時間以内に決めろ
其れはペッパーにとっても馴染み深い、
其の能力は『発動者がパーティーのリーダーであり』、発動者以外の『パーティー内のプレイヤー・モンスター・NPCの平均レベルを参照』、其の人数×30秒間のステータス補正を加えるという物。要するにレベル80のプレイヤー八人が居る状態で、レベル74の発動者が使った場合はステータス全体に79ポイントが追加された状態で、270秒間のバフが継続すると見て良い。
「うわ眩し!?」
「…………ミラーボールの擬人化?」
「ぶふっ!?」
「随分とチョベリグな輝き………!」
ペッパーの身体を眩い輝きが包み込む。赤や青に黄、緑と紫に加えて、白と黒に金や銀…………まるで数多の宝石で身を包むが如くギランギランに輝く姿は、傍から見ても価値観がおかしい人間が何も考えずに派手で目立つ服を着て、ネオン街に出歩いている様にしか見えないだろう。
「此の状態で殴ります!」
「了解です!」
確定気絶が付与された状態で無防備な脇腹に、
衝撃にビクン!と身が強張って大ダメージが入ったと解る其れを見ながら、ライブラリの面々はスクショを撮っては同志と共に情報を共有し、ペッパーの使用した虹華顕燗について纏めていく。
「さてと、だ。光帝の籠手の力を見せるか!」
自身の身体から発する数多の輝きに紛れ、発射して地面に着弾した碧い水晶柱から、両手に握られた光帝の籠手に『碧の光』が伸びて取り込まれているのが装備者のペッパーと、外側で見ていたルストには見えていて。
其の光は籠手の巨大水晶内で『反射』を重ね、光が刃の如く『研ぎ澄まされていき』。何時でも其の力を発揮出来ると、装備者に無言ながらも伝えている様にも見えて。
「──────【
ペッパーの言葉が紡がれた瞬間、両手の光帝の籠手に蓄積された『日光の魔力が消費』。刹那に籠手の鋒から『碧い二閃の閃光』が超高速で射出され、リョウマ3-3の胸部と頭部をブチ抜き、風穴を穿ったのだ。
「ビーム!?」
「両方からビームが出たぁ!?」
「マーベラス………!エクセレント………!とっても、とっても…………ベリーベリーグッド!!!」
男の子やロボ好きは共通して、少なからずの『ロマン』を追い求める生物だ。そんな者達を前に『見た事も無い技術』で造られた、此れまた『見た事も無い武器』からロマンの塊と断言しても良い『ビーム』がブッ放されたのならば。興奮は伝播して、狂乱と歓喜の坩堝に叩き落されるのは『必然』の流れで有り。
「ビームでも耐えるとは………だが、此れで決める!」
虹華顕燗と同じく『パーティーのメンバー総数』によってスキル其の物の出力が
不世出の存在たる『
数多の屈強なる蠍達を従えど、自ら戦いの場に赴いて敵を撃滅せんとする、重ね紡いだ象徴たる聖剣を掲げし煌帝の
其処には頭が吹き飛ばされ、背骨が160度まで圧し折れ曲がり、両腕と両脚が痙攣しているリョウマ3-3の見るも無惨な姿であった。
「……………リョウマ3-3よ。次に戦う時は、一撃必殺で倒してみせるぞ」
此の場に居た全員がドン引きの感情を抱く中、ペッパーは冷静さを取り繕いながらも、戦った相手に対する言葉を述べて。灼骨砕身の効果が切れ、両手装備が不可能になった事を報せる画面が眼前に開き、虹華顕燗の効果が終了した瞬間にリョウマ3-3を構築するポリゴンが爆発。
戦ったのは一人だがパーティーメンバー十五人での討伐の為に、ドロップしたのはリョウマ3-3の爪のみであり、ペッパーは一人緊張の糸を解す様に息を吐く。そして此の後に訪れる事が確定している、見学者達からの質問攻めを如何にして乗り越えるかも含めながら、思考を回し始めるのだった。
「ペッパーさん、スキル構成ってどうなってるんですか!!?」
「機動系と高速挙動と強化補助、武器に応じた攻撃スキル幾つか持ってるね」
「光帝の籠手ってどうやって作るの!?ちょー使いたいんですが!」
「光帝の籠手の材料ね。用意する物は
「籠手の装備要求ステータスは?」
「筋力110・技量70・耐久350。耐久に関してはイレベンタルの防具でも事足りるから、装備する場合は自分のプレイスタイルに応じて、筋力や技量強化のアクセサリーで必要分を補うと良いですね」
予想通りと見るべきか、やはりと謂うべきなのか。一息付いたタイミングで見学していたプレイヤーに囲まれたペッパーは、質問攻めの渦潮の中に捕らわれていた。ルストとモルドからアイトゥイルとノワを受け取り、抱っこしながらに答える様子たるや街頭インタビューの母親の其れに似ているのは、多分気の所為では無い。
「さっき一瞬だけ物凄く輝いてたけど、アレは何なの?」
「不世出の奥義の一つで、皇金時代って名前。金晶独蠍"皇金世代"を討伐して獲得したスキルで、パーティーにフルメンバーになる程に効果時間が短くなり、代わりに其の強化の幅が跳ね上がる
「って、ちょっと待って古匠って何!?」
「イムロンさんが出没している、シャンフロの鍛冶師スレに古匠の説明と転職方法が有るから、其れを確認して欲しい」
「金晶独蠍にも不世出個体在ったの!?」
「ライブラリに報告が有ったって言ってたので。そうですよね?」
「えぇ。ペッパーさんの言う通りで、調査班の報告書の中に入ってました」
質問はペッパーが使用したスキルに関してと、光帝の籠手に関する事。同じ質問をされない為には、其の質問に対して派生する質問を予測し、開示出来ない情報と照らし合わせる事で『最適の答えを示す事』が大事だと、ペッパー本人は考えている。
「ペッパーさん、ペッパーさん。虹華顕燗って不世出の奥義ですか?」
「うん。泰山巌宝蛇蟲"昂華堅巒"………クラン対抗戦前に
「マジで!?」
「マジ。作るのに他に必要なのは、通常種の金晶独蠍と
「あ〜…………あのね、ペッパー…………」
「ん?どうしたんだ、モルド」
「ルスト含めて、皆ペッパーの話にドン引きしてるよ」
「えっ」
至極丁寧に説明したのだが、ライブラリ含めて此の場に居た全てのプレイヤーが、あからさまにドン引きという名の戦慄に染まっており。
ペッパーもまた小さく「えぇ…………」と呟いたのであった…………。
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