VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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キョージュ達が知りたい事




深淵の鎧は、人に太古の神秘と越え難き壁を示す

「ペッパー君、ペンシルゴン君。君達のクラン:旅狼が保有している『深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)』、そして『白の聖杯』。其れを見せて貰えないだろうか?此の事に関して、我々連盟クランは『装着を要求したり、使用させて欲しいと言わない』。

そして約束通り、此の情報も連盟に在籍するクランメンバー全員に対し『外部に決して漏洩しない』事を此処に誓う。もし違反したならば、其の者には『所属クランからの除籍処分を下す』事を約束する」

 

キョージュからの、或いはクラン連盟側からの要求………其れは七つの最強種(ユニークモンスター)の一角・深淵のクターニッドと力を分け、旅狼が手にした真理書では兄弟の様な存在と記された『深淵を見定む蛸極王装』。

 

自分達六クランによる攻略時には出現しなかった、プレイヤーはプレイヤー・NPCはNPC同士のアバターを入れ替える、反転の聖杯たる『白色の聖杯』を。外部に漏洩しない事と漏洩したならばを、除籍処分とする事を条件に閲覧を要求してきた。

 

ペッパーはチラリとペンシルゴンを見れば、(彼女)は眼鏡越しにパチンと目配せを送り。彼女()は席を立って、インベントリアの中に収めている深淵を見定む蛸極王装と、秋津茜(アキツアカネ)のファインプレーで三つ手に入れた聖杯の一つたる、白色の聖杯を展開する。

 

全員の視線が驚愕や興味に変化する状況で、ペッパーは現在装備している黒之十束(クロノトツカ):百刻式(ヒャクコクシキ)を切り替える様に、頭から順に纏っていき。

 

最後に六道極円盾(リクドウキョクエンジュン)天獄(テンゴク)を左手に握った事により、全員の目の前には『深淵のクターニッド・最終形態の想像態が顕現した時』と同じ衝撃が呼び起こされ、襲い掛かったのだ。

 

「此れがクターニッドさんから託された、彼と力を分けたという一式装備。此方が自分達が挑んだ時にクターニッドさんが使った白色の聖杯………のダウングレードバージョンになります」

「………………想像以上、だな」

「初見で見たら、絶対に『クターニッド』と見間違える自信が有る……………」

「私達が戦った時は『蛸頭のゴリラ菩薩』だったわよねアレ………」

「再び見る事になるとは…………。いやはや全く、恐ろしい物だよ神代の人類は……………」

「凄まじい…………!神代の技術は、本当に底知れないな…………!」

「まさに深淵のクターニッド、ですね…………」

 

ありのままの感想を。苦難を乗り越え、打倒した存在と同類が再び目の前にて現れたならば、絶大な衝撃に襲われるのは必然だった。そしてもう一つの逸品、白色の聖杯の方にも注目が集まる。

 

「アバターを入れ替える力を宿した、白色の聖杯…………。ステータスを入れ替える藍色も在ったが、寒色系の聖杯の能力は凄まじい物ばかりの様だ」

「ダメージの紫に性別の青もそうだけど、やっぱり反転はシンプルかつエグい能力だな…………」

「…………もしかしてクターニッドに()()すれば、聖杯は『一個じゃなくて二個貰えた』のかしら………?」

「Animalia君、其の考察は『アリ』だ。次にシナリオを受注する際に、参加するライブラリのメンバーに『交渉に長けた者』を加えてみよう。後々受注し、挑む者達の指針に成れる筈だ」

 

周回可能なユニークシナリオと、旅狼が複数の聖杯をゲットしていた事で、Animaliaが可能性を指摘してキョージュは次なる時の為に、早速ライブラリの所属メンバーに居る交渉術が得意なプレイヤーに向け、伝書鳥(メールバード)のフクロウを呼び出しからメールを送る。

 

そんな彼等彼女等の様子を見つつ、さて『あの情報』を何時明かすべきかとペッパーは思い浮かべれば、慈愛の聖女 イリステラがジョゼットとクラリスに護衛されながら、此方に歩いて来ており。

 

「ペッパー…………いいえ、今はペッパー・天津気(アマツキ)、でしたね。此れが『深淵の盟主と力を分けた、遥か太古に産み出されたという鎧』なのですね…………」

「はい、其の通りです。イリステラ様」

 

