VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ラビッツへ、もう一度




皇金の遺産

色々な意味で疲れたベヒーモスでの一幕、取り敢えず今日のシャンフロを終える前にラビッツに戻ったペッパーは、ビィラックに対して光帝の籠手(サナラ・ブリル)の事を報告するべく、アイトゥイル・ノワ・ヒトミを連れてやって来ていた。

 

「──────という訳なのですが………」

「無くした。と言ったなら、ワリャを問答無用でブッ飛ばすつもりじゃったが…………、何れ来る『黄金の龍王との戦い』に、其れから先々の戦いを踏まえても渡す方が良い、そう判断したんじゃろ?なら構わん。武器っちゅうもんは誰かに使われる為に在る」

 

ハンマーでぶん殴られる事も覚悟した上で報告したのだが、至極あっさりと許されたペッパーは「本当にすいません」と深々と頭を下げる。

 

「其れにワリャの事じゃ………『材料揃えるから、光帝の籠手の新造を頼みたい』と言うんやろ?」

「………………解っちゃいます?」

「ワリャの顔を見れば大体解る」

 

ノワがまるで『私のモノだから』と言っているかの様に、グルルルル………!とビィラックを威嚇するが、ペッパーは思いっきり撫で撫でし、彼女の衝動を落ち着かせ。

 

そして本題となる『ある物達』を取り出し、ビィラックに見せながら言った。

 

「ビィラックさん。実は光帝の籠手を製作の為に水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)を狩った日、水晶巣崖(すいしょうそうがい)であるモンスターと戦い、紆余曲折の果てに討伐した時のドロップアイテムなのですが………。コレを武器にする事って出来ますか?」

 

そうしてインベントリアから取り出した物………其れはライブラリの三人のプレイヤーたる天鞠(テマリ)・ロック・パイロンの協力を得て討伐した、水晶群蠍を束ねし皇帝たる者『金晶独蠍(ゴールディー·スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"』の、絢爛豪華に輝く素材(遺産)達だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペッパーが取り出し、ビィラックに提示した金晶独蠍"皇金世代"の素材。象徴たる聖剣を始めとして、三段階変形を可能にした剣鋏に超合金たる甲殻や、尻尾・脚・爪等を凝視からの頬擦りと。果てには舐め回しそうになったので、彼女を引き剥がし落ち着かせ、其れから暫く経った事で彼女は答えを示す。

 

「結論から言うけぇ…………。コイツ等の力を引き出すなら、もっと『上質な素材』が必要じゃ」

「水晶巣崖の鉱石や宝石でも駄目な感じですか?」

「そうじゃ。鉱石の中でも最上の階級に在るアムルシディアン・クォーツ、アレでも此の素材達には『釣り合わん』。素材の持つ力を前に鉱石や宝石が負けてしまう」

 

要するに皇金世代の素材の潜在能力(ポテンシャル)を前に、並大抵の…………水晶巣崖の鉱石宝石では『真の力』を引き出せないという事を、彼女程の鍛冶師から通告されたという状態である。ならばやるべき事は一つだろう。

 

「其の素材、取ってきますよ」

「即決か。相変わらず判断が早いの、ワリャは」

 

コホンと咳き込んだビィラックは、ペッパーを見つつもこう言う。

 

「ペッパーよ。ワリャが持つ『聖盾(せいじゅん)イーディス』を出すけぇ」

「解りました」

 

インベントリアを操作し、金と純白に輝く勇者の盾を取り出し見せれば、ビィラックは其れをジッ………と見つめて。軈てペッパーにこんな事を聞いてくる。

 

「ワリャは勇者武器を構築する『物質』を知っちょるか?」

「…………いいえ。ただ知り合いやヴァッシュ先生曰く『星の願いの具現であり、世界が鍛えた物』と言う事くらいしか。ヒトミさんは知っていますか?」

「検索:…………情報を開示。材質と由来は不明なれど、コレは『知的生命体の()()に関わる武器』と推測される」

「知的生命体の願い…………ですか」

 

聞けば聞く程、勇者武器という存在の謎が深まる。遺機装(レガシーウェポン)甦機装(リ·レガシーウェポン)が素材の持つ能力を『活性化』させ、其の力を『人の手で操る為の武装』である。ならば聖剣に聖盾含めた六種の勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)達は、『願いの代行者』の様な立ち位置に居るのだろうか?

 

「単刀直入に言おう…………此の勇者武器と()()の素材が、新大陸には存在する。ワリャは『鉱人族(ドワーフ)』を知っとるか?」

「鉱人族………アラバさんから『ガンダックさん』の名前を聞いた事が有ります」

「彼の種族の住まう火山には、秘する聖地の最奥に『黄金のマグマが湧き出る泉』が在るという話を、ワチは親父から聞いた事が有るんじゃ。其のマグマこそが勇者武器と同質の物、其れが有れば此の素材達の力を引き出せる」

 

ビィラックの説明を聞き、ペッパーは自身の記憶の書庫に在るシャンフロの勇者シナリオの情報と照らし合わせ、そして脳内でビックバンが起きた。

 

(ユニークシナリオ【勇ましの試練】………、確か次の段階のフレーバーテキストには『勇ましき者よ、己が相棒振るいて黄金の手が守りし地殻の扉を開け。その先に万象に打ち克つ鎧有り』と有った………!黄金の手………此れが『黄金のマグマ』だとしたなら、其れを勇者武器の『食い縛り』で突破した先に、勇者専用の鎧………名前的には『聖鎧』が在るって意味なのか!?)

 

勇者武器所持者としても、皇金世代を討ち取った者としても、此の情報を得たならばスルーする等、そんな軟な思考をするゲーマーで無い事をペッパー自身解っている。

 

「となると、其のマグマにも耐え得るだけの超が付く程の『熱耐性の容器』が必須ですね………」

「其れに付いてはワチに『策』が有る。ワリャが出した大量の皇金世代の甲殻、コイツを使って『バケツ』を作る。此れだけ有りゃあ、武器に使う分を捌けても『二個』は確実に作れるけぇ」

「バケツ…………()()バケツ、ですか?」

「其のバケツじゃ」

「マジですか…………」

 

()しもの皇金世代も、まさか自分の亡骸(遺産)の一部を小学校の掃除用具ロッカーに入っている、あの『金属製のバケツ』に使われるとは夢にも思わなかったろう。正直に言って泣いても良いし、寧ろそうなったら大事に使うのは、此の瞬間を以て確定したといっても過言じゃない。

 

「明後日までにバケツを仕立てる。其れと帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)を狩って来たら、ワチの所まで持ってきぃ。注文通りに光帝の籠手を新造しちゃる」

「…………ありがとうございます。よろしく御願いします」

 

深々と頭を下げ、一先ず話は付いた。明日は七天極星(グランシャリオ)のリーダー格のメンバー達による会談。勇者武器所持者のペンシルゴン・サイガ-100・草餅も参加する以上、此の話はしておいて損は無い。

 

ペッパーは新大陸に居るイムロンに、ビィラックが話した黄金のマグマに関する秘匿事項以外で開示出来る部分を記し、伝書鳥(メールバード)を飛ばして送った後、休憩室にてセーブを行い、今日のシャンフロを終えてログアウトしたのであった………。

 

 

 






其れは極上の素材


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