VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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百の心




人は燻った感情を想いとして伝える事で整理が付く生き物

斎賀(さいが) (もも)は此れまで、恋という物を知らなかった。

 

更に言うならば、シャンフロで己の心を奪い取ったリュカオーンの討滅こそが目標であり、恋という物等は其の当事者達がしていれば良い……………そんな『割り切った感情』の、そして其れは自分に対する『諦めからなる物』でもあった。

 

彼女に転機が起きたのは、シャンフロの世界で未だ新人だったペッパーとの出会いと交渉、そして其の時に割り込んで来た天音 永遠……………廃人狩りと恐れられるPKer アーサー・ペンシルゴンを含めた上での『やり取り』から始まる。

 

最初に出会った時の彼の第一印象は『極めて普通な見た目』という物で。だが話を聞く内に、其の印象は『最強種たるリュカオーンに対抗出来る数少ない人材』という認識に変わり、天音(あまね) 永遠(とわ)という人間の()()を理解した上での発言を、彼女自身微笑ましくも羨ましいと思えた。

 

ウェザエモンを討伐した後の会談や、ゴルドゥニーネの情報を齎しての援軍要請をしに来た時も、彼の『誠実さ』はクランの長としての風格や威厳に確かな『力』を齎し、其れが有るが故に、其のままならば空中分解してしまうだろう、一癖も二癖も有るクランメンバーを纏め上げる事が出来たと、今はそう確信している。

 

そして彼女にとっての『決め手』になったのは、やはり『クラン対抗戦』と『ペッパーがクターニッド撃破報酬で入手した青の聖杯による性転換絵本朗読』であり。

 

斎賀家の親族たる龍宮院家で、剣の道を志す者ならば知らぬ者等唯の一人とて居ない、当代最強の剣聖とまで謳われた人物『龍宮院(りゅうぐういん) 富嶽(ふがく)』の影を纏い、数多の武具と技術を用いた初見殺しの手札の数々で己を打倒し、戦いが終われば『ありがとうございました』と礼節を以て締めくくった事。

 

其の戦いの後、ペンシルゴンから話を聞いて胸の内に不思議な感覚が宿り、絵本朗読によって其の感覚は強くなり。最期は現実世界にてペッパーが…………五条(ごじょう) (あずさ)が天音 永遠と眼前でイチャコラし始めた事により、遂に感情が爆発。

 

「永遠を抱くなら、私も抱けぇ!?!?!」

 

普段冷静な自分なら『絶対に言わない』だろう言葉を叫び、上着とブラジャーを取っ払うという突拍子も無い行動を取ってしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった。

 

「梓君、いや梓………!永遠を抱くなら、私も抱け……!抱いてくれ…………ッ!!」

 

もう一度言おう、何がどうしてこうなった。

 

大の大人が目の前で泣き出しながらに、抱けと懇願してくる此の状況に、ターゲットの梓と下手人の永遠でさえも困惑の表情をしていた。

 

「あ〜、えっと、モモちゃん?取り敢えず落ち着こうか?」

「目の前でおっ始めた、お前にだけは言われたくないんだがッ?!」

 

全く以て御尤もですわ。取り敢えずファスナーを上げて、ベルトをキッチリ付け直し、ソファーとセットになって置かれているクッションを手に取り、彼女のメロンレベルの豊満な胸では無く、今も泣いている彼女の目を見ながら渡して隠す様に促して話を聞く。

 

彼女の話を聞く内に解ったのは、永遠との会話やシャンフロに置ける自分の活躍を聞き、実際に刃を交えて戦い合った事で自分の内に今までに無い『感情』が灯って、其れが段々と大きくなり、胸の内にて燻っていた事。そして目の前で永遠がヤろうとしたのを見て、内なる感情が爆発したのだと。

 

──────うん、自分のせいだわコレ。

 

「永遠、どうするよ。自分で火種持ち込んで、自分で後始末を付けない………なんて真似はしたく無いだろ?」

「無意識に人誑ししてる、スケコマシのあーくんに言われたくないんだよねぇ?」

「自分なりに相手を思って行動してるんだけどなぁ………」

「…………そーゆー所がスケコマシなんだよ。もっと自分の言葉に責任を持ちなさい」

「えぇ…………」

 

だが此のまま何もしないで解散なんてしたならば、永遠と百の間に少なく無い『禍根』を残す事になる。オマケに此の手のイベントでミスをすれば、直接バッドエンドルートに叩き落された挙句にバットエンド直行という、一回個っきりのライブゲームで例えれば、最早『人生終了』の選択肢のみしか残らない。

 

思考をブン回しながら、どうすれば全員が納得出来る答えになるかを梓が必死になって導こうとしていれば、永遠が何かを閃いてニッコリ笑顔でこう言ったのだ。

 

「私的には、あーくんがモモちゃんに手を出しても、浮気だとは思わないよ。私より先に『他の女に子供を身籠らせない限りは』だけど」

「何言っ「あ"?」──────イエナンデモナイデス」

 

唯の一言ながら絶対的な力が込められた其れに、梓は萎縮して黙ってしまい。そして永遠は梓にキスをして、首筋に己の歯を突き立てて歯型を残(マーキング)した後、衣服を脱ぎながらにこう言ったのだ。

 

「私のあーくんなら、私を裏切った場合の『リスク』もちゃんと考えてるだろうし、前に行った『あーくんの家族達』の事も踏まえれば、絶対にそんな事をしないって信じてるからね」

 

「でも」と言って正面に陣取り。一糸纏わぬ産まれた姿になった永遠は梓の膝上に座り、ソファーの背凭れに両手を突いて、所謂『壁ドン』の体勢を取りながら、ハイライトが消失した瞳を向けて宣言したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「万が一、億が一でも()()()()()()…………私はあーくんを『一生縛り付けるから』。そうしたら『もう何処にも行かせないし』、『もう二度と逃がさないし離さない』。私の部屋に閉じ込めて、毎日絞り尽くして。私以外の女に、絶対に反応出来ない身体にするから。……………覚悟してネ?」

「………………仰せのままに」

 

 

 

 

 

 

 

我が恋人のヤンデレ具合がヤバい方向に飛躍している事を踏まえて、避妊は徹底的にしなくてはと心の内にて堅く誓いを結び。そんな此方の視線から意図を読み取ってか、瞳にハイライトが灯った永遠が振り向き、ニッコリと笑みを浮かべれば。

 

クッションで胸を隠していた百が、スカート・ストッキング・下着を外して、永遠と同じ産まれた姿になる。言い方を変えれば『整ったスレンダーな身体付き』をしている永遠と、彼女と対象的に『グラマーな身体付き』の百という、世の中の男子組から血涙を流して恨みや妬みを向けられる、謂わば『両手に花』と言える光景を目の当たりにして。

 

「其れじゃ、ベッドでヤろうか?あーくん」

「わ、私は初めて………だから、優しく………頼むぞ?其れから…………シャンフロの予定も有るから、な?」

 

両手を引かれ、梓は己の人生が色々とヤバい方向に向かっていると確信しながら、永遠の部屋のベッドルームに向かう事になり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美女二人に食われるまで、そう時間は掛からなかった。

 

 

 






一線を越えて


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