VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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交わりの先




道は遠く、磨くが故に価値を持つ

現実世界で天音 永遠と斎賀 百の二人の美女を抱いて、およそ一日半の時間を過ごした其の翌日。

 

コンビニのバイトを終えて午後三時に帰宅から、シャンフロにログインしたペッパーは、シグモニア前線渓谷(フロントライン)に在るブリュバスのベッドで目覚め。相棒のヴォーパルバニー・アイトゥイルに、ユニークモンスターの一柱たる夜襲のリュカオーンの分け身たるノワ、そして自身と契約した征服人形のカルネ=103(ヒトミ)と合流。

 

アイトゥイルの開いたゲートを潜り抜けて、先ずはラビッツにてビィラックが修繕した残りの銃達と自分の武器を受け取り、シグモニア前線渓谷で狩ったモンスターの素材を渡して新しい武器防具の製作、他に消耗した武器防具の修繕を複数依頼。銃に関してはクランメンバー全員に通達し、修復された銃達の振り分けをする事に決め。

 

そして出立前にペッパーは、ビィラックから以前頼んでいた水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の素材を用いた『新たなる甦機装(リ·レガシーウェポン)』を受け取って、アイトゥイルが開いたゲートを再び潜り。

 

向かったのはファスティアに出現以降、入場制限:レベル50以上という条件を満たした者達を招き入れ、様々な試練を以て二号人類種を観察・育成する恒星間航行(バハムート)級アーコロジーシップ・三番艦のベヒーモス、統括AIの『象牙(ゾウゲ)』による節操無しの生態系シミュレートによって産まれたモンスターが闊歩する、第三階層に来ていた。

 

「あ、ペッパー。ベヒーモスに来たんだ」

「やぁ、モルド。って事はルストも居…………るみたいだな、うん」

「あはは…………第六階層で戦術機を手に入れてから、あんな調子でね………」

 

モルドが遠い目で視線を向けた先、量産戦術機の一つ・ボールメンで環境生物相手に笑顔で無双しまくる、ルストの姿を彼は見た。其の挙動たるや、まさにロボット物のゲームやアニメにコミックの強キャラが到達する極地──────『人機一体』の其れに等しい物で。

 

彼女の周りには同じく戦術機を手に入れて、いざ大暴れせんとしていたのが、ルストの高い操作技術に釘付けにされて足を止め、其の隙を見逃さない環境生物達の横槍に吹っ飛ばされ、自分達がピンボール体験をしている。

 

「因みにペッパーは?」

不世出の存在(エクゾーディナリー·モンスター)を討伐して得た新しいスキルの試運転と、新しい武器の感触を確かめに。人数が重要だから、ちょっと協力して貰っても良いかな?」

「其れなら良いけど、何人必要?」

「アイトゥイルとノワにヒトミさん、其れにルストとモルドも居るから最大で九人かな」

「解った。ルストを呼んでくるよ」

 

おそらく第六階層で手に入れたであろう『無線』らしきアイテムを用い、モルドはボールメンを操作中のルストと会話をしている。そしてペッパーが居る事に気付いた他のプレイヤー達も殺到して来るのを見、アイトゥイルとノワを抱えて遠い目をしながらも、此処へ来た目的の()()たる『あるスキル』の事を脳内に思い浮かべた。

 

其のスキルの名は『武司の神業(ゴーヴァント・マルス) レベル1』と『神剣大義(フツヌシノギ) レベル1』、そして『翼神の黎撃(ニーケ・インパルス) レベル1』という物で、此の三つのスキルは『不世出の存在(エクゾーディナリーモンスター)金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"の討伐によるレベルアップ』で新たに習得したスキル達の一部である。

 

武司の神業の能力は至ってシンプルな物で、スキル使用者が『現在装備している武器の能力を大幅に向上する』他に、其の武器に()()()()スキルを使用すると『効力と補正がスキルレベルに応じてボーナスが追加』。

 

神剣大義が『剣や刀系列武器を使用してダメージを与える時に、使用者の攻撃モーションとモーション感度を超強化する効果』を持ち、要するに『斬撃スキルを重ね掛けて使用するとダメージの補正や出力が凄まじく向上する』…………という物。

 

そして翼神の黎撃はスキルの再使用時間(リキャストタイム)が異様に長いのだが、『攻撃命中時に算出されたダメージにスキルレベルの数値を倍率に加えて叩き付ける』…………即ち今の段階ならば、『ダメージ+其のダメージに1.1倍の()()された数値分を直接与える格闘スキル』なのだ。

 

神の名を冠しながらもレベル表記が為された三つのスキルだが、其のどれもが『只成らぬ気配』を持っているとペッパーは感じている。火力か、能力か、或いは美麗神(サラスヴァティ)のスキルシリーズの様に、スキルの中に『幾つかの派生が存在するタイプ』なのか。

 