一式装備時限定能力の一つ・巨剛触手(きょごうしょくしゅ)を使わずに答えて。イリステラは透き通る瞳で暫く其れを見た後、「此の目で一目見れた事、感謝します」と一礼し、自分の席へと戻って行った。そして入れ替わる様に聞いてきたのは、カローシスUQとSOHO-ZONEで。

 

「ペッパー君、じゃなくて。今はペパ子ちゃんで良いのか」

「ペパ子ちゃん………何かそう呼ばれてるらしいですね、自分は」

「かなり有名だからね…………。とと、其の一式装備には『如何なる能力』が搭載されているんでしょうか?」

 

やっぱり自重していても社会人のクランを治めるリーダーと、武器防具研究に情熱を注ぐ者の興味は抑えきれない様で。ペンシルゴンを横で見れば、無言ながらも『開示するのは触手だけで』と訴えているのが解る。

 

「秘匿する事と外部に漏らさない事、此の二つを絶対に守って下さい」

「解った」

「了解です」

 

二人の答えを聞き、ペッパーの意志により巨剛触手の機能が解放。八本八色からなるサッシュ上のマントが蠢きながら蛸足型の触手へと変わり、畝り動く姿にペンシルゴン以外の全員の目が丸くなる中、彼女()の意識によって操られた一本が伸び、テーブルに置いていた白色の聖杯を掴んで己の手元へと引き寄せる。

 

「深淵を見定む蛸極王装、一式全種装備時限定で使う事が出来る能力が此の巨剛触手です。此れは装備者の意思によってオートかマニュアルで操作出来、一本一本が『腕や脚と同じ扱い』となる他、空いている触手には『武器を装備可能』になります。

 

やりようによっては『盾十刀流』だったり『両手武器四刀流』、或いは『剣武器九刀流』やら『剣聖固有魔法【従剣劇(ソーヴァント)】を擬似的に再現出来る』様になったり………。ただ一本操るだけでも、脳のリソースを相応に使うので『全部操る場合』は大変になるかと」

 

改めて考えれば深淵のクターニッドとの決戦に置いて、其の八本に武器を装備・立ち向かった自分は、実は相当イカれた行動をしていたのでは………?とペッパーは思い始め。其の話を聞いていたペンシルゴン以外の全員が、漏れ無く唖然といった表情と共に戦慄(ドン引き)していた。

 

当然だろう…………其の八本の触手を無駄無く、十全に扱える『高い戦闘スキルを持つプレイヤー』が此の一式装備を身に纏えば、様々な武器による千変万化の戦闘を行い、触手を用いての『体勢やダメージコントロール、触手を利用した変則挙動』が行えるだけに留まらず。

 

仮に深淵のクターニッドと同じく、『体力に何かしらの補強を加えられている場合』は些細な事では崩れない、難攻不落のタンクと化して長期戦不可避の『ヤバい存在』になるだろう。

 

ペッパー程のプレイヤーが情報の外部漏洩を恐れている程に、ユニークモンスターに関係する装備持つ力は『唯一無二(オンリーワン)』だと、此の場に居る全てのプレイヤーには重々理解するのに『充分過ぎる事』だった。

 

「ユニーク由来、其れもユニークモンスターに関わるの一式装備…………。此れが仮に七つの最強種と同じく七種在るとは、恐ろしい事此の上無いな…………」

「此れ仮に作れるとして、鍛冶師に『再現出来る』…………のか?」

「ペンシルゴン君が見せてくれた真理書には、クターニッドを生み出す際に施した術式と『同じ物』が込められているらしい…………。可能だとしても、其れを作り出す為の道筋が解らない以上、難しいと言わざるを得ない…………か」

 

クラン連盟が率直な感想を述べている内に、ペッパーはインベントリアに白色の聖杯と深淵を見定む蛸極王装、そして六道極円盾∶天獄を収納し、代わりに黒之十束:百刻式に装備を切り替える。そうして改めて、自分が七つの鎧を手にする事の意味と、自分の肩や背に伸し掛かる重責を、彼女()は犇々と感じるのだった………。

 

 

 






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