VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

684 / 1072


話は続く




やろうと思えば出来る。其れがゲームという世界の特権

「ペッパーさん、ノワちゃんを撫でさせてくれない?」

 

キョージュ達が手にした真理書とペッパー達が手にした真理書の違い、深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)と白色の聖杯の閲覧という、圧倒的なまでの情報出力でのラッシュを叩き付けた後。

 

次なる話を切り出したのは、SF-ZooのAnimaliaだった。

 

「撫でるだけですか?」

「そ、撫でるだけ。ペッパーさんはノワちゃんを何時も撫で撫でしてるから、どんな感じなのかなって」

 

動物狂いにしては随分と大人しい………いや『大人し過ぎる』発言にペッパーやペンシルゴンは警戒を顕にするが、当の彼女はこう言う。

 

「今の私は昔の様に遠距離攻撃だけじゃない。近接職たる武装僧と職業(ジョブ)を絡める事で、此の世界の動物達とダイレクトに触れ合い!そして其の体質等を理解出来る境地まで、私は!SF-Zooのメンバー達は辿り着いたのよっ!」

「……………要するにベヒーモスでレベルキャップを解放して、触覚とかの感覚系統を強化した………と?」

「そういう事よ」

「第九階層のアレは攻略出来たんだね、園長さん達は」

「………………象牙の倫理観が『マッド』な事を除けば、良い勉強になったわ…………うん」

 

ライブラリのキョージュとセート、SF-ZooのAnimaliaとヴェットは非常に遠い目をしている事から、随分メンタルにダメージを負ったらしい。ペッパーはノワを撫でる条件として、自分とペンシルゴンが近くに居る事と、三分間限定で撫で撫で可能という二つを提示し、二つ返事で受理されて。

 

他のゲームでの犬の愛で方を知っているのか、シャンフロのバディドッグやバディキャットで随分と練習したのか、随分と手馴れた手付きでノワの頭や尻尾、脚や首周りを撫で撫でし。

 

「首周りや脚の太さ、毛並の状態…………。凄いわ、犬科の生き物って外的要因でストレスを受けやすいし、食べ過ぎとかで体重オーバーになって不健康になりやすいんだけど、健全というか健康的な食生活とペッパーさんの愛情を注がれてるんだわ…………。しかも──────」

 

何やらボソボソと呟き、健康診断か何かを始めたらしく、ノワの身体がビクン!と跳ね。彼女の腕の中で『ドロリと溶けた』と思えば、ペッパーの足元に在る影から『形を作って現われた』事で、全員の目が丸くなった。

 

「今のは?」

「リュカオーンの『影移動』って奴ですね。ノワもそうですが、リュカオーン自体が『ポルターガイスト』の類い………要するに『魔力で闇を固めて身体を構築した存在』なので、建物の日陰や樹海の木陰。後は多分ですが『海底の闇を移動』する事も、多分可能じゃないのかなと」

 

夜襲のリュカオーン、ユニークモンスターの持つ能力の一端が示された事で、既に戦闘を行い影狼を討ったペッパーとペンシルゴン、幾度も敗れてきたサイガ-100と草餅以外の全員がざわつき。

 

特にサイガ-100は此れまでの戦いで、ずっと負け続けてきた『原因』が其処に有った事、そしてペッパーが討伐協力時に提示した物が必要だったのか、漸く腑に落ちた表情となった。

 

「…………ペッパーがリュカオーン討伐に要求した物品の中に、何故【マジック・トーチ】が有ったのか。此れが其の理由、か…………」

「えぇ。ベヒーモスの第十階層に一番乗りすれば、旧大陸限定で天候操作が可能になるので、討伐する場合は其れを絡める形にはなります」

「兎に角リュカオーンの持ち味を、戦っているフィールドに『影を生み出させず残させない』事こそが、対リュカオーンに於ける『最重要事項』…………という訳だ」

「そういう事です」

 

モンスターとの戦いは『情報戦』でも有る。攻撃属性は何が有効か、属性魔法は何なら通るか、何処の部位を狙えば切り崩せるのか。だが仮に有効打が解ったとしても、そう簡単に越えさせてはくれないのが七つの最強種(ユニークモンスター)である事を、一部を除いて此の場に居る者達は良く知っている。

 

「後はメンバーのログイン状況の確認だな。仮に三隻の船がフィフティシアから出立して新大陸に着き、再びフィフティシアに到着から新大陸に向かうのには、どうやっても『三週間』………いや整備も含めれば『一ヶ月』は掛かる。ジークヴルムのユニークシナリオをクリアし、其れから万全の状態でリュカオーンを討つ事も視野に入れるべきだな………」

 

リュカオーン討伐という自分が目指す道筋(ルート)が整ったからこそ、サイガ-100はシャンフロの現状との照らし合わせを行い。黒剣所属のプレイヤーの中にはリュカオーンを討つ事は勿論、新大陸のジークヴルムにも挑みたいというメンバーも居るので、上手く立ち回らなくてはと己の思考を回していく。

 

(そう言えば、此処には勇者が四人居るんだよな………。イムロンさんには伝書鳥で報告してるし、後は『火酒夏(カシューナッツ)さん』に連絡出来れば良いんだが………)

 

皇金世代(ゴールデンエイジ)の素材をビィラックに見せた事で得られた、星の願いの具現たる勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)に関する新たな情報。其れと同質の存在にして素材、皇金世代の素材の真なる力を引き出す『黄金のマグマ』が、鉱人族(ドワーフ)が住む新大陸の火山に在る。

 

勇者シナリオの受注プレイヤーとして、此れは情報を共有するべきだとペッパーは確信し。インベントリアから『新大陸のほぼ全域を収めた、空中写真のスクショを焼き付けた半洋紙』を取り出しつつ、皆に見せながらにこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は『此方のユニーク関連』を進めていた所、其のユニークに関わる者から『耳寄りな情報』を入手しまして。何でも新大陸に在る火山………写真だとおよそ此の辺りの『グレイブヤード積竜火山(せきりゅうかざん)』には、新大陸の種族の一つ・鉱人族が居るんです。

其の種族が守っているという『黄金のマグマ』は、自分やペンシルゴンにサイガ-100と草餅さんが持つ『勇者武器と同質の物』らしく、水晶巣崖(すいしょうそうがい)で採れる最上級の硬度を誇るアムルシディアン・クォーツ()()()、更に『上位の素材』なのだとか。

まず間違い無く勇者関係のユニークシナリオを進める際に、鉱人族との交流が重要な鍵を握っているのと、竜という単語からジークヴルムさんのユニークシナリオ内にて討伐対象となっている、五色の竜の一体『赤竜ドゥーレッドハウル』とも何か関係が有るのでは無いかと、自分は睨んでいます。後は──────」

「あ〜…………()()あーちゃん?ちょっと………ちょっとストップ」

「ん?どうしたんだ、ペンシルゴン」

「他の皆が唖然としてるし、聖女ちゃんも固まっちゃった」

「えっ」

 

 






狂 乱 不 可 避(ペ ッ パ ー さ ぁ …)


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。