドーラは、甲殻に砲塔と砲塔の欠片に筋繊維、更には脚と心臓と触角に顎。フォルトレス・ガルガンチュラとエンプレスは外殻に皮膚と毛に顎、脚に器官や砲塔等々………。此れだけ在ればビィラックさんの手で、一式装備や武器含めて色々作って貰えそうだ」

 

時刻を見直せば午後二時手前という、およそ六時間もの間ブッ通しで二種族の雌個体+女王個体を相手に戦っていたという事実を、ペッパーに突き付けてくる。其の上、自分で決めた永遠の住むマンションへ向かう為の準備時間が迫っている事から、ログアウトする事にし。

 

ブリュバスでセーブからログアウトでペッパーから梓に戻った彼は、早速移動に向けた準備を整え始めたのであった…………。

 

 

 






混戦にこそ活路を見る


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