そんなこんなしている内に、ボールメンを操るロボゲー推しのルストを含めたロボゲー好きの面々、第六階層で銃を手にして更なるアタッチメントや銃種を手にしようとしているプレイヤーや、第八階層で得たスキルを検証していたライブラリにプレイヤー達が合流し、彼を囲んで。

 

一先ず事情を説明、アイトゥイルとノワとインベントリアに居るヒトミ、ルストとモルドに+九人の計十五人の即席パーティー結成から、ネフホロチャンピオンコンビにアイトゥイルとノワを預け、見た目はガーゴイルの身体に蟷螂の特徴たる鎌が合体した環境生物の一体、リョウマ3-3とペッパー達が相対する。

 

「ペッパーさーん!取り敢えずスキル無しから御願いしまーす!」

「了解です」

 

シャリンシャリンと鎌を鳴らし、斬り掛かってくるリョウマ3-3の攻撃を感覚強化スキルで動体視力を高めつつ回避。右手に刻まれた愛呪の権能を灼骨砕身(シャッコツサイシン)で相殺し、インベントリアに収納した新たな武器を………『碧に輝く巨大な水晶の籠手』を取り出す。

 

「其れじゃ、初陣を飾るとしようか!一緒に往こう──────『光帝の籠手(サナラ・ブリル)』ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甦機装(リ·レガシーウェポン):光帝の籠手(サナラ・ブリル)──────ペッパーがビィラックにオーダーし、傑作武器たる煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)に使用する金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)を帝晶双蠍の物に置き換えた所謂『改良版:煌蠍の籠手』である。

 

水晶群蠍の特性たる鉱石を食らう事で同質の性質を手にする特性によって、日光と月光の二種類の異なる光を浴びて変色、其の際に発生する莫大な魔力を放つ『ツァーベリル帝宝晶』と同質の力を持つ蠍の素材を使い産み出された、煌蠍の籠手同様に彼の背丈を上回る大きさと、確かな質量と重量を誇る巨大な籠手(ガントレット)だ。

 

「ペッパーさん、其の装備何ですか!?」

「サンラクが使っている煌蠍の籠手を新大陸に居る水晶群蠍の亜種個体で、複数のビームをフレキシブルに切り替えてくる帝晶双蠍ってモンスターの物に置き換えて貰って作った甦機装(リ·レガシーウェポン):光帝の籠手(サナラ・ブリル)!性能は此れから、両手装備が出来る時間内で証明する!」

 

プレイヤーの誰かの声を小耳に挟み、愛呪相殺の制限時間が迫る中、機動力系強化スキルを起動してリョウマ3-3の間合いに飛び込みつつ、振るわれた右の鎌を左側の籠手で往なして、右側の籠手で鳩尾を殴り据える。

 

「良い硬さだ、気に入った!次はスキルを乗せて打ち据えます!」

「了解です!」

 

振り抜きノックバックで押し込みつつ、拳先をリョウマ3-3と己の中間地点に向け、ペッパーは甦機装達が持つ『制御と活性』の機能(チカラ)を言霊に乗せて解放。売り手が商品をPRするが如く、光帝の籠手の持つ力を発動した。

 

「【発射せよ(Firing-up)】!」

 

ペッパーの言霊を受け、光帝の籠手の左右に備わる二本ずつの計四本の水晶柱が射出、高速で飛翔して第三階層の草原の地に突き刺さる。対するリョウマ3-3は両方の鎌を折り畳み、折れ曲がった鎌の関節から飛び出した突起から『細い針達』を連射。

 

動体視力強化が生きている内にサキガケルミゴコロを起動すれば、脳内にて発現したのは『自身の身体に無数の穴が空いて死亡し、其の針が自分の後ろに居たプレイヤー達も同じ運命を辿った』光景であり。

 

「ッ………オラオラオラオラァァァァ!!」

 

神律燼風(しんりつじんふう)風雲戦律(フローラス・エイル)によるスタミナ消費でのモーション超高速化と、拳撃時の空気抵抗及び空圧による速度減衰の無効化。

 

そしてグローブ形状ではない籠手系武器も対象となり、其の補正値も格段に跳ね上がった『拳掌千手(けんしょうせんじゅ)』と速界見眼(シンクロ・アイズ)の四種のスキル点火により、細針連射を片っ端から殴り叩いて撃ち落とす。

 

「後ろの人達に当たったらどうするんだよッッッ!」

 

レーアドライヴ・アクセラレートで一瞬で移動、数度の瞬間転移挙動で翻弄し、リョウマ3-3の頭部に拳撃スキル・睡神の拳撃(ヒュプノック・アウト)を乗せた左フックで、クリティカルの角度とフォームを以て『こめかみ』をブン殴る。

 

スキルの効果により、十秒間の確定気絶がリョウマ3-3を襲い、其の身動きが止まった。此処から一気に畳み掛けろ!

 

 

 

「行くぞ………此れが試したいスキル!人数が多い程に強さを発揮するという、不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)の一つ!輝け──────『虹華顕燗(ブリリアント)』!」

 

 

 






魅せろ、神代技術の籠手と王妃のスキルの真髄を


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